11/8 久々の二人会話。
「海ねぇに教えを請うってどこまで追い詰められてたのさ」
あきれて鎮に問いかけると歯切れが悪い感じで口を開く。
「そー言うけどさー、千秋ー」
「なに?」
冷蔵庫を確認して食材を選び、調味料を並べる。
明日は買い物に行ったほうがいいのかもしれない。
「ミラちゃんは素で平気そうだからいいんだけどさ、接点もこの夏からだからまだ薄いし、でも、ミアとノアは違うだろう?」
「ミアとノア?」
たまねぎを鎮に渡しながら首を傾げる。
「あの二人はさ、おじさんの子なんだよ」
「うん。そうだろ?」
血の繋がりや法的におじさんとこの子だ。
「ルシエおばさんより、隆維涼維より誰よりもおじさんと一緒にいたんだよ?」
たまねぎの皮をはぎながら鎮が強調する。
「う、ん」
「なのにさ、なんにも言わないんだ。さびしいとか、会いたいとかって言わないんだ。まるでいい子でいないと帰ってこないんじゃないかって思ってるんじゃないかって思うくらいに」
たまねぎを交換し、またむき始める。
「俺の作る料理じゃさぁ食生活のランクダウンは間違いないし、ほら、おじさんや千秋みたいにかわいい盛り付けとかもよくわかんないしさ。少しでもさびしい思いさせたくないじゃん? わがままをチビどもが言ってくれたらさ、おじさんのコト悪くも言えるけど、いわねぇだろ? 末っ子組が言わないのに言うわけにはいかないだろ?」
言われたら、そうかもなぁと思いながらたまねぎを刻む。
「味がわかんない状況で千秋は料理作りたくないんだろうなって思うしさ。まだ、ダメなのか?」
つい手が止まる。
味がわからないのに変わりはない。
「うん、飛鳥ちゃんに食べてもらってるけど、味付けがうまくいってない事の方が多いみたいだ」
文句をつけつつ残さず食べてくれる飛鳥ちゃんの存在は正直助かる。
そーいえばあの部屋、ダンボールテーブルしかないんだよね。折りたたみテーブルでも今度持ち込もうかなぁ。
「いや、ウチで実験しろよ。飛鳥ちゃんかわいそうじゃねーか」
「個人用と家族用被害が出たときの総量考えて言ってくれる?」
無責任に食材を無駄にするような発言は避けて欲しいよね。
「うっ」
「ところで、」
「うん?」
「海ねぇがただで教えてくれるとは思わないんだけど? ARIKA手伝ってた時はその流れで手ほどき受けたりもしたけどさ」
「うーん。とりあえず、事情を話してー」
するりと視線が外される。
「何をどんな風にどこまで?」
「え? 千秋が反抗期でウチで料理しないとか、おじさんが家出中だとか、末っ子組が食生活の低下に文句も言わず、文句言ってるのは母さんと隆維だし、おじさんの帰りを待ってる。とか?」
まぁ、食生活に文句つけてるのは確かにその二人だ。
ちょっ!!
「反抗期ってナニ!?」
「味覚障害。なんて言われたくないだろ?」
あたりまえだ!!
「うー。会った時ナニ言われるんだろー。つまりー、チビどもをネタに泣き落としかぁ」
「頼んだのは俺だけど?」
不思議そうに首をかしげている。
いや、もちろん、鎮が対価を要求されるのは間違いないが、
「いや、絶対、俺とおじさんはなんか言われる。ああ、そっか、そういえば手作り料理コーナーは臨時休業で市販のお菓子や、レトルト系のメニューが置かれてたっけ」
うっわー。ナニ言われるんだろー。こわいなぁ。
「うん、その辺はきっちり処理して出かけたみたい。さーやおばさんが『いい年して家出すんなー』って吼えてたから家出したんだなぁって」
「吼えてたんだ」
「うん、残されたメモがさーやおばさんが就職成功してない前提で書かれてて腹が立ったらしい」
「え? 就活してたの?」
知らなかったよ?
話題として青空海ちゃんお借りしております!




