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大熊猫と黒子の事件簿 ~六美童 密室っぽい殺人事件~ ⑩

昨日は新作書いていました 



https://book1.adouzi.eu.org/n3226go/

 少し昔の夢を見た。僕が友達と故郷で遊べていた時の夢。やんちゃな男の子と気が強い女の子、それと戦闘民族みたいな天武の才を持った赤の他人からは無表情に思われる女の子。小さな村で暮らしていたんだ。悪さをしては結構駄目なお姉さんに怒られて、その人の妹だった穏やかなお姉さんに友達が恋をしていて……あの日、故郷を失って。


 思えば故郷を離れて随分遠くに来たよ。……別の大陸どころか別の世界なのは予想だにしてなかったけれどさ。


「まあ、新作の宣伝はネタバレになるから其処までにして、起きなよリゼ……黒子君」


 その名前で呼ばれるのも久し振りな気がする。職場では皆コードネーム的なので呼び合って居るからな。友達も偶に会った時は……所で新作の宣伝って何の事だろう? 僕は過去の回想をしているだけなのに。


「メタネタだよ、メタネタ。具体的に言うと創作物の登場人物が自分が創作物の登場人物だと認識した発言をしたりするとか。まあ、今回は此処までにして戻ろうか」


 目を覚まし意識がハッキリした時、僕はキグルミサイズになったパンダに背負われて街の方に向かっていた。振り向けば僕を襲って来た二人が光るゲロを吐きながら気絶していたり、黒こげでアフロになって気絶していたりしていた。いや、気絶していたりって二回も書く必要は無いか。文章がくどくなっちゃう……はっ!? 僕は今、何を……?


「ふっふっふ! 君もメタネタ世界に足を踏み入れたみたいだね。じゃあ、彼奴達はゲルちゃんが何時の日か相手をするべきだから放置して帰ろうか。僕も結構無茶をしたから力が残って無いしさ」


 そんな状態で僕を運んでくれているのかと思うと感謝の念しか感じない。何故か記憶が飛ぶくらいに強烈な悪臭を食らった気がして体が痺れているし、流石に歩くのは無理だろう。早く街に帰ってベッドで休みたい……。


 それにしても勇者と戦う前に二回もギャグ的な敗北をした魔族の最高幹部って……。


「バラさなければ大丈夫さ!」


 流石に向こうがどう思うかは別として、ゲルダちゃんがやる気を削がれそうだからな。でも、アンノウン様なら絶対バラすと思う。所でギャグ的な負け方を二回したって普通に分かっているけれど、二回目の内容を思い出そうとすると頭が痛くなる。鼻の奥も痛いし、此処はスルーしなくちゃ。


「うんうん、そーだね。じゃあ、屋敷の屋根からこっちを見ているけれど気が付いてないって思ってる敵側の新キャラもスルーしようか。一人が真面目な顔でメイド服のデザインについて熱く語って幼女にドン引きされているからさ」


 幼女をドン引きさせているってっ!? そんな奴は僕が今すぐ倒さなくっちゃっ!


「……うわぁ」


 あれ? アンノウン様が僕に対してドン引きしてる? どうしてだろう?


「いや、登場してシリアスな顔を見せた後でギャグの一面を見せるなら兎も角、見た目の描写すらないのに先にギャグキャラの一面を見せられた事にドン引きしててさ」


 いや、全部アンノウン様のせいですよ? 話が進まないのでメタネタは此処までにして貰い、僕達はオットロに戻って来た。洗脳がいきなり解けた事でパニックが起きていると思ったけれど、どうも落ち着いている。もう大きくなるのも辛いらしいパンダを頭に乗せて観察すれば、街の人達は行儀良く広場に集まり、高台で行われているタラマさんの演説を聞いていた。


「皆、此度の事は魔族の仕業! 我々の力が及ばぬ事である! これを責めるは民が干ばつや洪水が起きた事そのものの責を領主に求めるのと同じ事! それでも責を感じるというならば、この街や隣人の為となる行動で償って欲しい! 僕も何も出来ずにいた無力を同じく償って行く!」


