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第68話 過去②




───4年後




 俺は7歳となった。

 前の世界だともう小学校に入学する歳だ。

 だがこの世界はお金があまりなくうちも裕福とは言えなかった。


 この歳にまでなると言葉はもう日本語と同じレベルで話せるようになった。

 家族との会話も違和感なく行える。


 俺は祖父と共に農業に勤しんでいた。

 意外と楽しいものがある。

 前世とは変わった職種だが、作物が育つのを見るのは非常にやりがいを感じる。


 両親は共働きで朝早くから出勤している。

 兄弟は1人の妹がいる。

 病弱でいつも家の中で寝ている。

 祖母は俺が生まれる何年も前に亡くなったらしい。

 

 ある日、祖父と播種をしていた時のこと。

 あの日は雲ひとつ無い快晴で、遮られることの無い日差しが強く当たるので1本の木の下で休んでいた。

 前ではまだ祖父が仕事をしている。

 勇敢な姿だ。


 俺は水筒の蓋を開け水分を補給する。

 乾いた喉がジワジワと潤っていくのを感じた。


 まるで砂漠の地に降る雨のように。


 こんな平和な日々がずっと続くと思っていた。


 「……!」


 遠くからお母さんが走ってくる。

 腕を大きく振りながらこちらへ走ってきている。

 何かを言っているようだが何を言っているか分からない。


 「エルがー!」


 エルがどうしたのだ。

 

 エルと言うのは俺の妹の名前だ。

 エルがどうした……の……?!


 お母さんはどんどんと近ずいてくる。

 祖父もそれに気付き俺の横に着いた。

 

 「エルが! エルの意識が!」


 すぐにその言葉の意味がわかった。

 理解したくなかったが、それしか思いつかなかった。

 エルは病弱でいつも家で寝たきりの生活をしている。

 多少動くことは出来るが昔からよく分からない病に侵されている。

 その病は体を蝕み死を与えると言う神話の中にある病気に似たものだった。

 有名な医者でもその治し方、原因など何も分からない。

 ただその命が燃え尽きるのを待つしか無かった。


 回復系統のスキルを繰り返し使って何とか妹の命を長引かせていたが、回復魔法はうちの家族は使えない為、国の魔法師に頼むしかない。

 そのせいで余計にお金がかかってしまう。

 国からの援助も多少あるものの全額支払われることもなかった。

 当たり前だ。国からすれば働けない人間を生き長らえさせる意味なんてそんなにないからな。


 妹はそのせいでいつも「ごめんなさい」とばかり言う。

 何度も何度も「そんなことないぞ」と声をかけてやるのだが、それが逆に重荷になっているようで辛そうな顔をしていた。


 その妹が……と言われると安易に想像が着く。

 走って家に着けばその想像が現実になった。


 「エル!」

 「おひぃ……ちゃ」


 エルの顔は青白くなっていて、全身が動かなくて辛そうだった。

 それでいて笑顔で話しているのだから余計に辛くて。

 体を無理やり動かす事は出来ないのでお父さんが医者を呼んで来てくれているらしい。

 だが医者が間に合うことは無かった。

 こういう時の為への備えなどなく、エルは呆気なく亡くなった。


 まるで1本の枝が折れるかのように簡単に。


 


 その時俺のスキル一覧の『勇者』に新たなスキルが追加された。



 『蘇生』

 魂の抜けた体を修復し、魂の器として戻す事が出来る。

 ただし、体が修復できても魂が消えた場合反魂する事は不可能となる。

 魂が手を加えられずに消えるのはおよそ60秒。



 というものだった。

 ふざけたスキルだ。

 1分以内であれば蘇生が可能というこのスキルが嫌味にしか感じなかった。

 

 肉体的死が魂が出ていく条件で、それが寿命や傷、そして病気で体にもう入ってられない状況になると魂が出ていくようだ。

 それを瞬時に直すことが出来るのがこの『蘇生』。

 『蘇生』は反魂の為のスキルではなく、最上級の回復魔法として扱えるようだ。


 だがこんなんじゃエルは蘇生できない。

 エルの顔はまるで人形のように白く、綺麗な肌で可愛らしい笑顔で棺桶の中に入っていた。

 

