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11/15 相談。

クエストデートの前日・高校の昼休み


「香月!」



 呼びかけに振り返る級友に昨日作ったという調理部の作成物を差し出す。物は当たりハズレ混在の焼き菓子だ。

 反射的に受け取る香月。



「日生兄」



「相談がある。ちょっと図書室まで付き合え」

 ふ。仕方ないなとばかりにポーズをとる動作は無視して引き立てる。

 そのままずるずると図書室へと連れ込む。

「それで、相談って言うのだけどな?」

 振り返ると、床に崩れ落ちた香月の姿。

「ちゃんと相談にのって欲しいんだけど?」

 賄賂やったのにさー。相談のる気なく崩れ落ちてるってどういうことー?


「こっちのペースを考えずに引っ張っておいて何を言うんだ!」


 逆切れされた。


「そんなに酷いペースじゃなかっただろう? それに図書室では静かに」

「酷いペースだったぞ?」

「そう。悪かった」


「思ってないだろう?」

「うん。それで相談なんだけどさぁ」



 少し奥まった席まで行ってそれとなく人目を避ける。

 現状利用者の姿は見えないけど一応だ。



「何でそこだけ正直に答える!?」

 心無い答えでも正直な答えでも怒るのかよ?!

「相談を早く進めたいからかな?」

「利用するためかぁあ」

「そうだけど友達だろっ?」




「えっ?」

「え?」

 疑問符が多分に含まれた視線が交錯する。

「友達か?」

 すっとよぎる夏のトラウマ。

 香月おまえだけは大丈夫だと思っていたのに! 

 根拠はないけど。

「いや、また遊ぼうって言わなかった? あ、ごめん。俺の勘違いか」

「えっと」

「じゃあ、痴漢冤罪助けただろ? 相談くらいのってくれ」

「いきなり脅迫!?」

「だから」

「図書室では静かに、だな」

 そうそう。

 気がつくとこんな会話で十分ほど昼休みが過ぎていた。


「貴重な時間がっ」

「俺のせいじゃない」

「俺のせいでもない」

 擦り付け合うこと五分。


「で、相談ってなんだ」

 香月が振ってきた。

「うん。明日さぁ、デートに女の子連れて行くんだけど、水着コンのためのナンパって言うか勧誘はしたことはあってもデートとかってしたことなくてさ、参考意見、ないかなぁって思ったんだ」

 相談内容を告げると返ってくるのは沈黙。

「香月?」

「お、俺だってラブレターもらったことはあるんだぁああ」

「え? 香月?」


 走り去る香月を見送りつつ状況が読めなくて首を傾げる。

 うーん。ラブレターは貰ったことないな。


 明日の空ねぇとのデート、うまく成功させれるといいなぁ。


香月クンお借りしました☆

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