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【旧】アミィ  作者: ゴサク
一章 二人のアミィ
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「アミィの秘密」です!

「待たせたね、響君」


 勢いよくドアが開く音と共に、応接室に高月博士とアミィが戻って来た。そして、二人は元々座っていた場所に腰掛けた。


「さて、結論から言おうか」


 高月博士が口を開く。オレは固唾(かたず)を飲んで博士の言葉を待つ。


「現状、私に出来ることは殆ど無い」


 その言葉を聞いた俺は、ガクッと項垂れた。やっぱり、メンテナンス工場で言われた通りなのかな。


「そうですか……」


「まぁ、そうガッカリしないでくれ、私は『殆ど』と言ったんだよ。逆に言えばある程度の対策は講じる事は出来るのだよ」


 俺は、高月博士の言葉に飛び付いた。


「対策とは!?」


「まぁ、待ちたまえ。今から説明するから」


 高月博士は俺をなだめるように手を上げ、前後に振りながら話を続けた。


「まずは、危険な場所に近づかないこと。このバグは持ち主の危険に応じて反応するもののようだからね。腕から端末を外しバイタル管理を断つという手もあるがそれはお勧めしない、なぜなら第二の対策に関わってくるし目視でもこのバグは反応するからだ」


 そのバグとやらは、結構アナログな仕組みしているんだな。俺は、更なる高月博士の説明に耳を傾ける。


「第二の対策として端末に強制停止の機能を追加しよう。強制停止を行うと記憶メモリに障害が出る恐れがあるからこれは最終手段なんだがね。以上、何か質問はあるかな?」


 確かに、それなら何とか問題無く生活出来そうだ。

 アミィの家事については諦めるしかないか。まぁ、ドジッ娘メイドというのも乙なものだ。


「いえ、特に質問はありません。ありがとうございます、本当に」


「いいさ、嫁に出た娘を助けるのも親の仕事だよ」


 確かに、高月博士の顔は何だか穏やかな表情をしている。これが子を見る親の顔ってやつなのかな。


「そういえば……ちょっと別件で聞きたい事があるんでした」


「何かね?」


 俺はどうしても気になることがあった。普通に考えたら、この疑問に行き着くのは当然だ。


「いや、アミィが何であんなに強いのかなって思いまして」


 あの時のアミィの戦闘能力は、目を見張るものがあった。どう考えても、メイドとして必要な性能を遥かに超えている。

 そんな俺の質問に、高月博士は落ち着いた様子で答える。


「そうだねぇ、キミは0796型の特徴を知っているかね?」


「特徴、と言いますと?」


「何だ、キミは見た目だけでメイドアンドロイドを選んだ口かね」


 全くもっての図星で、俺には返す言葉もなかった。


「……お恥ずかしい限りです」


「いや、結構結構、それが普通だよ」


 高月博士は甲高い声で笑い、話を続ける。


「0796型は小型の体格でメイドの仕事を行うために高性能のショックアブソーバとサスペンションを搭載していてね。骨格はチタン製で外殻はカーボンナノチューブ、極限まで軽さと強度を追及してある。もしサスペンションを強制的に圧縮させる事が出来たらどうだろうか? 極限まで蓄えられたエネルギーを一気に解放したらどうなると思う?」


 そうか、それが最後のストレートの威力の正体か。腕と足のサスペンションを強制的に圧縮して威力を高めた訳だ。


「移動の際は機体の軽さとショックアブソーバによるショック緩和で次の動作をスムーズに行うことが出来る」


 なるほど、あの素早い足裁きの正体はそういうことだったんだな。

 それにしても、聞けば聞くほどアミィの性能は過剰な気がするな。


「まぁ、質問の答えとしてはおおよそはこんな所かな。他には無いかな?」


「あ、最後にひとつ」


「何かね?」


「あの取扱い説明書読みにくくないですか?」


「そうかね? ハッハッハッ……」


「私からも最後にひとつ」


 真剣な表情で高月博士は言った。


「0796型に限らず他のメイドアンドロイドもやろうと思えばアミィちゃんの様に戦うことが出来るということを覚えておいて欲しい」


「……なぜですか?」


「いずれ解るよ、まぁ、そうならないことを祈るがね」


「……」


 高月博士のこの言葉の真意が解るのはもう少し先の話だった。もっとも、俺にはどうにもできない話ではあったんだけどな。


「それじゃあ、ちょっと端末貸してくれないかね?」


「あ、そうでしたね」


 俺は端末を外し、高月博士に預けた。


「ちゃちゃっと追加してくるから待っててよ」


 俺から端末を受け取った高月博士は、再び応接室から出ていった。その間、俺とアミィはソファーに座って高月博士を待つ。


「これで、ちょっとは安心して暮らせるかな?」


「私、やっぱりちょっと不安です。それに……」


 アミィの表情が一気に沈む。そして、アミィは声を細めながらつぶやいた。


「私、ご主人様と一緒に外に出られないんですか? 私、この前みたいにご主人様と一緒にお散歩したりしたいですよ……」


 まぁ、さっきの話だと、要は俺が注意をしていればいいだけの話だ、そこまで深刻に考えるのはよそう。


「大丈夫、俺が危ない目に遭う前に逃げればいいんだから! 簡単な話さ、だから、これからも一緒に色んなところに行こうな! アミィ!」


 俺の言葉で、アミィの顔に笑顔が戻る。今は気休めでも、アミィには元気でいてほしい。


「はい! そうですよね、大丈夫、大丈夫ですよね!」


 アミィもある程度不安だろうけど、こればかりは仕方ない。これからは、注意をして行動しないといけないな。


 俺達は、高月博士が戻るのをコーヒーを飲みながら待った。その間、俺とアミィはこれからのことについて、話に花を咲かせた。


(やっと見つけた……永かった……)

ここまで読んで頂き有り難うございます!

もし気に入って頂けたら、感想、評価、ブックマーク等宜しくお願い致します!

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