表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
URONA・あ・らかると  作者: とにあ
五月・六月
21/823

6/11 少女の対決

「やっほー。兄さん一緒に帰ろー」

校門を出て少し歩いたところで、公志郎に呼びかけられた。

グレイのスラックスに臙脂色の薄いパーカー背中には黒いリュック。リュックからはコウモリの羽がはみ出ている。

「公志郎、こんな時間までこっちにいて明日に響かないのか?」

「小学校と駅まではみはるっちが車回してくれるって」

「答えになってないぞ」

「じょぶじょぶ。むこうの駅に迎えの車は回してくれるって言ってたし、柊子みたいに方向音痴でもないからさー」

三春おじさんの車は後ろに荷物が大量に積まれてるワゴンだ。

「早く乗れ」

見送りに出は参加せず、そのまま帰宅。

鈴音を拾ってうろな駅に行く。

天音とは夕べのうちに挨拶を済ませてあるとのこと。


駅前で見送りを終えると、三春おじさんからメールが着てた。

『自力で帰れ』

ぶらぶら帰ろうと思った。



たわいない話をしながら下の妹と歩く。何気に久しぶりかもしれないと思う。

熱を出していたのもあるけれど、その前もあまり一緒に出歩いたりはしてあげれてなかった。

いつも公志郎と天音に任せていたからな。

町役場の前を通ったとき、鈴音が足を止めた。

「おにいちゃん、のどが渇いた」

「わかった。そこで待ってて。何か買ってくるからうごかないでね」



のども渇いたろうし、足も疲れたんだろう。

自販機でジュースを買って戻る。



妹を待たせたあたりに近づくと、足の速度が落ちた。


「迷子はちゃんと迷子と認めるといいわ!」

「迷子じゃないもん!!」


あれは、どんな展開なんだろう?

同年代の少女が二人、数人の大人たちが見守る中、口論していた。


プラチナブロンドのストレートヘアをかわいらしくゆらし、『ビシッ』っと鈴音を指差し、見下しポーズ。

ポージング慣れてるなー。

「ふぅん。じゃあ名前はぁ~?」

「山辺鈴音!」

「住所は~?」

「ぅ。……まだ覚えてない」

「ほら迷子~」

「違うもん」

「この町にも変態な大きなお友達はいるんだから気をつけなくっちゃいけないんだよ! そこの佐々木のお兄ちゃんみたいに!」

「ボク?!」

いきなり指をさされた黒髪のスーツの男。町役場の人っぽい。

鈴音が不安そうにその男を見る。

「たっきーオンナズキのヘンタイさんでしょ? べるべるも気をつけなきゃダメなんだよ?」

「ひどいわー。せりちゃん、ボク、紳士やで」

「じゃあ今度おやつ頂戴。そしたら信じてあげるー」

「せりちゃん、悪い女やな」

にやり笑うスーツの佐々木さんにせりちゃん?は、一瞬下を向いて髪をなびかせ、顔を上げる。

「褒め言葉ね!」


一息ついたせりちゃんが鈴音に笑いかける。

「日生芹香よ。うろな海浜にある海の家が私のお家! うろな南小の三年生」

「うろな北小の三年生に入ったところ。担任の先生は中島先生」

「そう。私のことはセリって呼んでいいわよ。べるべるのことはべるべるって呼ぶし」

「どうして、べるべるなのよ!」

「鈴はベルやからやろー。今、中島先生に連絡したるからなー」

実は息のあった情報収集だったらしい。

つい、呆然と見守ってしまった。

「迷子じゃないってば!」



「あー。あの子かなり怒ってるなー」

横であきれたような力の抜けた声が聞こえた。

視線が合って、つい頷く。

同じように見守ってしまっていた人らしい。

服装は僕と同じうろな高校のブレザー。

「あっちの、うちの妹でね、ウサギちゃんはそっちの?」

「はい。うちの妹です」



「「あ。おにいちゃん」」



妹コンビがこっちに気がついて声をあげる。

顔を見合わせ、うちの妹が少し得意気に口を開く。

「ほら。迷子じゃないんだから」

「くっ。自分ちの住所も電話番号も言えなかったクセにっ」

覚えさせないとな、確かに。

「セリー。みっともないから捨て台詞吐かないー」

「すみません、兄です。ご心配をおかけしました」

「迷子やなかったんならええよぉ」


「ふっ。何か決着がつかなかったわね! 続きは明日よ!」

「け、決着?」

指をつきつけられて戸惑う鈴音。

「翻訳すると、『明日遊びましょう鈴音ちゃん』かな」

芹香ちゃんのお兄さんが意訳を伝えてくる。

「べるべるじゃヘンタイに接近されても気がつかないでしょうからね!」

「『町の案内や見所を教えてあげるわ』」

「ボクは安全な紳士やからなー」

「決闘は中央公園で!」

「『待ち合わせは中央公園』」

「え。中央公園ってどこ? お兄ちゃん」

鈴音は流されて決闘にいく前提を受け入れている。

友達ができるのはいいことだよな。

「ふ。しかたないわね。北小まで行ってあげるわ。感謝なさい」

「生意気でごめんねー」


一息ついて芹香ちゃんのお兄さんが、芹香ちゃんに向き合う。

「セリ。お使い終わったのかー?」

「まだ。消防の田口さん、さっきまでいたよねぇ?」

「時間、おしてるから後で電話くれるって」

「じゃあ、後は秋原のおねーさんにコンテストの日程とその他ゴミ箱ポイポイ企画の書類を渡すだけー」

ゴミ箱ポイポイ。。。

「海難救命講座はゴミ箱ポイポイじゃないだろ?」




佐々木達也さんお借りしてますー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