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【旧】アミィ  作者: ゴサク
一章 二人のアミィ
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高月博士です!

「うわぁ~ ご主人様! 見てください! 海がと~ってもきれいですよ!」


 次の週の休日、俺とアミィは電車に乗っていた。アミィは窓の外の景色に目を輝かせている。

 高天崎市を出てから約一時間、俺とアミィは並んで座席に座る。


 窓の外にはアミィが言うように、太陽が照りつけ、キラキラと光る海を望むことが出来る。

 空は快晴、空の青と海の青が互いを引き立てあっている。


 俺はアミィの今の症状を、何とか出来ないか片っ端から調べてみた。すると、願ってもない機会を得ることが出来た。

 何と、MID型メイドアンドロイドの生みの親である高月(こうづき)博士がわざわざ俺達の為に時間をとってくれるらしいのだ。


 高月博士は、その道では知らないものがいないほどの権威、噂では少々変人で、なかなかとらえどころのない人らしいけど、どうなんだろうか。

 俺のもとに来た高月博士からのメールを要約すると、『その症状、珍しいから是非に見せてくれないか』といった内容だった。


 藁にもすがる思いで俺達は博士が住む『千鳴(せんなり)工業地帯』へ向かっている。

 大丈夫だからな、アミィ、絶対に何とかなるからな。


「それにしても、メイドアンドロイドの生みの親かぁ……」


 つまりはあの変態的な充電スタンドを考えた人間ってことだ。親の顔は見れなかったけど、本人の顔を見れるなら上等だ。


「あ、見えてきましたよ!」


 アミィの声に、俺は窓の外に目をやった。すると、車窓からは大規模な工業地帯が望むことが出来た。

 この景色、俺の実家の千鳴市の近くだから何度も目にした光景だ。


 あの工業地帯の中に高月博士は研究所を構えているらしい。俺達は電車から降り、タクシーに乗り換えて渡された住所へと向かった。


 ………


「何か、ちっちゃい建物ですね」


「やっぱりアミィもそう思うよな、本当にここであってるのか?」


 タクシーから降りた住所は、いわゆる町工場だった。少し傾いた看板には『高月製作所』と書かれている。

 その建物の周囲は雑然としていて、とても時代の最先端を行く分野の研究所には見えなかった。


 俺は内心ドキドキしながらインターホンを鳴らした。相手は俺からしたら雲の上の存在、どうしても緊張してしまう。


 インターホンを押すと、低音のブザーの様な音がした。

 何だかんだ時代を感じる音で、カメラもついていない旧式のインターホン、これはなかなかお目にかかれない。


「はいはい」


 ガチャリという音と共に、玄関の中から白髪混じりの初老の男が現れた。雑誌や新聞でもよく見る顔だから、この人が高月博士で間違い無さそうだ。


「やぁ、いらっしゃい。響さん、でしたかね?」


「はい、響 恭平といいます。本日は宜しくお願いします」


「まぁ、そんなにかしこまらないで、取り敢えず入って入って」


 高月博士は砕けた様子で俺達を迎えた。そして、俺達は工場内の応接室へと通された。


 …………


 応接室も一般的なオフィスと変わった所はなく、長机の両サイドに黒皮のソファーが据え付けられている。

 高そうなコーヒーメーカーからは、豊潤なコーヒーの香りが漂う。


「今日は遠路はるばるご苦労だったね。まぁ、二人共、座りなよ」


「はい、失礼します」


「失礼します」


 俺達は、それぞれ会釈して、ソファーに座った。そして、高月博士が淹れたコーヒーがテーブルへと置かれる。


「自己紹介は……いいかな。君達は私のことは知っているだろうし、あまり堅苦しい挨拶は苦手なんだ。それじゃあ早速本題に入ろうか。君は……アミィちゃん、だったかな?」


「はい、私、アミィと申します。今日は宜しくお願い致します」


 高月博士はアミィをジロジロ見ながら顎を手でこすっている。

 そして、高月博士は何だか感心したような表情で俺の方に向き直る。


「0796型か。比較的旧式ながら、小回りも効くし、何よりチャーミングなこの容姿だ! いいセンスしてるね、君、なかなか見所があるよ!」


「見所……ですか?」


 高月博士は少しにやつきながら俺の方を向く。そして、高月博士は身を乗り出して、俺に耳打ちする。


「あの機構は私の自信作だよ、いいだろ? ()()。最近の型番にはあまり見られない機構だ、大事に使ってくれたまえ!」


「は、はぁ……」


 充電スタンドのことか。何も言えるかっての。それをわざわざ聞いてくるなんて、何てオッサンだ。


「まぁいいや。それにしても、やっちゃったんだってね、アミィちゃん。大の男を四人も()()()しまうなんて、なかなかやるじゃないか」


「はい、申し訳ございません。やっぱり私、おかしいのですよね……」


 アミィはため息混じりで頭を下げて、高月博士に謝った。それを見た高月博士は、明るい口調でアミィを励ます。


「なに、謝らなくてもいいさ。アンドロイドは人が作ったものだ、エラーはどうしたって起きるものだよ。アミィちゃんは何も悪くない」


 高月博士は甲高い声でワハハと笑う。その研究者にあるまじき姿には、よくも悪くも威厳がない。


「それに、子供とメイドさんは元気なほどよろしい。これは私の持論だが、結構的を射ていると思うよ。まぁ、そんな与太話は置いておこうか。それじゃあ、早速見せてもらってもいいかね?」


 高月博士は雰囲気を改め、俺に聞いてきた。

 これでアミィがよくなる、俺はそんな期待を胸に返事をする。


「はい、宜しくお願いします!」


「そんなに時間はかからないだろうから、まぁゆっくりしていてよ。それじゃあ、アミィちゃん、付いておいで」


「はい! それでは、行って参りますね、ご主人様」


「あぁ、行ってらっしゃい、アミィ」


 俺は応接室から出ていく二人を見送った。

 そして、俺はコーヒーを飲みながら二人が戻ってくるのを待った。

ここまで読んで頂き有り難うございます!

もし気に入って頂けたら、感想、評価、ブックマーク等宜しくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ギャグとシリアスの行き来のテンポがとても良かったです。細かい動作がちゃんと描写されているのも、個人的には読んでいてとても心地よく感じました。
2020/04/13 06:03 退会済み
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