第76話 目的①
それからしばらくするとティアさんの傷は癒え、いつもの活気を取り戻した。
変な怪我では無く純粋な火傷と切り傷だった為『回復』だけで傷を治すことが出来た。
俺がティアさんの回復を済ませ行動不能結界を解除すると二人の子供は驚いた顔をして固まっている。
「ごめんね、だけどこの人を助ける為なんだ」
「あ……あり……がと」
1人の男の子が静かに口を開けた。
それに続き女の子の方もお礼を言ってくれた。
こんな事初めてで嬉しくて体の温度が顎ったような気がした。
そんなことをしていると2人はティアさんに抱きついて、
「おにぃさんもありがとう!」
2人の目からは涙が出ている。
そんな2人を大きなティアさんは片手で抱いてみせる。
どんな関係なのかは知らないがホッとする光景だな。
俺は少し離れてレインを手招きし3人をレインと見守った。
しばらくするとこちらを見てティアさんが頭を下げた。
手を横に降るなりするが頭をあげる様子はない。
それどころか子供達まで頭を下げてしまった。
「頭をあげてください。てかこれどうなってるんですか?」
「えっと……昨日の夜……炎の魔王と言い張るフラムとやらが……来て……」
「ゆっくりでいい」
言葉が詰まっている様子のティアさん。
下を向きどこか果てを見ている。
それから10数分、断片的に語られた話を繋ぎながら考えるとどうやら……
───昨夜、リーガル村
いつも通り町の光が空を照らし、平和を保っていた。
午後10時頃地鳴りが聞こえた。
膨大な光エネルギーと一緒に。
やがてそれが地震などではなく1人の魔王のものだと気づくまで時間はかからなかった。
重い爆発音と熱、光が増していきリーガル村を赤く染めた。
その時
「冒険者各員は至急冒険者ギルドへ集合!!! 繰り返す!!!」
と、冒険者ギルドから知らせがあった。
ギルドへ行くと知らせでそれがたった1人の魔王の仕業だと知らさせれた。
至急その魔王フラム・ミリュンリルを冒険者全員で迎撃せよ、との事。
勿論弱い冒険者もいて反対する者もいた。
いいや、殆どの者が反対した。
その中で嘆き悲しみ、発狂する者もいた。
でも何故か俺は冷静で戦うことを決意できた。
【赤】階級の冒険者として逃げることなんて出来ない、ましてや他の冒険者と違い恋人や家族も特にいない。
両親はもう病気で死に、兄弟は元々いない。
独り身の【赤】階級冒険者として逃げるわけに行かない。
だがその場にはもう4人の【赤】冒険者がいた。
リーフル、スーニャ、ヴェルム、ジャン、俺を合わせて5人の【赤】階級冒険者がいた。
リーフル、スーニャとは関わりがあったがヴェルム、ジャンとは関わりは無かった。
見る限りヴェルムは細い紐の先に刃渡り20センチ相当の刃物を付けた謎の武器を持っている。
その紐を丸めて左腰につけ刃は反対の右腰に着けている。
細い身でありながら筋肉をつけている細マッチョと言える肉体をしている。
ジャンはブーメランのように湾曲した大きな剣を持っている。
普通の剣のように焼いが出ていると思いきやその刃の先はその手元まで曲がり円のようになっている。
あんなので対象を切れるのかは分からないが、自信満々な顔でそこに立っている。
少し顎を上げた細い目つきの顔立ちは堀が深く男前な風格だ。
2人とも茶色髪の毛をしている。
眠そうな顔をしているが目はキリッと閉まっておりどこかを睨んでいるように見えた。
リーフルは冷静な顔立ちで緑色の髪を揺らしながらそこに立っている。
対してスーニャは混乱している様子でそのに立っていた。
ここにはフラムと1度戦い勝利したディルガがいない。
【緑】階級の冒険者ながら魔王を倒したり、スライムを殲滅したり、新種の魔草を見つけたりと多くの快挙を繰り返している。先日なんか人間の襲撃にあった水中都市を崩壊から守ったとの知らせも聞く。
階級測定機が壊れているのでは無いか、その可能性を疑わずにはいれなかった。
「ぼっ……ぼぼ僕も……行けます!」
そこで叫んだのは1人の少年。
彼は回復魔法師をやっているガイラだ。
弱々しい少年の姿が場にいる全員に衝撃を与えた。
冒険者ギルドでの緊急会議。住人たちの避難を完了させ戦闘になる前に状況確認として急遽開かれたこの会議が意味を成さない物にならないようになる瞬間だった。
こんな少年がやると言うのに俺達は……と冒険者達は自己判断を見直した。
「お前ら! ここで住人たちの命を捨てて逃げるのか?!
どんなに弱くても逃げてはならない状況がある!
それが今だ! お前らが大事にして止まない家族に会いに行く? ふざけるなぁ!
お前らが戦闘を放棄した場合お前らの家族も死ぬことになるんだぞ!
可能性にかける事ぐらいしろよ!」
思わず俺の喉から声が出た。
場に響く声が場にいる多くの冒険者の心を揺るがした。
でも、それでも当然帰る者はいた。
だが全体の9割が帰ろうとしていたのが4割に減った。
それだけだがだいぶマシになった。
今いない上位の冒険者、
【白】階級と言われる3人。
【赤】階級と言われるレインをふくめた12人のうち俺ら5人を抜いた7人。
これがどれだけ大きな戦力かなんて知らないがこれだけいればディルガが1人で勝利した相手なら倒せると思った。
俺達、意識を改めた総勢120名程の冒険者がいま1人の魔王に挑むこととなった。
正直初めは勝利しか考えられなかった。
昨日あげられなくてすいませんでした。
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ディルガスキル
○常用スキル
ㅇ『管轄者』の下
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
・『暗視』・『光属性耐性』
・『再生』・『状態異常耐性』
・『轟音耐性』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』
・『切断者』・『虐殺者』
・『消化』・『分身』
・『蒼炎』・『回復』
・『結界創作』・『念話』
・『空間転移』・『白轟雷』
〇属性適性
・『地属性適性』・『炎属性適性』
・『雷属性適性』




