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【旧】アミィ  作者: ゴサク
九章 親心
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ご相談です!

 アミィとの温泉旅行から一週間ほどが過ぎ、前と変わらない日常が戻ってきた。

 社会人としてはそれなりに長く休んだもんだから、やっぱり同僚のみんなに申し訳なく思ってしまう。


 一応みんなにはそれなりに奮発してお土産を買ったから、少しは恩返しができたんじゃないかとは思うけど。

 発起人の課長には特別にいい地酒をこっそり渡したら、大層喜んでもらえたからよかったな。


 もちろん、課長にアミィの存在をバラした昌也を締め上げるのも忘れちゃいない。

 とはいえ、それがあってこその長期休暇だったのも事実だからほどほどにしておいた。


 今は昼休みの昼食の時間。いつものように俺と紫崎で並んで弁当を食べる。今日はメリーさんは臨時の呼び出しがあったらしく、二人だけでの昼食だ。


 そんななか、紫崎がサンドイッチを飲み込み、こちらを視線を送ってきた。その顔はわずかにバツが悪そうな表情をしている。


「響先輩、ちょっと相談したいことがあるんですけど、聞いてくれませんか? ちょうどメリーもいないことですし」


「何だい、改まって。俺でよければいくらでも聞くけどさ」


 そして、紫崎はしばらく口をモゴモゴさせてからわずかに裏返り気味の声で話し始めた。


「いえ、響先輩って、異性に贈り物なんかしたことあるのかな~って。いや、参考までに、参考までになんですが、どうですかね? 響先輩」


 おおよそ紫崎の口から出るような話題じゃなかったもんだから、思わずむせてしまった。俺はゴホゴホ言いながら紫崎の質問に答える。


「ああ、そういえば、旅行中にアミィにちょっとしたプレゼントをしたかな。あ、他にもアミィと一緒に遊園地に行ったときにぬいぐるみをプレゼントしたっけ。それがどうした? 紫崎君」


 俺の回答に、紫崎は少し怪訝そうな表情をする。しかし、その表情は次第に自嘲めいた笑いに変わっていった。


「いや、相手はアンドロイドじゃないですか。ノーカンですよ、ノーカン。いや、それはこっちも同じでした、すみません」


 一人で否定して一人で落ち込む紫崎。これは様子がおかしい、俺は紫崎に詳しい話を聞いてみることにした。


「どうした、そんな顔して。何だか悩んでるみたいだけど、どうせ二人だけなんだから話してくれよ、紫崎君」


 俺の声に、紫崎は照れ臭そうに目線を逸らして、指で頬を掻きながら少しずつ答えはじめた。


「いえ、色々あって、メリーに何かプレゼントをしようと思っていまして。これまで誰かからプレゼントを貰うことはあっても、僕から渡したことはなかったもんですから……」


 これはまた意外な話だな。紫崎がメリーさんにプレゼントとは、俺は紫崎の話に俄然興味が湧いてきた。


「紫崎君、その『色々』について詳しく聞いていいかい?」


「色々は色々ですって! そこはさすがに先輩にも話せません! というか、そこは勘弁してください! 後生ですから!」


 やたら慌てる紫崎に、俺はさすがにこれ以上突っ込むことはできなかった。俺は話を本筋に戻すことにした。


「解ったよ。それじゃあ話を戻して、紫崎君はメリーさんにプレゼントをしたいと。それで、俺に何をプレゼントしたらいいか相談したい訳だ」


「そうですね。でも、響先輩もアミィちゃんにプレゼントをしていたのは意外でしたね。何かあったんですか?」


 さて、ここで俺とアミィの関係を話すのはどうなんだろうか。いや、ここは思いきって話しておこう。

 俺はこれまで何でも後回しにしてきて結果的にアミィや夏樹ちゃんを傷付けてきたんだ。


 昌也より先に紫崎に話すのはちょっと気が引けるけど、いずれは話すことだ、後か前か、それだけの話だ。

 俺は紫崎にアミィとの関係についておおまかに話すことにした。


 …………


「……ということなんだ。俺とアミィは愛し合ってる。誰が何と言おうとね。軽蔑するかい? 紫崎君」


 俺の話を、紫崎は複雑な表情で眉間に皺を寄せながら聞いている。そして、しばらくしてから俺のほうを見ながら紫崎が話し始めた。


「いや、正直なところ、響先輩のアミィちゃんに対しての入れ込みようはちょっと過剰だとは思っていたんですよね……しかし、まさかお互いに愛し合ってるっていうのは……」


 これが当然の反応。俺だってすんなり解ってくれるなんて思っちゃいない。

 それでも、紫崎ならいつかは解ってくれるだろう。話したことに後悔はない。


 しかし、次に紫崎から出た言葉は意外なものだった。紫崎はさっき見せた自嘲めいた笑いを再び浮かべた。


「いえ、僕だって似たようなものなのかもしれません。僕には響先輩を軽蔑したりする資格はないんです」


「それって、どういう……」


 そして、紫崎は真剣な眼差しをこちらに向けながら話し始めた。


「響先輩、これから僕がする話については誰にも言わないと約束してくれますか?」


「ああ、俺だってあんまりアミィと愛し合ってることはむやみに話して欲しくないからお互い様さ。約束するよ、紫崎君」


「解りました。それでは、さっき響先輩が聞きたがっていた『色々』についてお話しします。まぁ、響先輩が僕に秘密を話してくれたお返しみたいなもんです」


 そう言って、紫崎は俺に隠したがっていた話をしてくれた。その内容は、俺とアミィとはまた違った、紫崎とメリーさんとの複雑な関係の話だった。

 これを聞いたからには紫崎に協力しないわけにはいかないな。

ここまで読んで頂き有り難うございます!

もし気に入って頂けたら、感想、評価、ブックマーク等宜しくお願い致します!

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