11/26 好きなん?
冷えるうろな町の朝。
「しーちゃん。デート中に女の子放置したんやって?」
しーちゃんに付き合ってもらってのランニング。
十一月も半ばを過ぎれば空気が冷える。
吐く息は白く、気を抜けば、体が縮こまる。
「飛鳥ちゃん」
「あかんやん」
「うーん。確かにもらった評価は低いなー」
私の駄目出しにペースを保ちながら応えるしーちゃん。
「そらそやろ。って、評価って相手の子そないなことしてくるような子なん?」
感じ悪いなぁって思ってると視線を合わせて否定してくるしーちゃん。
「えー? そんなことしないよ?」
「ぁあん? どないなことか、ちょーお説明してんかぁ?」
やんわり、当然なこと言ってますという対応にその襟元を掴んで揺すってみた。
「ちょっ! あぶねーよ」
何かブツブツ言っていたけど、関係のない部分はスルーする。
「そんなんで、デートとかって相手の子の気持ち弄ぶのかぁ」
「え!? 弄ぶって、そんなつもりは……」
「じゃあ、好きなん?」
否定するので、尋ねればはっきりしない返答。
「えっと」
「ゆーとくけど、家族の延長で好きとかって、なしやで?」
逃げは塞ぐ。
「ええ? よくわからないんですが……」
「弄んでるようなもんやん。自覚足らんって、タチ悪いんちゃう?」
「そ、そっかなー。じゃあ、次のデートは放置なんかせず、ちゃんと一緒の時間に集中する!」
ググッと拳を握って覚悟を決めるしーちゃん。
でもさ、気のせいじゃなかったらさ、どっかさ。
「え? ちょっとポイント違えへんか?」
ま、いいかぁ。
「相手の子が楽しんでくれるとええな」
「ああ。頑張ってプラン練る!」
アパートが見える。
きっと、ちーちゃんが朝ごはんを準備してくれてる。
最近は味ましだからいっかぁ。
「しーちゃん。がんばりやぁ」
「ん!」
ネタは空ちゃんとのデート絡み。
方向性が微妙そうな決意。さぁどう転ぶ?




