8/16 確認作業そのあとで
鎮に会って密談してるとしーの弟分が友達と近づいて来た。
「鎮兄、デート?」
やん。
素直で可愛いこっておねーさん好きだわぁ。
「ちっがーう」
しーが力一杯否定する。
そのあとの動きはちょっと驚かされた。
「ホラ、車に運んで。ココで転がしてても仕方ないでしょ」
大人しく頷いて指示に従う姿を見ての感想は許容量オーバーなんだなと思わせる。
まぁ、許容量を削る一因な自覚はあるけどねー。
旧水族館。ひとけのないフロア。
「千秋、迎えに行ってくるわ」
パッと顔をあげるしー。
不満そうな色が見えるが反対もしづらいようだ。
「おねーさんにまかせなさーい」
何かを言われる前にさっさと離れる。
「いらっしゃいませー」
海の家ARIKA。
可愛いお嬢さんや坊やが観れるお店だ。
えーっと、眼福?
夏って感じが素敵。
「千秋、指名いいかしらぁ。あと、涼維くんもねー」
「どちら様ですか?」
こう、不審そうな千秋の視線にはゾクゾクしちゃう。
「ロバータっていうの。よろしくねー」
うふふ〜
誰かわかってなくてわからないって表情。
涼維くん発見。
店員のお嬢さん方の視線がかすかに険があるものになっている気がするが気にしない。
不思議そうにこちらを見てくる青い瞳。
「隆維くんがね」
涼維くんが意識を集中させたのがわかる。
「海に落ちたの」
正確には突き飛ばされて落とされた。だけどね。
すぅっと面白いほどに顔色が変わる。
本当にこの子は把握してたんだなと思う。
「おちた?」
不思議そうな千秋の声。
駆け出そうとした涼維くんを捕獲する。
「はなせ!」
「はなしてあげない。一緒に車に行きましょー」
そのまま千秋に視線を向ける。
「涼維。落ち着け。ロバータさん」
「なぁに?」
「どこですか?」
「しーと千秋のお家よ?」
不愉快そうな表情。
本当に気持ちいい。
くるりと振り返って心配そうな店の人たちに頭を下げる千秋。
「すみません。一旦戻ります。後で連絡するつもりだけど忘れたらごめん」
そう一気に言い、私を見る。
私よりは暗く、しーやあの男より明るめの緑。
「駐禁とられますよ?」
「ぇ。いやん。はやくはやくぅ~」
駐車禁止も違反切符も困るー。
店の子たちの名前を教えたくなかったみたいねー。
興味、ないのに。今のところ。
車を止めてあるポイントまで急ぐ。
「あとで千秋にサインして欲しい書類があるのよー。こっちがメインでここまできてたのよねー。おねーさん」




