ダブルデートです!
俺達が部屋に戻ってくる頃には、もう夕飯時になっていた。俺とアミィは、弁当で夕食を済ませ、ゆったりとした時を過ごしていた。
さて、アミィに碓井さんからの話の内容を伝えないといけないな。俺は上手いこと内容をぼかしてアミィに話をした。
「つまり……ご主人様と夏樹さんで遊びに行くということですか?」
「あぁ、そうだね。もちろん、アミィも一緒に来ても大丈夫だから、何も心配しなくていいからな」
「私は特に心配なことはないので、ご主人様に付いていくだけなのですが……何か、心配するようなことがあるのでしょうか?」
アミィは俺が夏樹ちゃんと深い関係にならないかということは全く考えてもいないようだった。
というより、俺がそうならないようにモヤっとした言い方をした訳だけど。
「いや、何でもないよ。それじゃあ、今日のところは早めに休もうか」
「はい! お休みなさいませ、ご主人様!」
俺はこれからどうやって夏樹ちゃんを誘ったものか考えながら眠りについた。相手はアイドルだ、妙な気を起こさないよう気を付けないとな。
…………
数日後、俺は高天崎駅から二駅離れた『諸江駅』近くの繁華街にある小さな公園で待ち合わせをしていた。もちろん、隣にはアミィも一緒だ。
俺は夏樹ちゃんを『コンサートに招待してもらったお礼に食事でもどうか』という体でデートに誘ってみた。
お礼のお礼という形になるけど、これくらいしか夏樹ちゃんとの接点がないからしょうがない。それでも、夏樹ちゃんを誘うことに成功したから、結果オーライだ。
今日はマリンちゃんも一緒に付いてくるらしい。やっぱり俺と夏樹ちゃんのふたりきりとなると、緊張してしまうから正直助かる。
「ひ・び・き・さん!」
突然、俺の腕に女の子の腕が絡み付いてきた。その女の子はロングヘアーで、サングラスと黒のハンチング帽を身に付けていた。服装は桃色のカーディガンにベージュのロングスカート、まさか、この娘は。
「もしかして、夏樹ちゃん!?」
「そうですよ、響さん! 解りませんでしたか? 変装、大成功です!」
「びっくりするから、勘弁してよ、夏樹ちゃん……」
「ごめんなさい、響さん。つい、嬉しくって……今日は誘ってくれてありがとうございます!」
この態度、確かに碓井さんがいう通り、俺に何かしら特別な感情がありそうだ。さぁ、これからどうするか、考えろ、俺。
そんなやり取りをしていると、もう一人の女の子が俺に話しかけてきた、マリンちゃんだ。マリンちゃんは、夏樹ちゃんと同じようにサングラスとハンチング帽を身に付け、服装は黒皮のジャケットにデニムのホットパンツだった。
「メイド服じゃない私達も新鮮でしょ? 今日は宜しくね! 響さん! アミィちゃん!」
確かにメイド服じゃない二人はとても新鮮だった。こうして見ると、二人ともやっぱり普通の女の子なんだなと思わされる。
「マリンちゃんも来てくれて助かるよ、やっぱりふたりきりは俺には荷が重いからね。今日は宜しくね」
「まぁまぁ、今日は夏樹ちゃんをエスコートしてあげてくださいよ、響さん! それじゃあ、アミィちゃん! 私と一緒にお話しようよぉ!」
「わあ! マリンさん、どうされたのですか!?」
「いいからいいから、それじゃあ、しゅっぱ~つ!」
マリンちゃんはアミィの腕に自分の腕を絡ませる。これじゃあふたりきりと変わらない気がするけど、仕方ないか。
「私達も行きましょう? 響さん!」
「そうだね、取り敢えず、行こうか」
何だかんだで俺と夏樹ちゃん、アミィとマリンちゃんの2グループに別れて繁華街の中を歩くハメになった。
人間とメイドアンドロイド同士の異色のダブルデート。俺は夏樹ちゃんとどんな話をしたものか考えながら繁華街へと歩を進めた。
…………
「ところで響さん、今日はどこに連れていって下さるんですか? まさか、何も考えてないなんて言いませんよね?」
夏樹ちゃんは冗談めかして俺に話しかけてきた。よかった、事前に準備しておいて。
「今日はこの辺で話題のスイーツでもどうかと思って、予約を入れてるんだ。夏樹ちゃん、確か桃が好きだったんだよね? 今から行くお店、今が旬の桃を使ったスイーツが有名らしいんだ」
「私の好物、ご存知だったんですか!? 嬉しい! ありがとうございます! 響さん!」
いいぞ、夏樹ちゃんも喜んでくれてるみたいだ。昌也もたまには役に立つもんだ、恩にきるぞ、昌也!
その後も俺と夏樹ちゃんはとりとめもない会話をしながら、繁華街を歩き続けた。俺の腕には夏樹ちゃんの腕がしっかり巻き付いている。俺はそんな役得に少し舞い上がってしまっていた。
…………
私達は響さんと夏樹ちゃんに後ろから付いていく。アミィちゃんと話すチャンスだ、私はアミィちゃんに話を振る。
「ねぇねぇ、アミィちゃん、あの二人、どう思う?」
「どう……といいますと?」
「何だか、お似合いのカップルって感じじゃない?」
「!! ご、ご主人様は、わ、私と……」
「私と?」
「いえ……何でもありません」
何だろう。アミィちゃん、顔を真っ赤にしてしぼんじゃった。
「それならいいんだけど……アミィちゃん、ちょっといいかな?」
「何でしょうか? マリンさん」
「えっとさ、その『マリンさん』って呼び方、何とかならないかな? ほら、私の名前、『マリンちゃん』でワンセットっていうか……な~んかムズムズするんだよね~」
「そ、そうですか? それじゃあ、マ、マリンちゃん!……さん」
「プッ! 何それ! アッハッハ! おっかしい!」
「申し訳ありません、マリンさん……あっ!」
「ゴメンゴメン、マリンさんでいいよ、もう。アミィちゃん、面白~い!」
「そ、そんなに笑わないで下さいよぅ……」
うん。アミィちゃん、やっぱりかわいいな。こんなかわいいメイドアンドロイドと一緒に暮らす男の人って、どんな気持ちなのかな。
私はそんなことを考えながら、アミィちゃんと手を繋いで、響さんと夏樹ちゃんの背中を見ながら繁華街を歩き続けた。
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