11/22 暗躍してみよう
「こんばんは。渚ちゃん、海ねぇ。現場で見る? それともモニタールームで見る?」
閉館中の旧水族館。
足元にLED光源が光っている。
青と緑が幻想的な雰囲気を演出。
「モニタールーム」
「一緒でいいや」
海ねぇの含みのあるにやり。
「じゃあ、ご案内。そういえばさ」
「んー?」
「クリスマスって、予定どうなってる?」
「クリスマスぅ?」
「そ。イブとかは平日だし、週末前倒しする人も多いだろ? 家族で、友達で、……カップルでってさ」
訳知り顏で海ねぇが笑う。
「なるほど」
「ウチはオジさんが月曜から娘達連れて海に出るってよくわからないこと言ってたし、芹香もむこうの兄達に遊園地連れて行ってもらうって言ってたしねー。後の予定はまだ決まってないかなぁ」
「で、具体的に必要な情報は?」
「空ねぇのクリスマス予定かな。今回のイベント終わるまでデートとかプラン立てれそうにないっぽいしさー」
協力協力。
ドアを開ける。
「どうぞ」
「いらっしゃーい」
「海ねぇ、渚ねぇ。こんばんはー。ソファにするー? スツールで窓に張り付くー?」
隆維がソファーから手を振って、涼維が立ち上がってドリンクサーバーに向かいながら尋ねる。
ソファーはモニターが見やすく、窓からは練習中が直接見える。
渚ちゃんはほとんど悩むことなく、ソファーへ向かう。
「二人とも凄いカッコ」
海ねぇが楽しげに窓の向こうを指差して笑う。
うん。
俺もはじめ見た時びびった。
そして『ノワール』のこだわり発言に渚ちゃんが静かに頷く。
「そこは重要」
「重要なんだ。チャイとオレンジティーとココア。どれにする?」
涼維がトレイにクッキーと三種の飲み物を持って近づく。
「冷たいのもあるし、なぜかお刺身もあるから緑茶も入れれるよ」
「総督が商店街の魚屋で適当に刺身用を買ってきて父さんにポンっと」
「そう。ポンっと渡して『よろしく』って」
隆維と涼維はそのシーンを思い出したのか、
笑う。
時々、おじさんや澄兄の方へ行きつつ、モニタールームで海ねぇと打ち合わせ。
あれだけプラン練って、現場で放置とかってあり得ないよ。
それにしても特攻隊長な海ねぇかぁ。
総督のセンスに海ねぇがニヤニヤしていて俺とチビどもはただ、慄いた。
「悪の組織のマッドサイエンティストと正義の科学者。渚ねぇ的にはどっちが好みなのー?」
隆維が渚ちゃんに聞いていたけど、答えを聞く前におじさんと総督のじゃれ合いを止めに移動したから答えは聞けなかった。
「澄兄。大丈夫ー?」
高原直澄さん
青空海ちゃん 渚ちゃん
お借りしました




