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9/14 昼 

金居瑞穂ミホから見る千秋

 ピンクのチューブトップ、シースルーの花柄チュニック。ネイビーのジーンズスカートは膝上15センチ。厚底サンダルにキラキラアンクレット。

 ミルクティーカラーで染めた髪は地色はちゃんと見えなくなっている。

 メイクは控えめ。


「ミホ」

「千秋! 久しぶり〜。話聞いてくれるー?」

 出会い頭に抱きつく。

 数ヶ月振りだし、身長また伸びたのかなぁ?

 いつも通りやんわり抱きとめてくれる。まさに安心の安定感。

「タバコの匂いが髪に染みてる。あんまり気分良くないなー」

 軽く苦情を呟かれる。

 まぁ、そこはそこ笑ってごまかす。

 苦笑するだけであっさり流してくれる。

「こっちの話も聞いてねー。また、(たける)の浮気ばなし?」

 千秋が呆れた感じで笑う。

 まぁ、健の浮気は今に始まったことじゃないのは確かだ。

「今日はねー。千秋が奢ってくれるって言うからねー。行きたいお店があるんだー。ミホを連れてってねー」

「んー? どこ?」

「ビストロ流星って最近有名なお店だよー。千秋はもう行った?」

「まだ」

 興味はあったらしく、機嫌が少し良くなっている気がする。

 軽い会話がいつもどおりだ。


 辿り着いた店内は落ち着いた感じで、邪魔に感じない程度のBGMが流れている。

 ジャズかぁって千秋が言ってたけどよくわからない。


 それよりも何にしようかなー楽しみー。


「嬉しそうだね」

「うん。美味しいものって幸せだと思うからすっごく楽しみー」

 メニューにはいろいろと気になるものがたくさんで目移りする。

 うーん。

 ハンバーグかぁ。

 チラッと千秋を見るとデザートメニューを眺めていた。

「何でもいいよ」

「じゃあ、このグリーンパスタとチーズ乗せハンバーグが気になるかなぁ」

「ん。デザートはどうする?」

 両方いっていいらしい。

「千秋は?」

「オムライスと秋のフルーツパイとモンブラン」

「あ。すっごく美味しそう。味見させてねー。ミホはチーズケーキね」


 注文は手際良く千秋がしてくれる。

「健がね、新しい女の人とよく遊んでるみたいなの。ミホのこと、飽きちゃったのかなぁ。ちゃんとミホのトコ帰ってきてくれるかなぁ」

「大丈夫だと思うよ」

「ほんと?」

 千秋はグラスの水を飲んで頷く。

「だって、ミホほど」

 そう。ミホほど建に一途でいる女はいないよねー。

「健にとって都合のいい女はいないだろ」

 えー。

「千秋、ひどーい」

「だから、まだ、手放したりしないと思うなー」

 それならいいのかなー?

 健がミホのコト捨てずに帰ってきてくれるんならいいや。


「そーいえばねぇ。健にももう話したんだけどさ」

「ん?」

「しずちゃんのコト引っ掛けた子がいたみたい」

 つっと、千秋の表情が冷たいものに変わる。

「へぇ」

「健がちゃあんと仕切ったと思うよ?」

「後で名前と写メ見せてって言ってもいい?」

「えー。ダメだよぉ」


 こういう空気のときは絶対、その相手のこといじめたおすもんねー。

 さすがにかわいそう。

「一回目?」

「しずちゃんにはねー。千秋が勝手に見つけたんなら健も何も言わないと思うよ?」

「知ってる奴ー?」

 うーん。

 これ以上教えていいのかなぁ。

「うろなの外から最近流れてきたカンジー」

 うーん。

 これ以上説明したら後で健に怒られるかなー?



「お待たせいたしました」


 きゃーー。


「おいしそぉおお」


 いやーん。

 楽しみーー


「ミホ、テンション落として。騒がしくてすみません」

 千秋がミホに注意してお店の人に頭を下げる。


「だってぇ。おいしそうなんだもん」


 お店の人と千秋が軽く視線を交わしていたがもう知らない。

 ハンバーグにフォークを突き刺す。



「いただきますぅ」


 途中で千秋がハンバーグを切り分けてくれた。

「美味しく食べればいいとはいえ、もうちょっとマナー覚えた方がいいかもね」というセリフと共に。







「うー。おーいーしーかったぁあ」

 いぇいと腕を伸ばす。

 千秋は横で笑っている。

「健に頼んでたこと、ナニか知ってる?」

 あー。

 最近、千秋がお熱だっていう女の子の情報かぁ。

 家族、親類縁者がいきなり彼女一人を残して失踪。

 詳しい話は健やミホじゃ聞き出せなくて。

 知ってそうな連中は二回目以降、こっちを避ける。

 おんなじよーな下っ端のクセに生意気ー。


 キーワードは『夏』『陰陽師』『鬼』


 はっきり言って訳わかんない。


「うんとねー。わかんなーい」

 軽く頭を小突かれる。

「シンナー吸いすぎ?」


 えー。ひっどーい。

「最近やめたもーん。健の奥さんになって子供できたとき困るのはイヤかなーって思うから禁煙もトライ中だもーん」

 千秋が深々とため息をつく。

「いいけどねー。喋ってると小学校の同窓のはずだよなって疑問が湧き上がるよー」

「ひっどーい。中学だって同窓じゃーん」

 あ。自販機。

「お礼にジュース奢ったげるー」

 ご飯、美味しかったー。スイーツサイコー。

「うん。今度千鶴ちゃん、連れて行ってあげてよー」

 ミホの財布状態知ってるから遠慮しちゃうもんねー。

 千秋が連れてってくれるなら大丈夫ー。

 千鶴ちゃんは健の妹でかわいくって少なくともミホよりは頭いいんだよねー。

「まー。中学では商店街の子達とばっかりつるんでたし、しずちゃん、おかしかったもんね」

 ちょっと寂しかったものだよねー。

「鎮の件はともかく、より付き合いやすい方といるのは自然だと思うけど?」


 えー。

「ナニ意外そうな表情してんの。小学校時代散々俺や鎮に『外人は出てけ』とか、『気味悪い』とか言ってたでしょーが」

 あ。そういえばそうか?

 納得ー。

 千秋は苦笑。

「あっちはそういうの無かったからね」

「そーいえば、よく先生に叱られたなー」



「やった方って大概覚えてないんだよねー」


 う。

「なんかやったけー?」

「普通に教科書隠したり、筆箱の中身空っぽにしたりとかしてただろ」


 ぉお。やってたかも?


「ミホ覚えてなーい」

 

 覚えてるのは健と千秋が何か競争して迷った挙句、参加してなかったしずちゃんが傘とおやつもって迎えに来てくれたんだよねー。

「しずちゃんのおやつおいしかったなー」


「ミホ、もう少し、会話に筋道つけて話さないか?」

 軽く、額に手を当てている千秋。

 えーっと。

「頭、痛いの?」



流星を舞台にお借りしております。

『人間どもに不幸を』のイメージ情報等を使わせてもらってます。

問題がありましたらご指摘くださいー。

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