表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/823

8/15 田村桐子宅

「潤。鎮君に負担かけすぎじゃないかしら?」

 桐子が食事の片付けをしながら文句を付ける。

 ビールを呑みながら彼女を見る。


 田村(たむら)桐子(きりこ)

 自分の年齢を気にする41歳独身図書館勤務。

 職場で「お局様」扱い。

 結構可愛いとこのある(ヒト)なんだけどな。


 対する(しずめ)くんは、現在17歳の高校生。放っておけない擬似息子みたいな感じなんだろう。

「んー。意外と体力あったなー。もう少し早く潰れるかと思ったんだけど」

 悩み多き年頃。まぁ、体力削って悩む暇をなくしてやるかと思った。

 実際、人手不足だったしな。

 図書館通いしてるようだから体力の無い文系かと思っていたら、結構体力派で驚いた。

 夏の暑さと新聞配達。結構体力を削るはずだったんだが。

 結局、鎮くんがつぶれた理由は睡眠時間の急激な変動。生活パターンの乱れ。多少、元々抱えてたストレスもありそうだけど。



「うーるーう?」

 沈黙した俺を桐子が不審げに呼ぶ。

 その伸びた感じで呼ばれるとそそるんだけどな。

「あーゆーのは考え過ぎもあるんだから思考する余地をあげない方がいいんだって」

 最もらしく言う。

 擬似息子でここまで過保護なら自身の子供にはどうなるやら。


「睨むなよ。ちゃんとある程度は様子見てるから」

 ため息を吐く桐子を抱きしめる。

 夏場で暑い。

 密着すればより暑い。

「食べたいな」

「さっきご飯食べたでしょ?え。足りなかった?」

 肩に軽く顎を載せる。

「うん。足りない。桐子のこと食べたいな」

 ペロリと耳たぶを舐める。

 密着した身体が熱を上げる。


「あ……」

 ん?

「お帰りなさい。鎮君」

「おかえりー」

 ちぇ。

「お邪魔でした?」

 悪戯っ子の表情。

「ただいま。でしょう?何か食べる?」

 桐子が俺を押しのけながら鎮くんを構う。

 ヤキモチ焼くぞぉ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