第80話 目的⑤
「で体の傷が癒えてきて目を覚ましたら今の状況だ」
淡々と現在に至るまでをティアさんが話してくれた。
どうやら俺がいない時にフラムが襲撃しこの町を荒らして行ったようだ。
くそ……助けられなかった……。
俺は地面をまた叩こうとしたが周りには子供もいるので止めておいた。
パニックを起こす方が余っ程大きな傷となる。
こんな今だからこそ冷静に、そして慎重に……。
生存者は彼ら3人だけだと思われる。
『座標認識』にもそれらしき魔力は映らない。
周りに飛んでいる大量の血が多くの者が死んだ証拠として十分すぎた。
今この町にいない冒険者や商人などがどれぐらい居るか知っておきたいが崩壊した町で連絡網など機能する訳もなくそれは呆気なく断念。
どれだけ避難出来たかも分からずじまいだ。
だが一緒に生きてきた冒険者仲間やこの町の皆が殺されたと思うと改めて怒りが湧き出してきた。
俺の怒りの感情はとっくに頂点に達していたが、もうそれを表に出す事は許されていない。
たとえどんな手段でも。
荒波のように緩急の激しい感情が渦巻いてやがて無感情へと変わってしまいそうだ。
それが恐ろしくて怒りの感情を少しだけ出した。
握り拳をつくり強く握った。
自らの握力で骨が折れるのがわかった。
だが『物理攻撃無効』による痛覚の無効化に加え『再生』による自動回復でそれが残る事はなかった。
「とりあえずこの街を出よう。ここに居たら感染病で死ぬかもだし……気が狂いそうだ……」
とりあえず俺は町を出ることを提案した。
それに流れるようにスラスラと皆が賛成する。
反対するわけもないんだがな。
俺は3人をレインに任せて外に出るよう指示した。
念の為俺は町に生き残りが居ないか探してからレイン達に合流する事にした。
街を歩いてみると足元は不安定な状態で、岩が剥き出しになったようにゴツゴツとしていて歩きにくい。
それに加え誰のかも知らない死体や四肢など死体が転がっている為気が狂いそうだった。
これらの死体の時間を『時間の管理者』で戻して蘇生したとしても誰の死体かも分からないのに重要人物を引き当てられる可能性は低い。
建物もいている物も燃やされ個人を特定出来るようなことなんてほとんど無い。
そんな状況下で無理に蘇生する意味もない。
少し残酷だが俺の力では死んだ住民全員を蘇生することなんて不可能だ。
『座標認識』で僅かな魔力さえも感じ取り探したが避難民や逃げ遅れなどは1人も見つからなかった。
町を戻っていくととあることに気付いた。
死体が少なくなっている。
なぜだ?
それと共に周囲の魔力濃度が異様に高い。
まさか! ……死体が魔法元素に還っているのか?!
魔獣と戦った時は魔獣の死体はすぐに魔法元素に還りその場から消えていた。
もしも魔族全体にその法則が適応されるとすれば……だが魔獣ほど分解が早くない。
集合したところでは変わらないはずだ。
個体としての分解速度が違うのだろう。
その間には何がある?
知性の壁?
それとも体格?
それとも遺伝子?
こっちの世界でも分からないことだらけのようだ。
これなら蔓延病が起きることも無い。
それに全てを墓に埋めることも無い。
いいのか悪いのか……。
だがこの量の死体を見ると吐き気と共に怒りが込み上げてくる。
「絶対にフラムを殺してやる……」
俺はボソッと呟いた。
平地にされた町の中心で強く拳を握りながら。
ここに来て明確な目的が出来ましたね。
ここまでは前座だ!
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ディルガスキル
○常用スキル
ㅇ『管轄者』の下
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
・『暗視』・『光属性耐性』
・『再生』・『状態異常耐性』
・『轟音耐性』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』
・『切断者』・『虐殺者』
・『消化』・『分身』
・『蒼炎』・『回復』
・『結界創作』・『念話』
・『空間転移』・『白轟雷』
〇属性適性
・『地属性適性』・『炎属性適性』
・『雷属性適性』




