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9/15 快晴

 まさか人様の家で家の主をキッチンから追い出すはめになるとは。

「ダメだ。そういっちゃんに包丁を持たせてはいけない」

 ぶつぶつ呟きながら鮮度重視の食材を中心に見せてくる鎮。

 そのまま食べれるものは冷蔵庫のままっぽい。

 いや、まぁ。怖かったから俺も懇願して出て行ってもらったけど、一人暮らしって、言ってなかったっけ? ご飯どうするのさ?

「料理部さぼり気味だろう?」

 いきなり鎮が振る。

 リビングの方で録画していたんだろう朝の番組の音が聞こえる。

「まぁ、夏は終わったしね。自由参加でいいって言われてるし」

 手は適当に動く。

 鎮が伺うように静かに言葉を待つ。

「最近、サツキさんに会えないんだ。学校には、来てるらしいんだけど、うまく会えなくて」

 根野菜類を炒める。

 気分的に沈んでくる。

 思っていても口に出せない言葉。

「もしかして、避けられてるのかなぁ」

 ミホや健を使って調べるような真似も始めてしまっている。

 気がつかれたらストーカー扱いで嫌われるかも知れない。



「好き。なんだよ。サツキさんが嫌いだって言うんならちゃんと身を引くけど、少しでも余地が有るなら嫌われたくないし、すべて知りたい」

 そう言えば小さい頃から鎮と好きになるものは近かったような気がする。

 だから、

「サツキさんをとられたくない」

「鍋島にゃんこはものじゃないだろう?」

 宥め諭すように言われる。

 鎮のクセに生意気だ。

「というか、何でさっさと告らねーんだよ!?」

「嫌われたくないんだよ! 気まずくなりたくないんだよ! 他の女の子に誘われても平気で断れるけど、サツキさんに断られるって思うと怖いんだよ!」


「因果応報?」


 カチンとくる。

 じっと手にある包丁を見る。

「しずめ」

「んー?」

 何気ないのんきな返事が返ってくる。ああ。むかつく。何でこいつ問題引き起こすだけ引き起こして迷惑かけるくせにこんなにのんきで平和なんだ。

「刺してイイ?」

 もちろんいいよね。それぐらいきっと許されるよね?

「いいわけあるかー!!」

 生意気にも鎮が怒鳴る。

 それぐらいいいじゃん。短気な。

 あー。真新しい包丁は切れ味いいなー。




「先輩達。料理に人肉とかお断りです」


 あ。


鍋島サツキさん 名前のみお借りしております。

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