バザー④
戸津信弘視点。
ぶらぶらとバザーを見て回る。
ミラちゃんとセリカちゃんは山辺さんに保護者を任せた。
人出は結構多い。
美人も多い。
うろなはいい町だ。
例えば、秋原さんはきりりと締まった美しさ。そう、気を抜くとキューっと絞められちゃいそうな感じでドキドキだ。
最近おもちゃ屋の次男坊と付き合っているらしい田中先生は、厳しい印象だが、あのボディラインと惚れた相手へのデレっぷりはこう、アレだ。
次男坊は不幸になれって感じだな。
まぁ、一番不幸になれと思えるのは、清水君かな。
商店街のアイドル小梅ちゃんを汚すとはっ。
清水君の不幸は小梅ちゃんや梅雨ちゃんにも感染りそうだから望まないけどなー。
他にもちらりうろな町HPで見かけた災害対策課の課長さんもなかなかの仕事に生きる大人の女性な印象だろう。
うろな町の町議会議長で災害対策会議議長も勤めているらしい。
二十代の若さでそこまで出世するにはかなりの心意気、覚悟、理想があるんだろう。
目標のある女性はかっこいいね。
『ARIKA』の太陽先輩は明るく朗らかまさに名前の通り眩しく魅力的な人だ。
そう、人妻の皆さんも美しく、魅力的。
椋原の奥さんも美人で優しいしね。
あ。
宇美の友達の猫塚さんもこう、年齢を感じさせない近づくとやばそうな、でもついふらふら近寄れば、愉悦のうちに地獄が見れそうな……あー、思考停止思考停止、削除削除。彼女は宇美の友達。
よし!
書き換え完了。
じじいや義兄さんからもそろそろ身を固めることを真面目に考えろって言われてるがやっぱり恋愛が希望だしなー。
せっかく魅力的な女性の多い町にいるんだしなー。
「ノブ兄、このマグ使いやすそうじゃない?」
大きめのマグを持ってこっちに見せてくる宇美。
深めの緑色のマグは好みに合う。
「おー。洗いやすそうだし、一度にいれれる量が多そうでいいなー」
宇美がその横で同じような形の黄色いマグを選ぶ。
「ペアカップぽくなるわねー」
「よ、吉田さん。そーいうんじゃないです。職場用のカップはある程度揃えようと思って」
「はいはい〜」
軽く流されてふくれる宇美。
そういうとこは子供だなぁと思う。
「じゃあ、宇美」
「?」
「あとのマグは何色がいいかな?」
「え。ちょっと待って。う~ん」
必死に選び始める宇美。
吉田さんと隣で店番をしていた田中先生が微笑ましげに見守っている。
「おはようございます。田中先生。彼氏のお手伝いですか?」
その隙にご挨拶。うろな美人に思いをはせて目の前にいる美女に挨拶しないわけにはいくまい。
たとえ、他人のものでも!
「お店のほうに取りにいく間の店番は必要ですから」
つまり、元教え子に手伝いを申し出ただけだと。
セリフだけならそう取れるがいかんせん、田中先生頬を染めてはにかみつつ幸せげで。
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ご馳走様です。
「泣いちゃダメよー」
吉田さんがサクッと心にナイフを刺し込んでくる。
「最近、聞いたのは図書館の田村さんにも彼氏がいるって話ですし、夏も終わりなのに春ですねー」
とりあえず、話題に自虐ネタをふっておく。
あー。
知らないうちに吉祥寺先生とかにも彼氏できちゃってそうだなー。
仕事に生きる素敵な女性が愛にも目覚めていくのかー。
ぁーー
爆発しろ。
女性の名前がずらずら。
少し田中先生をいじったところで電池切れ(ぇ




