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10/28 飲み会①

 ロビーでの再会シーンはラフの秘書さんのツッコミで場所をそれぞれに移した。

「あまり、セクハラしていると話が進みませんよ」

 と、通りすがりに軽く引き剥がし、彼はそのまま女性陣に挨拶。何か少し話してから、僕にも挨拶してきた。

「ラフィエート様の臨時(・・)秘書を勤めております。ラフィエート様が迷惑行為を取るようでしたらご一報を」

「君ね。どこに一報しろというんだい?」

「私でも、警察でももちろん構わないかと。あと、病院という選択肢もありますね」

「では、アーサー、ノブ、行こうか」

 悔しげな表情で何とかスルーするラフ。

 と、いう展開だった。

 今年の夏、これに近い展開を見たことがあるような?

 平日、真っ昼間から飲み会。

 真っ昼間と言うかまだ朝の分類だ。

 軽い情報交換的な雑談。

 少し年上で、独身。女性との出会いはあるが運命の恋愛可能な女性には会えていないと、意外と話題共通性はあり盛り上がれた。

 暁君は、あんまり喋らず、差し出されるままにグラスを空けていた。


「ラフ。どうしてココだったんです?」

「居心地の良さそうなホテルを選んだだけだよ。偶然子供達に会えてもいいと思ってたし、その姿や話題が耳に入るなら良いかなと思ってねぇ」

 そして、グラスを差し出されてまた空ける。

 結構ペースが速い。うちで飲む時のペースとはかなり違う。

 のんびりした口調で喋りながらグラスを次々変える。

 少し心配でいると肩を軽く叩かれる。

「このぐらいで残念ながら酔ってくれないんだよねぇ」

 酔ってくれれば良いのにと言わんばかりに笑う。

「隙をつつこうと思えば、この程度の酒量じゃ足りないみたいでねぇ」


 差し出されたオリーブやクラッカーをつまみながら耳を傾ける。差し出されたグラスはノンアルコールのものだった。

「ねぇ、アーサー」

 呼ばれてグラスを下げる暁君。

「あの子たちのお父さんになれたと思う?」

 間違いなく暁君は硬直した。

「あの子たちの父親は」

「うん! そうだね。遺伝的には変わらない事実だ!」

 朗らかに暁君の言葉を遮るラフ。

「だから、お父さんになれたと思ってるかって聞いてる」

 ストンと声のトーンは落ちる。

 返すことのできない状況が答えなのだろうと思うとキツイ。

 悪酔いしそうだ。

「まぁこの辺りの話は部屋のみの時でいいと思うんだよねー。再会と出会いを祝って楽しく呑みたいねぇ」

 そう言ってラフは新しいグラスを暁君に勧める。

「この町には妖怪がいるんだろう? まだ会えてないんだよ。残念でねぇ、遭遇率の高い場所とかはあるんだろうか?」


 吹くかと思った。


「天狗に鬼に座敷童、妖狐に陰陽師、妖精だろう? 夜な夜な絶叫を上げながら追いかけてくる鬼神に幽霊。こんなに話題に上るのにどれに遭遇することもないんだ!」

 ラフは悔しそうにグラスを煽る。

 だが、妖精と座敷童は心当たりがない。

 あと、陰陽師は人間であり妖怪じゃないと思う。


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