58話 大雑把
「やはり人が増えるとはとてもいいことじゃな!!!
朝から食事が豪勢で量がいっぱいある!!!」
朝から、食堂でピーナッツバターのつけたパンをほおばりながら、シャルティが満足気にしゃべった。
「食べるか、しゃべるかどっちかにしないと行儀が悪いよ?」
と、私が注意したら、シャルティが全力で食べ物に集中する。
うん、そこで食べる方を選択するのがシャルティらしっていえば、シャルティらしい。
ワンちゃん達も朝から元気にお肉やチョコを付けたパンをたべて、私やセルヴァさんはみんなが焼いてくれたパンと、自作のサラダと卵焼きを食べていた。
朝の食事もほとんど獣人さん達がやってくれるので、前に比べてずっと楽。
「主!!最近、主の料理を食べてないのじゃ!!
久しぶりに食べたいのじゃー!!」
私がのほほんとコーヒーを飲んでいたら、シャルティが食事を終え言ってくる。
「そういえば最近つくってないねー」
「獣人の作った料理はレパートリーが少ないのじゃ!!
こう主の作った美味しいのがたべたいのじゃ!!」
「わんわんわんっ!!」
シャルティの言葉にアルが嬉しそうに賛同してくる。
「うーん、そういえばすき焼きとか、角煮とか煮物系はまだ獣人さんに教えてないかも?」
「それなのじゃー!すき焼き食べたいのじゃ!!
あとハンバーグ!!!それにオムライス!!!」
「じゃあ獣人さん達に作り方を……」
「違うのじゃ!!主のが食べたい!!」
と、シャルティが可愛い事を言ってくれるけれど
「レシピは同じだよ?何で獣人さんは嫌なの?」
「あ奴らは種族的に大雑把なところがあるのじゃ!!
手を抜いている!やはり主が作った方が旨い!!」
と、言ってくる。
うっ、確かにそれは言えている。
水抜きなんてしなくても大丈夫ですよぉ、味の違いなんてわかりません!と笑いながら下処理を省く傾向があるからなぁ。
ただ、味覚は人間より良くない方だと思う、当日作ったパンと次の日のパンも味の違いがわからない!とみな豪語するくらいだから。味覚が大雑把なのかもしれない。
犬は味覚が人間の5分の1しかないというのと同じ原理なのかな?
それにしてはワンちゃん達は味にうるさいけれど、フェンリルだから別枠なのかも?
とにかく、味の差が本当にわからないのにやる意味がないと言われれば、確かにそうかもと思わなくもない。
「うーん。了解。
最近あまり作ってあげてなかったし今日は久々に頑張ろうかな」
獣人さん達に教える事ばかりに夢中になっていてシャルティやワンちゃんたちには作ってあげてなかったしね。
「やったのじゃー!!!」
「わんわんわんっ!!!!」
「セルヴァさんは今日、どうする予定なんですか?」
私が腕まくりしながら聞けば
「今日は回復のポーションの在庫が少なくなってきたようなので、補充のためにデュラン達とダンジョンに籠りたいとおもっています。12Fでよく出るのですが、彼らのレベルでは危険ですから」
と、にっこり笑う。
そう言えば、狩りに行くデュランさんが、ここに来てからポーションがあるからとても狩りが楽だと言っていた気がする。
ポーションはとても貴重で、ドロップしてもすぐ神殿に没収されていたらしい。
「わかりました、帰ってくるまでに美味しい料理作ってまってますね」
「はい、楽しみにしております」
そう言ってダンジョンの支度をして出て行くセルヴァさんを手を振って見送った。
なんだかこうやってると夫婦みたいだよね。
ちょっと嬉しくなってニマニマしてしまえば
「主は何をにやついておるのだ?」
と、シャルティに突っ込まれてしまう。
うっ!?そういうのはいちいち突っ込まないでほしい。
気分に浸るくらいなら自由なはずだよ。……うん。
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~今日のわんこ~
「はーい、みんなご飯できたよー!」
『美味しい!美味しい!
やっぱり主様の料理が一番美味しい!!』
『うぬ、この一口噛んだだけで臭みもなくじゅわっと肉汁の広がる感じは主様の方が上だな』
『衣もサクサクだぞ!噛めばさくさくさく!!主様のはからあげが格段に旨い』
『主様のが一番!一番!ラウルもこっちに来ればいいのに!!』
『リーチェとかいう獣人と一緒にいたいらしいから仕方あるまい』
『アルは主様が一番好きー!!!』
「なんじゃ!我もそれなら負けておらぬぞ!!」
『アルが一番好きー!!!』
「なんじゃとー!!」
「はーい、喧嘩してたら最後のデザート作ってあげないよー?」
「我はアルと仲良しなのじゃ!!!」
『アル、ドラゴンと仲良しーーー!!!!』(抱きっ)
『あの二人にはプライドすらないな』
『うぬ』








