く、苦しいです……
約束の土曜日がやって来た。俺とアミィは高天崎駅前の人混みの中を歩く。
アミィが人混みに呑まれないよう手を繋いで。さすがに今日は普通に手を繋ぐ。
「やっぱり休みの駅前は混むな……」
「紫崎さん達、見つかるでしょうか……」
多分それについては大丈夫だ。何せメリーさんの体格は常人離れしているからな。どこにいても目立つことは間違いない。
しばらく歩き続けると、待ち合わせ場所である大時計の前に到着した。どうやら紫崎とメリーさんはまだ来ていないようだ。
時間は11時45分。待ち合わせの時間には少し余裕がある。俺達は大時計の前のベンチに座り2人を待つことにした。
「ご主人様、ちょっとお聞きしてもよいですか?」
「何だい? アミィ」
「今日お会いする方はご主人様の同僚の方なんですよね?」
「そうだけど……何で?」
「いえ、それなら昌也さんも一緒にいらっしゃればよかったのではないかと思いまして……」
「あぁ、どうも昌也は一方的に紫崎君に苦手意識を持ってるみたいでね。丁度いい機会だからって誘ってみたんだけど断られたんだ」
「そうなのですか……」
「まぁ、近いうちにまた誘ってみるさ」
俺達がそんな会話をしているとこちらに向かって歩いてくる姿があった。紫崎の後ろからメリーさんがノシノシと付いてきていた。
「すいません、お待たせしましたかね?」
「いや、俺達もついさっき来たところだよ。紹介するよ、これがうちのメイドのアミィだ」
俺はベンチから立ち上がり、アミィの紹介をする。それに合わせて、アミィもベンチから立ち上がる。
「初めまして! 私、アミィと申します!」
「あぁ、僕は響さんの後輩の紫崎 琢磨、宜しくね。こっちはうちのメイドのメリー……メリー?」
紫崎がメリーさんの紹介をしようとするがどうも様子がおかしい。メリーさんがワナワナと震えている。
そして、メリーさんは予想外の行動に出た。
「か……か……か~わいぃ~~~♥️」
「ひゃあ!」
アミィがメリーさんに捕獲された。抱き締められたアミィはなす術もなくジタバタしている。
「お話で聞いていたより何倍も可愛いです~! あ~ このまま食べちゃいたいくらいですよぉ~」
メリーさんはアミィに頬擦りしながら物騒な事を言っている。アミィはただただメリーさんにされるがままだ。
「私、食べても美味しくないですよぉ~ 高いです! 高いです! お願いですから、下ろしてくださ~い!」
だんだんジタバタするアミィの体から力が抜けてくる。するとメリーさんは我に帰る。
「あぁ! ごめんなさいアミィちゃん! あんまり可愛いかったものだからつい……」
メリーさんはアミィへの拘束を解き地面に下ろす。
「こんな人気の多い所で何やってるんだメリー……」
紫崎は頭に手を当てて首を振る。確かに周囲からは往来の人々の目線を感じる。
「ごめんなさい、坊っちゃん……怒ってますか?」
メリーさんは申し訳なさそうに紫崎を見つめる。
「あ、いや、別にそこまでは……」
まぁ、こんな顔されたら怒れないよな。
「ならよかったです~」
メリーさんの表情がパッと明るくなる。
「あ、それじゃあ改めて自己紹介しますねぇ~ わたし、琢磨坊っちゃんのメイドのメリーっていいます~ 宜しくお願いしますね、アミィちゃん♥️」
メリーさんは柔らかい笑顔でアミィに挨拶をした。
「はい! 宜しくお願い致します! メリーさん!」
アミィも丁寧に笑顔で返事をした。
どうやらメリーさんはいたくアミィを気に入ったようだ。今日の目的の一つであるアミィの友達作りはひとまず成功かな?
「さて……それじゃあ取り敢えずいい時間だしみんなでお昼でも食べようか?」
『お昼』という言葉に、紫崎が妙な反応をする。そして紫崎は顔をひきつらせながら口を開いた。
「そ、そうですよね……やっぱりそうなりますよね……あ、いえ、行きましょう、えぇ」
「……どうした紫崎君」
「あ、いえ、何でも……」
「何でもってことは無いだろ」
「……じきに解りますよ、えぇ」
「?」
「?」
俺とアミィは紫崎の妙な様子に疑問を感じるばかりだった。しかしこの紫崎の態度の謎はすぐに明かされることになった。
「それじゃあ、行きましょう! みなさん! 楽しい楽しいランチタイムに!」
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