マスター、マスター
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誠にありがとうございます。
徐々に増えるポイントに、
嬉し涙を流しております。
頑張ります!
皆様、バーベキューはお好きですか?
アルドです。
普段から、怒りっぽいミレディさんは仕方ないとして、キッド君も激オコで、
「ご主人様をガキと馬鹿にした…。
子供を馬鹿にするな…。」
と、念話でぶつぶつと聞こえていたが…。
そんなキッド君が今まさに、アホ丸出し魔族をコンガリローストしようと行動に移す瞬間、
下の階層行きの階段から、
「ちょっと待ってくださぁーい!」
と誰かが叫びながら近づいてくる。
ゴーレムチームは武器を構え臨戦体制をとるが、
「皆さま方、そのまま、そのまま」
両手を挙げて「敵意はありません」アピールをしながら走ってくる男に鑑定をかけた。
「魔族 イゴール レベル180」
「ダンジョンマスター」
「ダンジョン管理」「不老不死」
うん、マスターだな。
戦闘系では無さそうだが…。
息を切らせ走って来た青年は、地面に倒れ、四つん這いになり「ハァハァ」している。
「マスター!」
と、アホ丸出し魔族が何かを言おうとするのを「喋るな!」とばかりに手の平を四つん這いのままアホに向けて黙らせた。
そして、
「皆様、お初にお目にかかります。
私は、この者の上司で、ダンジョンマスターをしております。
イゴールと申します。
皆様に敵意はございません。
どうか、どうか一旦、武器をお納め願えないでしょうか?」
四つん這いのまま懇願するダンジョンマスター
ミレディさんから
「如何致しマス?」と、念話が入ったので、俺はダンジョンマスターに聞かす為に声にだし。
「皆、武器を降ろして、話を聞こう。」
と言った。
「ご理解頂けた様で感謝致します。」
四つん這いのまま感謝をのべるダンジョンマスター。
話がし辛いので、アイテムボックスからテーブルセットとティーセットをだし、
「その格好では話しにくいので、お茶にしませんか? イゴールさん。」
と、ダンジョンマスターをお茶に誘う。
息が整ったのか、ダンジョンマスターが立ち上がり、パンパンと膝をはらう。
そして、
「ありがとうございます。」
と、席についた。
「マスター?」
と、再度アホが助けを求めるが、ダンジョンマスターは、「はぁ~」とため息を吐き、
「任された事をするのならと、今まで見逃して来ましたが、唯一の仕事も放棄して、我が物顔でダンジョンをいじくる愚か者は
そこで、ナニをぶら下げながら ぶら下がっておきなさい!」
とピシャリと言った。
言われたアホは何処もかしこも「シュン…。」となっていた。
ダンジョンマスターは、「愚か者は無視して、お話しましょう」と促す。
「改めまして、私はイゴールと申します。
この地方のダンジョンの統括をしておりますダンジョンマスターです。
イゴールでもダンジョンマスターとでも長ければ「ダンマス」でも結構ですので、お好きに呼んで下さい。」
と丁寧な挨拶を受けた。
俺は、
「では、ダンマス、俺はアルドです。
一応冒険者ですが肩書きは色々有るので後程。
であっちのが俺の仲間たち」
「ミレディさん」と紹介したら彼女は右手を胸にそえて会釈をした。
「キッド君」と俺が紹介すると、彼はビシッと直立しお辞儀をした。
「シルバーさん」と紹介すれば、その場で一周回り
「キバさん」と紹介すれば、右手を挙げた。
「以上が俺のなかまです。」
と、紹介している間にミレディさんがイゴールさんにお茶をだしていた。
それではお話合いのスタートです。
ダンマスが切り出した。
「我々魔族と母上についてどれくらいご存知かわかりませんが、
我々魔族と母上の事を知って頂いたうえで、お力を貸して欲しいのです。
我々の母上は今はその名を取り上げられて名乗れませんが、かつては主神様と並び人々から信仰される神でした。
母上は生き物が芽吹く豊かな大地を
主神様は命息づく地上を
それぞれに管理する、それは仲の良い夫婦神様でした。
母上は大地の力が暴発しないようダンジョンを作り、溢れだす大地の力で魔物を生み出す、その魔物から恩恵を受ける人々が魔物を討伐し浄化する。
そうしてミスティルの世界は回っておりました。」
ダンマスはお茶を一口飲み、「美味しい!」と驚いたあと、話をつづけた。
「そんは、仲の良い夫婦神様の間に新たな神様が誕生されました。
ダザール様です。
二人は、大変ダザール様を可愛がりました。主神様は将来、この世界をダザール様に譲ろうとされ、少しでも良い世界にせんと奮闘されました。
ダザール様に構って差し上げる暇も無いくらいに…。
大きくなるにつれてダザール様は母上にとても懐かれておられたが、
主神様は、あれほどダザール様の為に頑張っているのに懐かないダザール様を見て、自分の預かり知らぬ場所で、母上がダザール様に自分の良からぬ事を吹き込んで居るのでは?とお思いになられた様で、
一方的に母上の名前を奪い我が子に逢うこと事すら禁止し神界を追い出したのです。」
話を聞く限り、主神の独り善がりと尻の穴の小ささが問題だな。
ダンマスは続ける。
「母上は信仰を削がれ力が失くなりつつ在るにも関わらず、
この世界を思い神力のほぼ全てを使い、
メインダンジョンにトラブルがあってもすぐに大地の力が暴発しないように、サブダンジョンを世界中に作り、
ダンジョンの管理・運営を担う種族である魔族多くを生み出しされました。
ご自身の残された力の全てを使い…。」
俺は、ダンマスに質問をした。
「では、今はその女神様は?」
ダンマスは寂しそうに
「とある場所で力を失い休んで居られます。」
ダンマスは「はぁ」と短いため息をついたあとゆっくりと話しだした。
「我々魔族は母上のみに生み出された種族がゆえ、主神様がスキルを与える事を嫌がられました。
それを不憫に思ったのが、ダザール様でした。
主神様にお願いをされ、自分が面倒を見るからスキルを与えても良いか?と、
悩んだ主神様に技能神様や学神様等々他の神々から、
将来の勉強になるからと
後押しをして頂いたそうです。
ダザール様は我々魔族の為にそれはそれは頑張って下さいました。
少数で、肩を寄せ合い生きてきた魔族はダンジョンを管理する者だけに留まらず、数を増やし国を作り、ダザール様と母上を信仰する一勢力となりました。
それを良く思わなかったのが主神様です。
謀反の意思ありと、
母上の休まれている大地ごと消滅させようとされました。
怒ったダザール様は神界の禁を破り地上に降臨なされて、母上を守るためその一帯を魔族の領土としてダザール様自ら守護されております。」
俺は、話をきいて、主神の人間が出来て居ないのが問題なのが根本だが…はてさて俺に何が出来ますやら…。
俺は、素直に質問することにした。
「俺は、使徒として、主神からダンジョンマスターをシバいて地脈を動かせと言われている」
俺が言うと、ダンマスは、
「なん…ですと…」
と真っ青になっているが、気にせずに俺は続ける。
「技能神からは、主神のやり口が気に入らないから方々の話を聞いてやってくれと密命も受けている。」
ダンマスは混乱している様子。
俺は、ダンマスに投げ掛けた。
「で?魔族の母上は何を望んでいる。」
ダンジョンマスターは、やっと理解し、自分の役目が果たされることに一歩前進した事を喜び、涙した。
そして、俺は、
一人目のダンジョンマスターの
「マスター」になった。
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