11/22 晴れ
金曜日の夜。
旧水族館の催し物エリア。
幾つかのテーブルと椅子。
普段は使っていない場所だ。
障害物を幾つかおいた舞台のようになった場所で衣装の確認をしてる二人。
カラスマントの動きは少々ぎこちない。
猫の方は何時も通りにマイペース。
「連携はうまく進んでるんだろう? がんばるねー。澄君」
普段、外を出歩くことは少ないのであまり、接点はない。
そのセイか少し緊張してるようにも見える。
「そ、そういえば最近ルシエさん見かけませんね」
ルシエさんは商店街買い食いの常連だったからなと思う。
「うん、むこうの大伯父さんの一人が体調を崩したらしくて、可愛がってたルシエにそばにいて欲しいって頼んできてね。いつ安定するかもわからないのもあって、病院の方はやめさせてもらって研修は実家の方でやるんだと思うよ」
「それはまた。隣の病院施設はまた長く閉鎖ということになるのか」
総督殿が刺身にたっぷりの山葵を乗せて口に放り込む。
町の住人ではなくとも町の情報はかなり仕入れているらしい。
鎮が稽古をつけてもらっていたし、宗くんのお祖父さんでもあるので今回参加。
まぁ他にもいろいろ参加するらしい。ちなみに刺身用の魚は「さぁ、作れ」と言わんばかりに持参していた。普通に受け取らなかったら言われた気がしてたまらない。
「そうなりますねぇ。機材だけは揃っているのでもったいないんですけどねー。仕方ないんで悪の秘密基地として活用しますかー」
「ふむ。拠点として受け入れようか?」
「あははー。何でほぼ初対面で提供しなきゃいけないんですかー」
「やはり、組織のマッドサイエンティストとして招くのは渚嬢だろうなぁ。侍らせる綺麗どころは歓迎だ」
「聞きましょうよ」
このジジイ……。
「アキさん、聞いてくれないですって。ウチの親父ともそんな感じで喋ってますから」
「それは……。澄くんも大変だねー」
いやぁそんなことはと照れる澄くん。
「だがね、似合うと思わないかい? クールなマッドサイエンティストに特攻隊長。そして有能な側近に、鑑賞用の小鳥。そして、裏設定的に組織がまつるなにも知らないお姫様。設定的には美味しいだろう」
特攻隊長……。
どうしよう。
本音的には趣味が合う。
「あまり、迷惑をかけるなよ」
ポツリと三春くんが総督に言葉をかける。
その視線は、ようやくこなれて烏と猫のじゃれ合う動きを追っている。
「混ざって来たら?」
のんびりした口調で言いつつ、総督がタバコに火を付けようとする。
三春くんは軽く首を振って、お茶に手を付ける。
「総督、ウチは禁煙ですよー」
「少しぐらいいいだろう?」
「ヤニの匂いは染み込みやすいですからね。やめていただきましょう」
「細かい男はモテないぞ?」
「これ以上もてなくて結構」
「おじさん、仲がいいのはわかったから、そろそろクールダウンしない?」
千秋の言葉に少し気まずい心境になる。
「フッ……。若いな」
…………
ムカつく。
高原直澄くん
話題に青空姉妹お借りしております。




