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11/22  気づけば保健室

 特に理由は思い当たらない。

 ちょっと何時迄も涼維と一緒にいられるわけじゃないって、当たり前のことを言われただけ。

 それぞれ別の生き方が道が、出来るのは当たり前だから。

 ちゃんとわかってる。




「もちろん」

 って答えた。

 その言葉は細い冷気を伴って。




 冷たいなと思った。




「大丈夫ですー」

 なにか困惑している木下先生。

 えっと困らせてる?



 少しアツい気がして顔に触れると濡れた感触。

 気が付かずに泣いていたようで慌てる。


 そんな要素は何も無かったのに。

「体調崩してから、少し、おかしくって、アレ? ごめんなさい」

 困惑してどんどん何を言っているのかわからなくなっていく。


 ぐるぐると混乱が強まるのはコワイコト。


 助けてくれるのは涼維と鎮兄。


 気がつくと保健室だった。



 あ。




 体育の授業中だった。

 しくじった感が半端ない。

 体を起こすと頭が重い。


「気が、ついた?」

 カーテンを開けて顔を覗かせたのは渚ねぇ。

「うん。ちょっと恥ずかしいよー。来週から恥ずかしさで休んじゃうかもー」

 頭をポンポン撫でられる。

「大丈夫。そんな理由では休ませてくれないと思う」

 だよねー。

「えっと」

 状況がわからない。

「もう、放課後。涼維は鞄取りに行ってる」

 そっか。

 あ。

「今日ね、兄貴達が動きの合わせするって言ってた。気がむいたら見に来てよー。意見してくれる見学者少数派で募集中らしいんだー」

「ん。時間が合えば行くかも」

「うん。ビシビシキビシイこと言って色々折っちゃってー」



「隆維!」


 鞄を二つ持って駆けこんでくる涼維。

 そのまま鞄を放り出して抱きついてくる。

「父さんが迎えにくるってー。熱でてる?  何かこわかった? 痛かった?」

 矢継ぎ早に言われて苦笑が漏れる。

「よくわかんない。頭は少し重い」

 ぎゅうっと抱きしめてくる体温に安堵を感じる。



「大丈夫か?」

 声の方を見れば、清水先生。

 その後ろに少し気まずげにも見える木下先生に父さんが何か声をかけている。

「学校来たくなくなりそーなほどはずかしーですー」

 授業中に泣いて倒れるってどうよ。

 しかも見学で。


「そのときは迎えに行くぞ!」

 木下先生が宣言する。

「あー。その理由で休ませる気はないですから」

 父さんが苦笑しながら木下先生をやんわりと止める。

「動ける? それとも抱き上げる?」

 父さんがちょっととんでもないことを言う。

「そ、そんなことされたらマジ学校くんの恥ずかしすぎる!」


 考えれば、保健室に来た。という記憶がない状況がある以上いまさらな気もするけど、意識があって抱き上げられて移動はいや過ぎる!


「渚ちゃんも便乗する? 送っていくよ?」

 渚ねぇは軽く頭を振り、断っていた。


 ベッドから降りて高橋先生はっしーに向かう。

「高橋先生、ありがとうございましたー」

 今月やたらお世話になっているからなー。

「はい。またどうぞ」

 来る事を確信している言葉に照れた笑いが出る。

「はーい」


 心配してくれてるのはわかっているので木下先生と清水先生に向き直る。

「木下先生、清水先生。ご心配おかけしますー。また来週ー」

 まだまだ心配させてしまいそうな状況は続くというか、たぶん、体調的なものはあんまり改善しない気がするしなー。

 年内にせめて感情のコントロールは取り戻したいなぁ。


「んじゃ、渚ねぇ、気が向いたら来てねー。涼維帰ろー」





清水先生高橋先生木下先生

青空渚ちゃん お借りしましたー


直澄兄さんこの日の夜開いてますかね?

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