60話 ガチャ!
「クミ様―!!!とうとう出来ました!!!!」
今日作るシチューははじめてなのでスープ担当の獣人の人達にレシピを教えていたら、鍛冶屋のジャックさんが物凄い勢いで部屋になだれ込んできた。
「ど、どうしたんですか!?」
「錬成の業火で作ったフライパンですじゃ!!
なんと作った料理にHP回復能力がのるフライパンがついに完成いたしましたー!!」
「え!?それはすごいですね!?」
「ですな!外の世界ならこれがつけばきっと国宝級ですぞ!
これだから精錬ガチャはやめられませんな!?」
と、ジャックさん。
ガチャって言った、今ガチャって言った。
こっちの世界でもガチャって言葉あるのか……。
「ここは夢のような環境です!?素材も食事も提供されて研究に没頭できます!!
また凄い効果がでましたら真っ先にクミ様にお届けに参りますじゃ!!」
そう言ってジャックさんがもうダッシュで帰っていく。
ダメだあれはガチャ廃人の目だ。ジャックさんは突っ込んではいけない沼に足を突っ込んでしまった気がする。
「それにしても凄いですね!作った料理でHP回復するなんて夢のようっす」
一緒にシチューを作っていた男性の獣人さんがフライパンをのぞき込む。
「そうですねぇこれ夕飯のシチュー作るとき材料炒めるのに使いましょう」
「ええええ!?いいんっすか!?」
「こういうのって使わないと意味ないですよ。きっとガチャ廃人のジャックさんがまた作ってくれるだろうし。
私やセルヴァさんはシャルティやワンちゃんたちの加護があるので自動HP回復機能ついてますから」
私がにっこり微笑めば、獣人さんが嬉しそうに大事に使いますって笑ってくれた。
みんなの生活がこうやって向上していくのはいい事だよね。きっと。
□■□
「あ、クミ様―!!」
私がシチュー作りを終え家に帰ろうとする道すがら、話しかけてきたのはリーチェちゃんだった。頭に聖獣のラウルが乗った状態で私にぶんぶんと手をふっていた。
「リーチェちゃん」
「見てみてー!お野菜いっぱいとってきたの!あとイチゴにバナナ!!」
言って子供たちが背負ったたくさんの野菜と果物を見せてくれる。
今子供たちの仕事はもっぱら畑から収穫するのが仕事となっていた。
10Fまで行けるようにしてあげてあるので、野菜を取るのが日課となっている。
「おーいっぱい取って来たね、大変だったでしょう?」
「ううん全然!楽しかったよね!みんな!」
と、リーチェちゃんと子供たちがうふふと楽しそうに笑う。
つまみ食いOKになっているのできっとイチゴでもつまみ食いしたのだろう。
洋服に赤いシミがあったりするのでばれてたり。
こういうところが子供は可愛いなぁ。
「ありがとうね。じゃあ今度チョコバナナでも作ってみようか」
「チョコバナナ?」
「うん、縁日でよくあるやつ……」
「えんにち?」
「あ、そっか、お祭りとかやらないから知らないよね、ごめんごめん」
そもそもバナナなんて食べられる環境じゃなかったらしいし、私は子ども達にアハハと笑ってごまかした。
「クミ様お祭りってなぁに?厄災の魔獣様にお供えするやつ?」
「そう!そんな感じ!こっちでは何か出店をやったりするの?」
「出店?何それ?
魔獣様にご飯を備えて、お祈りして終わりだよ?」
「そっかーないのか、出店。
じゃあ、そろそろ生活も落ち着いてきたしやってみよっかお祭り」
私が言えば、子供たちは顔を見合わせた。
だいぶ生活も軌道にのってきて、物資にもかなり余裕もでてきたし、そろそろ娯楽もあってもいいよね。
わたあめ、チョコバナナ、りんごあめ、たこ焼き
うん。楽しいかもしれない。
□■□
「お祭り……ですか?」
屋敷に戻ってセルヴァさんに相談すれば、不思議な顔をした。
「はい!屋台をつくって出店で食べる物とかお面を売ったりするんです!」
「初めて聞きます。そのような風習があるのでしょうか?」
「え、神殿でもやっていないんですか?」
「はい、清めの食べ物を食べる風習はありますが、出店で何かを売ると言う風習は聞いたことがありません。どういう風習なのでしょうか」
「こー普段は食べないようなものを売って楽しむというか。みんなで踊ったりして楽しむと言うか」
私が慌てて言えば
「賛成なのじゃーー!!!!」
と、なぜかアルと追いかけっこをしていたシャルティから援護射撃がくる。
「え?シャルティ知ってるの?」
「知っておるぞ!!!ドラゴンの里でもゲームマスターが開催してくれたからの!
あれはいい!!美味しい食べ物がいっぱいあったのじゃー!!!」
と、シャルティが言えば、それを聞いていたアルも嬉しそうにワンワンと私の周りを周りだす。君たちは本当に食欲に忠実だよね。本当。








