8/25 バザー①
信弘視点バザーの日の朝
朝食に清水先生から贈られた酒饅頭をぱくついているとじいさんがおりてきた。
「バザー盛り上げて来い。ミラちゃんと宇美ちゃんも連れてってやるといい。ほら、小遣いじゃい」
そう言って五千円程よこしてくる。
じじい。
年金は大事に使え。
まぁ、気持ちは受け取っておく。
そう言えば、今年はペット葬儀社の重ちゃんはうろなに帰ってこなかったなー。
大学で彼氏でもできたのかねぇ。
「宇美ー。ミラちゃんー。バザーに一緒にいくかー?」
「行くですー」
ミラちゃんがそう言って持っていた鉛筆を放り出す。
「ミラちゃん!」
宇美の声に慌ててちゃんと片付けをする。
「バザー。楽しみですー。ねー。宇美ー」
ミラちゃんは勉強がどちらかというと苦手らしく、ちょっと苦労している。
日本語がまだ読み慣れていないせいかとも思ったが違うようで、こちらで学校に行くことになった時、結構心配だ。
暁君とこは基本的に成績に問題のない子ばかりだし、そこに混じる時に引け目や、無意識の無理解でトラブルにならなければいいんだが。
「けーさんなんてお買い物できればそれ以上は必要ないと思うですー。バザー楽しみですー隆維涼維も午前中ならバザーにおるですよー」
プチ問題発言しながらはしゃぐミラちゃん。
おじさん。君の将来が心配だよ。
「商店街やPTAからも出店してるらしくて、母さんにマグカップ買って来いってお使い指令出されちゃった」
会場であるうろな北小学校。
バザーは結構盛況で明るい人ごみの雰囲気に自然と笑顔がこぼれる。
うん。
うろな町効果だな。
海の家のあみちゃんが揚げ物に勤しんでいる。
あー水着コンの時とトラブった時しか今年はいってないなー。
「おはよー。あみちゃん」
「ちゃおー」
「お。ちゃおー♪」
ノリ良くあみちゃんが返してミラちゃんがご機嫌笑顔。
「おはよう。元気、そうね」
少し宇美は引き気味。
あみちゃんの勢いと悪戯好きに苦手意識があるようだ。
曰く、隼子ちゃんと重ちゃんまで一緒になって悪ノリするから手が付けられないことになるらしい。
「げ」
いまいち感心できない声かけの主は芹香ちゃん、視線はミラちゃんだ。
「ちゃおーセリー。そのおにーさんは恋人さんですかー?」
「おはよう。恋人じゃなくてお友達かなー?」
「お、おはよう。しろーちゃんとは昨夜一緒に寝た仲よっ」
ビシッと指差しポージングで挨拶および宣言をする芹香ちゃん。
しろーちゃんと呼ばれた少年が表情を引きつらせて軽く身を引く。
そういえば昨夜は納涼肝試しがあって芹香ちゃんは参加してたはず。
周囲の生ぬるく、かつ冷ややかな視線が少年に集中する。
外見的には『兄妹です』といっても違和感はないが、いかんせん、芹香ちゃんは地元っ子。しろーちゃんは明らかに普段見かけないよそ者だ。
高校生くらいかな?
しかも芹香ちゃんが逃げられないようにその腕をしっかり捕まえている状況。
「おはよーノブ兄。ちょっと中見てくるねー」
小声で挨拶して妙にそそくさと中に向かう涼維君。
自分から率先して隆維君から離れるのは珍しい。
残ったほかの中学生組は微妙な三人の様子を眺めつつ、見守るか、気にせずバザーを回るかを話し合っている。
どっちかって言うと見捨てる方向性っぽい。
「シロちゃん、がんばってね」
「負けるな駄犬」
「ミラ。あんま一人で行動すんなよ」
天音ちゃん、その双子の片割れ。隆維君の順だ。
少年しろーちゃん改め駄犬シロ君がんばれ。
みんな見守っているぞ。
ってさらし者中か?
清水夫妻からのお土産いただきましたー
小藍さんの海ちゃん借りてますー
まだ会場入りできてねぇ><




