「ツインマーメイド」です!
一通りレジャーを楽しんだ俺達は、ビーチパラソルの下で昼食をとる。時間は丁度正午、日が昇りきり、一番暑くなる時間だ。
「やっぱり海といえば焼きそばよな(ズルズル)」
「いや、個人的にはカップうどんをお勧めしたい(ズゾゾゾ)」
「かき氷ってこんな頭がキンキンする食べ物なんですね……でも甘くて美味しいです!(パクリ)」
「……(ムグムグ)」
俺達は、思い思いに選んだ昼食を存分に楽しんだ。そして、焼きそばを平らげた俺は、次の予定を決めるべく口を開いた。
「この後はどうする? 帰るにはちょっと時間もあるし、せっかくなら何か変わったことがしたいよな……」
そんな俺の言葉に、昌也が反応した。何だ? 何か名案でもあるのか?
「そういえばよぉ、さっきイベントの予定表を見たんだけど、何か午後から巨大ステージででっかいイベントやるらしいぜ」
興味深い話だ、詳しく聞いてやろうじゃないか。
「ちなみにどんな?」
「色んなアイドルやミュージシャンが集まって合同ライブやるんだってよ! 入場料もそんなに高くないみたいだから皆で見に行こうぜ!」
「ほう、面白そうだな。海水浴場で合同ライブとは、なかなかいいじゃないか、ナイスな情報だ、昌也」
「私も合同ライブ、行ってみたいです! 海で遊ぶだけじゃなくて、歌まで聴けるなんて、本当に素敵です!」
アミィも昌也の提案に興味津々みたいだな。それに引き換え、キッカさんは何だか乗り気じゃなさそうだ。
「興味ありませんね、私達はあくまで海を楽しみに来た訳で、何もこんな暑いなか、わざわざ素人に毛が生えたような歌なんかを聞くのはナンセンスかと思いますが」
改めて、キッカさんの辛辣さにはちょっと参ってしまうな。俺はそんなキッカさんを何とかライブに来てくれるよう説得してみる。
「まぁ、そう言わずにキッカさん、どうせだからみんなで行ってみようよ。おい! 昌也からも説得してくれよ!」
「そうだよ、キッカさん! 俺からも頼むからさ! みんなで一緒に聴いていこうぜ!」
「まぁ、ご主人がそう仰るのであれば、やぶさかではありませんが……」
何だかんだでキッカさんは、昌也のお願いなら聞いてくれるみたいだから助かった。
これで曲がりなりにも俺達全員で合同ライブを楽しむことができそうだ。
「それじゃあ、みんなの分のチケット買ってくるから待っててくれよ」
昌也はウキウキでチケットを買いに走っていった。
海水浴場での合同ライブ、なんとも言えない非現実感が俺を包む。キッカさんには悪いけど、俺の気分はとても高揚していた。
…………
俺達は巨大ステージの前までやってきた。
チケットを買うのが遅れたのでちょっと後ろの方の席になったけど、手にはチケットについてきたワンドリンク、準備も万端だ。
「さあ、そろそろ開演だな」
「おう! 楽しみだな!」
「ドキドキ……ドキドキ……」
「ふぅ……」
キッカさんは何だか浮かない顔だ。指に髪の毛を巻き付けながら何処か遠くを見ている。
程なくして、合同ライブの司会者がステージに上がる。さぁ、いよいよだぞ。
『皆さま! 本日は、暑いなかお集まり戴きありがとうございます! オーディションを勝ち上がってきた選りすぐりの演者の数々! これからの時間、存分に楽しんでいって下さい! それでは! 開! 演! ですっ!』
司会者の掛け声と派手な花火と共にライブが開演した。開演早々から、俺達の目線はステージの上に釘付けになっていた。
…………
ライブには様々なジャンルのグループが参加していた。中にはアイドル型アンドロイドやミュージシャン型アンドロイドも数多くみられる。
アンドロイドと鎬を削っている人間の音楽家には頭が下がる思いだ。そんな中、一際大きな歓声を浴びるユニットがいた。
「「みんな~! 今日はライブに来てくれてありがとぉ~!」」
「私達『夏樹』と~!」
「マリンの~!」
「「『ツインマーメイド』の歌、楽しんでいってね~!!」」
何と。そんな有名どころまで参加していたのか。
ツインマーメイドは他に類を見ない『藤野 夏樹』とメイドアンドロイド『マリン』との異色のユニットだ。
国民的アイドルとしてお茶の間では見ない日はない程の人気ぶりだ。そんなユニットの歌をこんなに安価で聞けるとはなんとも運が良い。
俺達はしばらくツインマーメイドの歌に酔いしれた。その歌声は、時間を忘れさせるほど、美しく、華麗だった。
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