8/15 田村桐子宅
「潤。鎮君に負担かけすぎじゃないかしら?」
桐子が食事の片付けをしながら文句を付ける。
ビールを呑みながら彼女を見る。
田村桐子
自分の年齢を気にする41歳独身図書館勤務。
職場で「お局様」扱い。
結構可愛いとこのある女なんだけどな。
対する鎮くんは、現在17歳の高校生。放っておけない擬似息子みたいな感じなんだろう。
「んー。意外と体力あったなー。もう少し早く潰れるかと思ったんだけど」
悩み多き年頃。まぁ、体力削って悩む暇をなくしてやるかと思った。
実際、人手不足だったしな。
図書館通いしてるようだから体力の無い文系かと思っていたら、結構体力派で驚いた。
夏の暑さと新聞配達。結構体力を削るはずだったんだが。
結局、鎮くんがつぶれた理由は睡眠時間の急激な変動。生活パターンの乱れ。多少、元々抱えてたストレスもありそうだけど。
「うーるーう?」
沈黙した俺を桐子が不審げに呼ぶ。
その伸びた感じで呼ばれるとそそるんだけどな。
「あーゆーのは考え過ぎもあるんだから思考する余地をあげない方がいいんだって」
最もらしく言う。
擬似息子でここまで過保護なら自身の子供にはどうなるやら。
「睨むなよ。ちゃんとある程度は様子見てるから」
ため息を吐く桐子を抱きしめる。
夏場で暑い。
密着すればより暑い。
「食べたいな」
「さっきご飯食べたでしょ?え。足りなかった?」
肩に軽く顎を載せる。
「うん。足りない。桐子のこと食べたいな」
ペロリと耳たぶを舐める。
密着した身体が熱を上げる。
「あ……」
ん?
「お帰りなさい。鎮君」
「おかえりー」
ちぇ。
「お邪魔でした?」
悪戯っ子の表情。
「ただいま。でしょう?何か食べる?」
桐子が俺を押しのけながら鎮くんを構う。
ヤキモチ焼くぞぉ。




