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クエスト! セイレーンをデートへ誘え!? ……中の人じゃねぇ

軽いランチはてんぷら


 うろな高原の広場。今回のイベント会場はそこそこにぎやかだった。

 会場内を仕切っている駅員さんたち。

 ふと、そのうちの一人に気が付く。

「あ。エレナさん」

 夏の水着コンテストに出場してくれた駅員のお姉さんだ。

『日本総合鉄道株式会社』うまく言えなくてかんだのは苦い思い出。

 ちょっぴり思い出しちゃったよ。ほんのりブルー。


 声が聞こえたのか、ポニーテールを揺らしてエレナさんが振り返る。


「あら、カラス君」

「ちがっ」

 中の人です。だから違うんですとも弁解できぬ間にエレナさんがにこやかに腕を引く。

「参加者歓迎。はい、カップル一組ごあんなーい♪」

 そのまま、広場に押し込まれる。

 空ねぇと顔を見合わせて苦笑する。

「ま。いっか」

「うん」


 軽く周囲を見回すといくつか知った顔があった。

 やっぱり町からの参加者も多いらしい。

「町長さんに、天狗のにーちゃん。おお、南小北小の混合四人組じゃん」

 広場に入ったときのエレナさんの『カップル』という単語に何人かが反応して、こっちを見ていた。

 空ねぇが横で町長さんに会釈している。

 俺も、と思ったら。

「旧水族館のにーちゃん、ロリ卒業かよ!?」

 南小、真島祐希。皆上竜希。最近はあまり来ないが、ウチにちょこちょこ遊びに来てたし、ビーチのラジオ体操に北小の二人と合わせて四人で来ていることもあった。


 と、いうか。


 ……


 …………



「だれがロリコンだぁああ」











『カラスのにーちゃん』




 よ、四人揃って言いやがったこいつら。









「ご、ごめん。空ちゃん」

「ううん。いい。いい。楽しかったし」

 あの後、小学生と追いかけっこになって、デートだというのに放置してしまったのは反省ネタだよなぁ。

「またねー」

「デートがんばれー」

 とチビどもが声をかけてくる。

「ぇえい。邪魔をしたのはお前らだろーがぁあ」

 楽しげに声を上げてばらける。

「ふられんなよー」

「がんばってねー」



 ひとつ息を吐く。

「またなー」



 チビどもに手を振れば、笑顔で振りかえしてくる。


「空ちゃん、一応は見てたけどさ、困ったこととかなかった?」

「うん。大丈夫だよ。町長さんとご挨拶して駅員さんたちがてんぷらを持ってきてくれたし、鎮君が追いかけっこしてるのを見ているのも楽しかったもん」

「んー。まぁ楽しかったんならいっか」


行谷エレナさん、

町長さん

天狗さん

南北小学校混合四人組、お借りしましたー。

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