ニューライフ
今更ですが
あけましておめでとうございます
執筆速度は遅いですが今年もよろしくお願いします
現在馬車の中です。
そして兎と狐も一緒。人質ってやつだ。いや、実際はそこまでする必要もなかったけど。一緒に来ていた護衛の人達はみんな娘っ子だったのだけどやたらと素直。こっちが警戒等するので武器を預けてくれと言うと、ほいっと全員渡してきた。拍子抜けだ。
護衛騎士の隊長っぽい人がやたらとこちらに丁寧だし、兎っ子と狐っ子も丁寧だし。
まあ、情報収集もしたいし丁度いいので一緒の馬車に名目人質で一緒してる。居るのは俺とエリザと兎っ子と狐っ子と護衛の一人。キーヴは護衛騎士の隊長をナンパ中。年上で好みストライクだったらしい。そしてエルファがキーヴを監視中。暴走しないようにだそうだ。キーヴは意外と紳士だと思うから無用な心配な気もする。
で、他の護衛の人には御者や道案内をしてもらって現在。
「神託の信頼度ってどんなもの?」
質問タイム、にしようと思ったら。
「その前に貴方のお名前を伺っても?」
「ああ。そう言えばまだお互い名乗ってなかったな」
と、自己紹介タイムになった。で、兎っ子がヴィーナで狐っ子がロロ。護衛は実はエルフでフィリーというそうだ。正直護衛の人はどうでも良かったのだけど流れで教えてもらった。ふむ、それで話の続きはどうなのさ。
「え……と。神託でしたね。かなり昔は間違いなく的中していました。時にはこちらからの問いかけにも応えていただいていたそうで。教会が一番まともであった時代です。その後、先も話した通りに種族全体に巫女が出て、教会の暴走が酷くなった頃からです。かなり抽象的なことや断片的な神託が増えました。ですがそれに従えば悪い事にはなりませんでした。ですがそれが教会が暴走した原因にも思います。その後は神託の機会は減りました。月に一度有るか無いかわかりません。一年の間神託がなかった年もあります。ですが、重要度はかなり大きな神託が増えました。相変わらず詳しい神託はありませんが」
「じゃあ、今回の神託で俺たちが何をするとか、どんな人かとかも?」
「分かりません。ただ、手助けをしろと」
何も言わなかったエリザにどう思う? と聞くと苦笑して首をかしげるだけだった。何か知っていればと思ったけど大したことはわからなそうだ。となると
「ん~他にも色々聞きたいことはあるけど、とりあえず此処って一体ど…………エルザ」
此処がどこでどんなとこなのかを聞こうと思ったら何かを感じた。前みたいにレーダーのように感じないので不便だが、何かが近づいてくるのは分かった。
「敵ですか?」
エルザはまだ何も感じないらしい。
「多分。おい! ちょっと馬車止めて」
御者をやってくれていたわんちゃんに声をかけて止めてもらい外に出る。
「ユル、どうしたよ?」
馬車と並走していたキーヴと護衛の隊長さん――兜を取ったら猫耳でした――が仲良く寄って来た。その後ろにはエルファもいる。
「多分だけど敵が来る。ゆっくりだけど結構数は多いと思う」
俺の言葉を聞いたキーヴ達は警戒の、にゃん子隊長は不審げな表情だ。
「失礼だが貴方は人間種だろう。我々はまだ何も感じていない」
「いやいや~。ユル君は私たちより感度いいよ?」
そこに丁度馬車の背後を警戒していたティアとミコが来た。
「そうです。兄さんはすごいです」
なんかミコの言葉はおかしい気がするが。
「まぁまぁルティさん。こいつを信じてくださいよ」
キーヴはにゃん子隊長の名前を聞いていたらしい。そしてキーヴの言葉に不安げだが頷くにゃん子隊長。いつの間にそこまで仲良くなったのか。
「で、どうするの?」
エルファは平常運転だなぁ。
「そうだな。……段々と広がっている感じだ。多分包囲するつもりなんじゃないかな? エルファは馬車の上に上がれる? なら、三百六十度警戒で戦闘時は魔砲台で。ミコは御者台で援護と補助。エリザは前をティアは左でキーヴは右を。俺はいつも通り遊撃で。今のところ背後は何もないから放置で。何かあれば俺が行く、ってことでどうだろう」
ざっくりとしたことだけど特に意見もなく――にゃん子隊長は何か言いたげだったけど――決まったので配置につく。といってもそんなに時間を取ることでもないのでサクッと終わる。
しかし、なんだろうな。やたらと近づいてくるのが遅いんだが。しかも数が地味に増えて行く。なんだろな。
「ん? んな!」
のんびりと待っているとにゃん子隊長が何かに気づいたらしい。
「こ、この数は」
ああ、感知したのか。
「結構増えたよ。でもあんまり強くなさそうだけど」
気配の感知だけど、以前のレーダーのようにはならない代わりに、なんとなくだけど存在の強弱は分かるような気がするのだ。といってもこっちに来てから感じてるのは仲間と今の獣人御一行の気配だけなので正しいかは謎だけども。
でも俺がそう言うとエルファ、ティア、エリザも頷いたりしている。この三人は気配を感じ取っているらしい。ミコとキーヴはまだだ。
今いるところは獣道よりましなくらいの道で周囲の草丈は結構あるが、腰より高い草はない。エルファも上に登らせたし奇襲はないだろう。何とかなるんじゃないかなと思う。
「なるほど。この感じ、恐らくシーフウルフだな」
そうだろう? とドヤ顔でこっちを見てくるにゃん子隊長。いや、そんな顔されても。
「シーフウルフってなんですか?」
知らんしなぁ。




