エルフの王国
果ての村を出てエルフの国に向かうアルド君
新しい町を目指して馬車旅は続きます。
馬車旅が快適になり遠くに行くのも楽になりましたが、流石に二月の旅はキツかったアルドです
エルフの王国は自然を愛する方針らしくて、道も土道ででこぼこだし、家も樹木を使った家なのか?家が樹木なのかよく解らない、ほぼ森に見える町並みだった。
ユリアーナさんに案内されて、王城?というか、デカい木に入って行くと、
「止まれ!」
と、兵士のエルフに止められた。
「ドワーフのガキが何用だ!」
と、感じの悪い兵士にユリアーナさんは
「私の大事な方に無礼な態度は許しません!」
と怒ってくれた。
兵士は一瞬、「だれだ?この女。」みたいな態度だったが、ユリアーナさんの顔をジーっと見た後、片ひざをつき右手を左胸にあてて、
「大変失礼を致しました。お帰りなさいませユリアーナ様!!」
兵士は大きな声で、
「ユリアーナ様がお戻りに成られました。至急執務室へ誰か向かってくれ!」
奥の兵士があわてて
「はい!」
と、返事をして階段を駆け上がり木の上に登っていく。
入り口の兵士は
「姫、このドワーフのガキ達は、姫の召し使いか何かでしょうか?」
と、失礼な態度を再度とる。
ユリアーナさんは、顔を真っ赤にして怒り、
「この戯け者が!先ほど私の大事な方と申したであろう!!」
言われた意味が全くわかってない兵士に
「もうよい!他の者を呼びなさい。」
とチェンジを要求するユリアーナさんに、
「なぜでございましょう?」
と食い下がる兵士さん
「聞こえませんか?代われ!と、申しているのです。」
と、ピシャリという
そんなこんなをしていたら、
「姫様ぁー!」
と階段を駆け下りてくるおっさんエルフ
「爺や!息災でしたか?」
ゼェゼェして階段を降りきった「爺や」さんは、
「姫様、私より姫様です。いったいどこに居られたのですか?」
「世界を見て回っていました。」
爺やさんは、目頭を押さえ涙を我慢したあと
「姫様、お父上がお待ちですよ。
お供の者もついて参れ!」
と、ユリアーナをエスコートしながら、ゼェゼェと今度は階段を登り始める爺やさん
死ぬぞ!休んで。と思いながらあとを付いていく。
広間に通される。
奥にはマントを羽織ったイケメン
隣にはユリアーナのお姉ちゃん?みたいなお嬢さん
両端にロン毛のイケメンやイケオジが並ぶ、
「父上、母上、ユリアーナ只今戻りました。」
と挨拶をするユリアーナさをに
「心配したぞユリアーナ」
と話すユリアーナパパさん
ってことは、横の方はお姉ちゃんではなく、
「母上にもご心配をかけました。」
やっぱりお母さんなのね。
ユリアーナさんの挨拶を聞いたユリアーナママさんは。
「お帰りなさいユリアーナちゃん、旦那様はこの男の子なの?」
「はい」と答えるユリアーナさんに
ざわざわする会場
「なぁ~にぃ~!許さんぞ!!」
切れだすユリアーナパパさん
ため息をつきながらユリアーナさんが、「アルド様、書簡を頂けますか?」
俺は、ユリアーナさんに書簡を渡す。
ユリアーナさんが書簡を側近さんに渡す
バケツリレーのようにユリアーナパパさんまで回っていく書簡がようやく目的地についた。
書簡を読んだユリアーナパパさんが震えだして
「ふざけるな!婚約など許せるか!」
会場が、なんだ!なんだ?とざわめきだす。
「静まれ!」
エルフの王の一言て水を打ったように静かに
「そなたが娘の命の恩人と云うのは理解したがそなたに娘を預ける訳にいかん!」
王の言葉に
「そうだ、そうだ!」や「ドワーフが!」などと、野次が飛び交う。
「静まれと言っておろう!」
王様はため息を吐きながら
「ワシは、この者がドワーフだから許さないと言っているのではない
素性も実力も判らないヤツには誰であろうと娘を任せる訳がなかろう。」
と王様が言うので、俺はユリアーナさんの横に立ち、パパさんに習った「エルフ式」の片ひざをつけた座り方になり、両手でナイフを捧げ、
「紹介が遅くなり申し訳御座いません。私、エルフの父 アルフ と、ドワーフの母 ルルド の息子で アルドと申します。
これは、父より預かったナイフにございます。」
ナイフを側近が受け取り王の元へもっていく
「確かに、このナイフは私が、我が友アルフに渡したもの」
王さまが俺を見る
「アルドと言ったか、アルフはあの馬鹿者は元気にしておるか?」
俺は、無言で頷く
「私がこの国で暮らせるように手を尽くしておったのに、あやつは、早々にこの国を見限りよった…。
そうか、元気にしておるか…。」
王様がこの場にいる全員に告げる。
「この者の素性はわかったが、それでもこの二人の婚約を許す訳にはいかん
力を示せ、娘を守れるだけの力を!
アルフの息子アルドよ!
エルフの国のメインダンジョンを見事踏破してみせよ!」
会場は、「国王は無茶を仰る」「出来る訳がない」などと、好き勝手な事を言っているが、
俺は、
「畏まりました。エルフの国のメインダンジョンをこれより踏破してまいります」
と言ったとたん会場が静まり
一人また一人と馬鹿にして笑いだす。
その笑い声を掻き消すほどの声で、
「王よ、姫を預けて行きます。
が、この国の人間の態度にいささか思うところがございます。
が、それも、メインダンジョン踏破後に致しましょう。
では、失礼!」
と、広間を出ていく俺に嘲り声が聞こえ続けた。
俺、このクニ、キライ
さっさとメインダンジョンに行こう。
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次回 エルフの国っぽい を お楽しみに。




