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84話 捕虜

「主!!!」


「わんわんわんっ!!」


 ラウルに元の世界に戻してもらって、セルヴァさんを指定で治して、呼吸を確認してほっとしたところで、シャルティやアル達に抱き着かれた。


「シャ、シャルテイ!?アル!?」


「よかったのじゃー!!どちらも無事でよかったのじゃぁぁぁぁ!!」


「わんわんわんっ!!!」


 シャルティとアルが私に抱き着いて、デルとベガは気を失った状態のセルヴァさんを念力でふよふよと運んでベッドに寝かせてくれる。


「ごめんね。いろいろ心配かけて」


 私がシャルティとアルの頭を撫でたら


「べ、別に心配なんてしとらんのんじゃ!!我の方が年上なのじゃこれくらい年長者として当然なのじゃぁぁぁ!!」


 と、泣きながらツンデレを発揮するシャルティと、


「わんわんわんっ!!」


 と、嬉しそうに私の周りを周るアル。

 やっと戻ってこれたいつもの光景。

 


「ねぇ。みんな」


 私が言えば、その場にいる聖獣達の視線が集まる。


「これから少し大変な事をするかもしれないけれど――そうなってもついてきてくれるかな?」


 私がそう言えば、シャルティ達が顔を見合わせて


「何をやるかはわからんが、もちろんじゃ!!」


「わんわんわんっ!!!」

「わぉうん」

「わんっ!」


『大方の察しはつく、もちろん協力しよう』


 と、ラウルが言えば、シャルティが慌てて


「わ、我も大方の察しはついておるからな!???」


 と、訂正した。それが何だか可愛いい。


「うん、ありがとう。みんな」


 私がみんなをナデナデしていれば


「……う……」


 セルヴァさんがうっすらと目をあけた。


「セルヴァさん!!」

「「「わんっ!!」」」

「セルヴァ!!」


 一斉にセルヴァさんのベッドに駆け寄って


「……みなさん、すみませんご迷惑をおかけしました」


 と、セルヴァさんが力なく笑う。

 

「本当じゃ!!まったく心配させおって!」

「わんっ!!!」

 シャルティとアルの言葉にセルヴァさんが「すみません」と力なく笑う。


 私はセルヴァさんの手をつかむと、セルヴァさんが一瞬赤くなる。

 それもまた可愛いなと思ったりもするけれど


「それじゃあ、セルヴァさん、セルヴァさんのやりたい事をしましょう」


「……え?」


「外の人達助けたいんですよね?」


「……それは……」


「遠慮は駄目っていったはずですよ?

 好きな人の手伝いは嫌じゃないって言ったはずですよ?

 今度こそセルヴァさんのやりたい事を、やりたい人生を。


 一緒に!!!!」


 私が微笑めば、セルヴァさんも微笑んでくれて


「手伝っていただけますか?」

 

 と、はにかんで言ってくれて、それが嬉しくなる。


「喜んで!」


 私が笑えば、それに続いてシャルティもアルも自分も自分もと顔をだしてきて、セルヴァさんが嬉しそうに「お願いします」と二人の頭を撫でる。


 ――ずっと憧れてた、たとえ血がつながっていなくても、損得なく、手伝える関係。


 だってそれがきっと家族だから。



■□■



「アレン様!!これ以上の遠征はもう無理です!!一度引き返しましょう!!」


 遺跡の外にはりめぐされた陣営の天幕で兵士の一人がアレンにすがるように申し出た。

 ここに派遣されてもう3ケ月近くになろうとしている。

 本国もヴィクトールとアレンに敵対していた王族が実権を握ってしまい、遠征隊にだされる食料も極端に少なくされ、持って来た食料は底をついている。

 現場の兵士たちはなんとか闇に侵されてない、最近生えた草を食料に飢えをしのいでいる状態だ。それでも、最近は空腹との闘いであり戦争どころではない。


「――帰ってどうする?

 本国に戻れば役立たずと教団への面目のために殺されるだろう」


「ですが家族に会う事はできます!!」


「そして、教団に罰としてセズデルク王国の宝珠の闇の浄化を断られたらどうする?

 家族をも不幸にするつもりか?」


「それは……」


「なんとか中のセルヴァ様と連絡さえつけば」


 アレンは目の前に立ちふさがる壁に頭を抱える。兄のヴィクトールならこんな時どうしたのだろう?

 石化して戻ってこれない兄の代わりを務めねばならぬのに、ふがない自分を歯がゆく思う。


 そんな時だった。


 ばっさばっさ!!


 物凄い羽ばたきの音と、上空を巨大な何かが横切り、兵士たちが頭を上げれば、そこにいたのは……


「ゴ、ゴゴゴゴゴールデンドラゴン!?????」


 兵士たちの上空に現れたゴールデンドラゴンに皆愕然と空を見上げた。

 何がおこってるのかわからず、兵士もアレンも固まっていれば


「今すぐ剣をすて降伏してください!

 あなたたちは我々の捕虜となっていただきます」


 と、ゴールデンドラゴンの頭上から叫んだのは……アレンのよく知る人物セルヴァだった。

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