 演説の後に響くのは歓声。うん、どうやら大丈夫らしい。暴動は起きていなくても、自責の念で自分を罰するだなんて事になっても大変だからね。洗脳が解けたのがつい先程なのを考えると行動がいやに早い気がする。でも、それは彼が街の人が自責の念に捕らわれて軽率な行動に出るのを憂いて迅速に行動した結果なのだろう。或いは洗脳の類だと既に予想していて、解けた時の行動を用意していたか。


 ……正直言って六美童だのなんだのって熱狂的に支持される事には違和感が付きまとっていた。でも、本当は違うんだ。街の人達から元々強く指示されていたタラマさんへの想いが歪んだ形でバーバラ達に向けられた結果があれだったのだろう。何はともあれ、事態が無事に収束して何よりだ。ホッと胸をなで下ろした時、僕の胸からネームプレートが落ちる音がした。もしかしてアンノウン様が弱まった影響?


「うん! ……あっ、接続が弱まって……」


 パンダの声とネームプレートが地面に落ちて鳴った以外と大きい音により、広場に居た人達の視線が僕に集まる。そう、幼女を狙う不審者という汚名を着せられた僕にだ。


「……例の変質者が居たぞっ!」


「取り敢えず捕まえるんだっ!」


 あっ、不味い。僕は咄嗟に逃げ出すけれど引き離せない。流石に戦いで消耗が過ぎたらしく屋根の上に飛び乗れないし、飛び乗ったら飛び乗ったで例の変な連中と目が合う可能性だって。……早く仲間を連れて帰れば良いのに。臭いから近付きたくないのかな? 僕も少し臭いままだし。アンノウン様ったらどんな変な事をしたんだろう、知りたくもないけれど。



「回り込めっ!」


 あっ、これは捕まる。只ひたすら追われるがままに逃げていた僕と違い、追って来た人達はこの街の住民だ。直ぐに回り道をして僕の前に現れる。一か八か強行突破を……。


「!?」


 突如僕の足下が崩れ、そのまま雑に掘られた縦穴を落ちて行く。何度か壁にぶつかりながらも一番下まで落ちた時、僕はフラミンゴの上に乗っていた。


「……フゥ」


 僕の方を見て世話が焼けるとばかりに溜め息を吐くけれどフラミンゴが相手だから気にならない。上を見れば空が随分遠くなり、のぞき込んでいる街の人達には僕の姿が見えない様子だ。随分と深い穴だけれど、もしかしてフラミンゴが掘ったの? 確か普通のフラミンゴじゃなくてモンスターらしいし。


「クェ!」


 目の前に広がるのは微妙に傾斜が付いた薄暗い道。フラミンゴはその道を僕を背中に乗せながら走り出した。あっ、安心したら眠くなって来た。事件も解決したし、後は街の人達に任せて……。







「お主、随分と変わった奴じゃが、そのパンダのヌイグルミとフラミンゴはお前さんの使い魔じゃったか?」


「!?」


 えっと、目が覚めたら山の麓の洞窟から出た所だったんだけれど、ガンドル大司教と遭遇しちゃってる。……どうしよう。




「ふっふっふ! 僕、ちょっと復活! 違うよ、ガンちゃん! 僕は君の知り合いの使い魔さ!


 やった! こんな時だけは頼りになるアンノウン様が動いてくれた。少し警戒されていたし、一次はどうにかなるかと思ったけれど、何とか大丈夫そうで良かった。





「成る程。その傍迷惑で無茶苦茶な行動からして……イシュリア様の使い魔じゃな?」


「……あっ?」


 今、ヌイグルミなのにパンダから何かが切れる音がした……。

アンノウンのコメント  冷静じゃないのでコメント不可能です


応援お願いします 挿し絵、新しいのラフ貰いました


軽いので良いのでモチベーションとなる感想を! 有ると無いでは全然違いますので是非!

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