重なり
切るところ間違えてます(・・;)
短めです
「……で、俺が呼ばれた理由を知りたいんだが」
一人蚊帳の外だった男、紅蓮が呆れつつも口にした。
「ぶっちゃけ、俺らの方で情報集めるが……問題は禁忌の取り扱いになる」
「杏里の言う通りだ。下手にチカラのない輩が関わると飲み込まれるパターンもある、というのが分かったからな」
「なんだそれ」
そういうことであれば、通常夏姫は戦力外になるはずなのだが。
「白銀の呪術師とすぐに連絡の取れる使い魔に加え、もう一体の使い魔も高位の魔物かもしれん。悪いが、お前を前線から外すというのはあり得ない」
形としてはすまなそうに樹杏が言う。ただ、それは死者の国でも言われていたため、夏姫に否とは言えない。
むしろそれどころか。
「椎名の巫女が行方不明になっているのと、禁忌の術に何かしら関わり合いがあるのではと、門番が言っていたね」
聖がこともなげに言う。
「白銀の呪術師、つかぬ事を聞くが」
「一応、聞いてすぐ来たのだが」
このような話は隠しておくべきではない。それは門番も聖も一致した意見だった。
「ってぇこたぁ、だいぶ前に禁忌が盗まれていた可能性がある、と」
当事者に近い杏里の方が立ち直りは早かった。
「ヤバいどころの話はねぇのな。気づくのが遅くねぇ?」
「もう一つの禁忌『時戻し』も使われていた、というか発動したから気づいたのだそうだ」
「……よくぞあそこから盗めたな」
「だからこそ、裏で糸を引く輩がいてもおかしくない、という仮説を外せないわけだ」
杏里の言葉に、聖はこともなげに言う。それだけで、ただでさえ顔色が悪くなっていた面子の顔から、血の気が引いていく。
「魔女の系譜も被疑者か」
「早い話がね」
ようやく絞り出した樹杏の言葉を、聖は一切否定しなかった。




