64話 文字
次の日。
なぜかデュランさんの家の前に行列ができていた。
「ど、どうしたの?あれ?」
パンを運んでいたラーニャさんに聞けば
「みんな村長に願い事を書いてもらいに行ってますよ~。
数字はかけても皆文字は書けませんから~。
私も少し書けるのですけど、神様に捧げるお祈りの札だから間違ってないかあとで確認してもらう予定ですぅ」
と、ラーニャさん。
あ、そっか……学校なんてないから文字を書けない人も多いのか。
デュランさんやラストさんが普通に文字を書けたからみな文字が書けると思い込んでいたけれど、よく考えればラストさんは割とお年をめしているから、いまの大神官が実権を握る前の世代だろうしなぁ。
今の大神官になってからは文字すら奪っていたのかも。
これは早急に学校を作ることも考えないといけないかもしれない。
シャルティの勘違いのおかげで思わぬ問題点も見えてきた。
シャルティとワンちゃんたちがストレス発散じゃーとモンスターを乱獲しまくっているおかげで食べ物も魔石も過剰気味。
あまり私達(主にシャルティやワンちゃんやセルヴァさん)に頼り過ぎないように獣人さん達に狩りを頑張ってもらっているけれど、そろそろ文化方面を発達させるのもいいかもしれない。
それに……よく考えたら私もこっちの文字は読めない。
ステータス画面は読めたのになぜか読めない。
なんでステータス画面は読めたり言葉は通じるんだろう?
□■□
「言葉が通じたり、ステータス画面のみ理解できるのは召喚時そのような契約だからだと思います」
シャルティとワンちゃん達の狩りに付き合って帰って来たセルヴァさんに聞いてみたら、返って来た答えがそれだった。
「なるほど!言葉は魔法で通じるようにしているだけだから文字が読めないんですね」
「はい。こちらの世界ではダルトナ語で統一されています。何か読みたい書物でもあるのでしたら私が読みますよ」
「あ、そうじゃないんですけど、みんなに文字教えなきゃ!と思ったらよく考えたら私も知らなかったなーって。
そうだ!セルヴァさん文字を教えてくれませんか?」
「私がクミ様にですか?」
「はい。学校とか作るにしても、まず私が読めないのも恥ずかしいですし。
お祭りが終わったらお願いします!」
私がそう言えば、セルヴァさんが微笑んで、「はいわかりました」と言ってくれる。
勉強にシャルティやわんちゃんたちが参加したがるとは思えないし、二人で授業ってちょっと嬉しいかもしれない。
最近お互い別行動が多くてあまりセルヴァさんと話せてなかったし。
獣人さん達が来て、人と接する事が多くなった分セルヴァさんとの時間が減っちゃった気もする。
最近また会話が街をどうやって発展させるかばかりになってしまって、セルヴァさん自身の事を聞けてないかも。
そんなことを考えていれば
「主―!!狩り頑張ったのじゃー!!そろそろおやつー!!」
「わんわんわん!!」
捌くためにお肉を獣人さん達に渡してきたシャルティ達がどろんこのまま帰って来ておやつと騒ぐので
「ちゃんと手を洗ってからだよ?今日は生チョコ作っておいたからね」
と、言えばシャルティとアルが我先にと噴水まで駆けて行った。
デルとベガは器用に部屋の水場でちゃんと手を洗っている。
シャルティとアルはいつになったら家の水場で洗う習慣が身につくのかな。
特にアル。外の噴水で手を洗っても戻るときに手をついてしまうので、意味がないような気がするけれど、必ずシャルティと競って外にでていってしまう。
まぁ、そこが可愛いのだけれど。
「洗ったのじゃぁぁぁぁぁ!!」
「わんわんわんっ!!!」
と、嬉しそうに駆け寄ってくる二人のために私は作っておいた大量の生チョコを並べてあげる。
この子たちは本当に美味しそうに食べてくれるから可愛いよね。
~今日のわんこ~
『生チョコ!生チョコ!!兄者生チョコ!!!』
『本当にアルはチョコが好きだな』
『チョコ大好き!特に生チョコはとろーっとしてみょーってして甘い!
とっても美味しい!!アルこれ大好き!』
「うぬ!生チョコはくちどけがまろやかで、口の中でとろける甘さがたまらんの!」
『でもすぐ終わっちゃう!もっと食べたい!』
「セルヴァのを見つめていればきっと分けてくれるはずじゃ!」
『するっ!それするっ!!』
「いくぞぉぉぉ!!」
『セルヴァ頂戴っ!!頂戴!!』
『あの二人は仲がいいな……』
『あんなことで仲がいいのはどうかと思うが……』
『あ、主様に怒られておるぞ』
『あの二人には聖獣としてのプライドはないのか』








