お弁当です!
「ごちそう様でした」
「ご馳走様でした!」
夕食のカレーを平らげ、俺達は満腹感に浸っていた。味の方はアミィの積極的な隠し味の投入によりやっぱり甘めになってしまった。
「さて、後は風呂に入って寝るかな」
「お風呂ですか……あのぉ……ご主人様、もし宜しければ……」
アミィが上目遣いでおずおずと切り出す。今までにないタイミングだな、何だろうか?
「どうした? アミィ、そんなに遠慮して」
「もしよろしければ、私が、お背中をお流ししましょうか?」
「いぃ!?」
アミィからのまさかの提案、俺の体は一気に熱くなる。さすがに一緒に風呂ってのは正直恥ずかしい。アミィが俺の事を好いてくれるのは嬉しいがここは我慢だ。
「あ、いや、悪いけど、今日のところは遠慮しとくよ。また今度! また今度な!」
「そうですか……解りました」
アミィは残念そうにしているが、俺は煩悩を振り切る。仮にも愛し合っているとはいえ絵面的にアウトだ。
まぁ、アミィが積極的に距離を縮めようとしてくれるのは嬉しいんだけど。
俺はアミィの突然の提案に、不覚にもちょっとドキッとしてしまった。これからもこんなことがあるのかなと思いながら、俺は風呂場へと向かった。
…………
俺は、風呂から上がり麦茶を一杯やりながらくつろぐ。すると、アミィがちょっと遠慮気味に俺に話しかけてきた。
「ご主人様、ちょっとお願いがあるのですが、聞いていただけますか?」
「何だい? アミィ」
「私が起きる時間なのですが、二時間程、早くしていただけませんか?」
これは思ってもいなかったお願いだ。早く起きて何かやることでもあるのかな。
「解ったよ、アミィ。それじゃあ、こっちにおいで」
「ありがとうございます!」
俺はアミィの目覚ましタイマーを設定し直し、ベッドへと潜り込んだ。
「それじゃあ、おやすみ、アミィ」
「おやすみなさいませ、ご主人様」
…………
何だろう、何やら台所が騒がしい。時間は6時、まだ外は薄暗い。
いつも俺が起きる時間には少し早いけど、音が気になり早めに起きることにした。
「ふわぁ~ おはよう、アミィ」
「ご主人様! 申し訳ありません! 起こしてしまいましたか!?」
「いや、大丈夫だよ。俺もたまには自分で起きないとな」
アミィは台所でバタバタと何かを準備しているようだった。台所には何やら香ばしい臭いが漂う、朝食にはまだ少し早いんだけどな。
「こんな朝早くから何やってるの? アミィ」
「あの……えっとですね……」
アミィは目を伏せ、モジモジしながら俺の質問に答える。その顔は、ほんのりと桜色に染まっていた。
「その……ご主人様に……お弁当を……ですね……」
アミィから視線を外すと、シンクの上に見覚えの無い弁当箱が乗っているのが見えた。そうか、これが昨日の買い物の「内緒」の正体か。
まさか、アミィが自分から俺のために弁当を作ってくれるとは。何だか、胸の奥からアミィへのいとおしさが溢れてくる。
「嬉しいよ……ありがとう、アミィ」
俺は思わずアミィを抱きしめ、アミィの頭を撫でた。朝からこんな感動を味わうことができるなんて思ってもいなかった。
「ご主人様に喜んで戴けて、私も嬉しいです……」
アミィはうっとりとした表情で、目を細める。こんな時間がずっと続くといいんだけど、そうも言っていられない。
「どれどれ……」
俺はアミィから離れ、シンクの上の弁当箱を覗き込む。すると、アミィが俺の前に立ち、視界を遮る。
「わわわ! ダメですよ、ご主人様! 中身は後でのお楽しみです!」
アミィが俺の前で手をバタバタさせている。確かに後の楽しみにしておいたほうがいいかもな。
「解ったよアミィ。あ、そうだ、今日の朝食はどうなってるのかな?」
「あ!」
アミィが口の前に手をやり、声をあげた。そして、直後に目を閉じて、ため息混じりでうなだれる。
「お弁当に夢中で忘れてました……申し訳ありません……」
「ハハハ……」
さすがアミィだ。相変わらずどこかが抜けている。それでも、それほどまでに一生懸命弁当を作ってくれたことは嬉かった。
俺は食パンを齧り牛乳で押し込んで玄関へと向かった。勿論アミィが作ってくれた弁当は鞄に詰め込んだ。
「それじゃあ行ってくるよ、アミィ」
「行ってらっしゃいませ! ご主人様!」
今日もいつもの様にアミィが手を振りながら俺を見送ってくれる。アミィお手製のお弁当、今日の昼飯が楽しみだ。
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