10/20 二人の ランチタイム
「おばさんの料理美味しいよね」
「そりゃどうも。母さんも山辺への評価は高いよ」
なぜか山辺と日曜の昼を一緒に食べている。
しかも、俺んちで。
「嫌われてる?」
「危ないのと付き合いたくないのは常識だろ」
「あぶないかなぁ」
山辺はのんびりと天井を眺める。
「少なくとも、俺の周りじゃ普通じゃない」
ジッと見られる。
居心地が悪い。
「どこが普通じゃない?」
「普通、着信音で誰からの電話かメールなのかって判別できねぇよ」
言うと、目を細められる。
「えー。わかるだろー?」
「自分のならなっ! お前は鎮先輩の着信音把握してるだろ!?」
「おかしい?」
否定しろよ。肯定すんなよ。
「おかしくないって思ってるのがおかしい」
妙に不思議そうな山辺がいる。
見ていてなんとなく「おかしい」と感じていたが、接してみると思った以上におかしかった。
最初は鎮先輩が「お友達」に拘って認めさせようとしてるのに、先に山辺から「お友達」宣言されているのは気まずいと困惑した。
というか、鎮先輩に絡まれないか心配だった。
「鎮先輩の望む通り友達でいいじゃん。周りもそう思ってるって」
表情が渋いものになる。
「友達じゃないし」
「あー、ハイハイ。ストーカーと被害者だよな」
馴染みの会話なので気持ち投げやりになる。
「ヒドイな」
微苦笑で答えるが積極的否定はしない。
だから否定しろよ。
「先輩に彼女とかできたら大変そうだよな」
「なんで?」
お前みたいなストーカーがついてくるからだよと突っ込みたい。
「邪魔しそうじゃん」
「僕?」
頷くと爽やかに笑われた。
「邪魔なんかしないよ?」
へぇっと思う。
そこはカップルの応援をするらしい。
「裏で調査するいい時間だし」
にこにこと爽やかな笑顔が眩しい。
そして俺は一気に消化が悪くなりそうな。
そんな心境にかられた。
なんで目をつけられたんだよ。マジ泣きたい。
懐かれている早川くん




