ももちゃんです!
「ただいま~」
俺達は買い物を済ませ、部屋に戻ってきた。時間は15時、まだまだ日は高い。
「私は早速、このこを直してあげます! 私一人でできますから、ご主人様は、ゆっくりしていてくださいね!」
アミィはぬいぐるみを手に、拳を握って張り切っていた。目の奥には、心なしか炎が燃えているようにも見えた。
「あぁ、頑張れ、アミィ」
俺はアミィの邪魔にならないようソファーで静かにスマホを弄ることにした。昼下がりのゆったりした時間、やっぱり休みはこうでなくちゃな。
…………
一時間後、俺はスマホをいじるのを止め、アミィのことをジッと見ていた。時間が経過する毎に、俺はアミィが頑張っている姿を最後まで見届けたくなってしまっていた。
「えっと……ここがこうで……あっ! 違う違う……なかなか上手くいきませんね……」
どうやらアミィは裁縫も苦手のようだ。予想通りと言うかなんと言うか。アミィは目を凝らしながら、黙々と針と糸と格闘する。
俺が手伝うこともできるけど、ここはアミィに任せるのが正解だろう。俺は引き続き修理が終わるまで大人しくアミノを見ていることにした。
…………
更に一時間後、外からは夕日の光が差し込んでいる。どうやらぬいぐるみの修理は佳境のようだ。
アミィは黙々とぬいぐるみに向き合う。俺はそんなアミィを、ただずっと見守り続けた。頑張れアミィ、もう少し、もう少しだぞ!
しばらくすると、アミィが声をあげた。普段のアミィからはなかなか出ない大声だ。
「出来ました! 見て下さい、ご主人様! 直りましたよ!」
アミィは目を見開き、パタパタと俺に駆け寄る。さっきまでの難しい表情からうって変わって明るい笑顔だ。
「どれどれ……」
俺はアミィの手元のぬいぐるみを見る。正直、お世辞にも綺麗な仕上がりとは言えなかったけど、裂けた部分はしっかり塞がり、とれていた目も新たに付けられていた。
「頑張ったな、アミィ! ぬいぐるみも喜んでるぞ!」
「はい! ありがとうございます! 私、やりました!」
俺はアミィの頭をグシグシと撫でる。アミィの顔からは達成感がありありと感じられた。
「あ、そういえば」
アミィが思い出したように、手を叩きながら言った。
「このこに名前を付けてあげないといけませんね……」
ぬいぐるみに名前か。アミィらしいと言えばアミィらしい。
「ご主人様は、このこの名前は何がいいと思いますか?」
「俺!?」
まさかこっちに振ってくるとは。考えろ……考えろ……
「……ピンク色だから、ももすけとか?」
我ながら苦しいネーミングセンスだ。正直、自分で言っておいてだがあまりかわいくない。
「ダメですよ! ご主人様!」
参ったな、そんなに酷かったかな? しかし、アミィの次の言葉は全く別方向のものだった。
「このこは女の子なんですよ! だって、こんなにピンク色なんですよ!? 男の子のわけないじゃないですか!」
そうだったのか、初耳だ。ぬいぐるみに男も女も無いもんだけど、ここはアミィに合わせてあげよう。
「それじゃあ……ももちゃんなんてどうでしょうか?」
どうやらアミィは俺の意見を汲んでくれたようだ。くだらないかもしれないけど、その気遣いが何だか嬉しかった。
「いいんじゃないか? それで」
「はい! それじゃあこれから宜しくね、も~もちゃん♪」
アミィはぬいぐるみを抱き締めほおずりしている。そこまで大事にしてくれたら苦労して取った甲斐もあるってもんだ。
ふと窓の外に目をやると、外はうっすら暗くなり始めていた。そろそろ夕飯時、アミィのかわいい姿がちょっと名残惜しいけど、俺はアミィの至福の時間に割り込んだ。
「さて、ぬいぐるみも直ったことだし、そろそろ夕食の準備でもしようか!」
「はい!」
俺達は夕食の準備に取りかかった。もちろん、作るのは二人一緒だ。
今日の夕食はカレーの予定、アミィが買い物の時にチョコレートを大量に買い込んでいる事は確認済み。隠し味はカレーとして成立する程度に抑えるよう気を付けないといけないな。
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