 葬式が終わる頃にはもう……諦めが着いていた。

 初めはどうにかなるのではと考えたがスキルの使い方すら分からない俺はどうする事も出来なかった。


 



───1年後



 エルの死から1年が経った。

 この季節にはいつも祖父と畑仕事をして帰った時。


 「緊急放送! 緊急放送! 」


 急にスピーカーがなり始める。

 その声は国から放送されたもので人を焦らせるセリフのペースがあった。

 

 「魔族の襲撃! 繰り返す! 魔族の襲撃! 至急軍関係者共々は王宮近くに集まるよう! 繰り返す!」


 は?!

 魔族の襲来?!

 一体それは……どういう。

 

 すぐに理解する事になった。

 襲来したのは炎の魔王、フラム・ミリュンリル とその一行。

 およそ9年前にも1度あったそうだ。

 それがまた来たらしい。

 9年前の事を昔調べた時は宣戦布告したそうだが今回はそんなのがない。

 知らないだけかもだが、あったら既に避難が済んでいるはずだ。


 俺らはすぐに避難を開始した。

 と言っても両親は仕事場にいる為祖父と避難を開始した。



 避難シェルター内では国中の人が集まっていた。

 だが両親の姿がない。


 「おじいちゃん、父さんと母さんが……」


 そう言うと祖父は大丈夫だと俺を慰めた。

 だが何日経っても両親と会うことが叶うことは無かった。


 魔王フラム一行が去っていき数日、地上に戻るよう指示が出た。

 地上は瓦礫の山のようになっており建物が建っていた形跡など微塵も残ってはいない。


 この事件での死者はおよそ15600人。

 その中の2人は俺の両親だった。


 俺は魔族を憎んだ。

 2度目の人生。

 記憶を持った状態の俺は2人をどこかで俺の両親じゃないと思い込んでいた。

 だがそんな事なんて無くて両親の死を体験した時言葉に出来ない悲しみが込み上げてきた。

 

 蘇生はまたも失敗だ。

 妹はとも違って両親の顔を見ることも出来ないお別れだった。

 

 これがどれだけ俺の怒りを買ったか分からない。

 魔族を憎み俺は修行するとそこで違った。

 不幸中の幸いか祖父の畑は無事だった。

 

 俺はさっき祖父に『勇者』のことを話した。


 祖父は笑いながら、


 「そうか……行ってこい……そして多くの人を救うのじゃ」


 そう言ってくれた。

 それはそれは柔らかな笑顔で。

 

 それから俺は王宮に向かい『勇者』の事を話すと国王との会談を申された。

 王と会うとものすごく歓迎された。

 俺が逸材である事、そして人間の世界を救う英雄になる事。

 

 俺は喜んで勇者になる事を承諾した。

 勇者になれば魔族と戦うことが出来ると言われたからだ。

 

 「これで仇をうてる……」


 俺は強く拳を握り締め小さく呟く。

 絶対に……絶対に魔族を滅ぼしてやる……。

 

 王からは勇者の印として魔剣をもらった。

 その魔剣は勇者にのみ扱え、破壊も不可能な魔剣らしく、前の勇者も扱っていた品だそう。

 膨大な魔力量を秘めた魔剣をもち俺は訓練場に向かった。






 「王様……良かったのですか」

 「……あぁ、8歳の勇者には今回の事もどうにも出来なかっただろう……あいつが死んだせいでこの国の情勢は……ふぅ……まぁよい。今からはあのガキが新たな勇者だ。あいつを訓練しろ……どんなに辛くてもあいつを強く育てろ……」

 「御意、では訓練場に伝えておきます。王の命令だと」




 

 それから俺は訓練場へ向かい訓練を受け続けた。

 人間が魔族とやり合う為の剣技を習った。

 運動は別に出来た方では無かったが、すぐに馴染んだ。

 『思考加速』で体感時間が伸ばされている為訓練兵との実践訓練なども楽勝だった。

 周りの人間は少し弱すぎた。

 当然か……。

 強い兵は魔族とやりあり死んでいっている。

 弱い兵が残りここにいる。

 俺と同じような理由で最近兵になった者も多くいた。

 その中で俺は頭1つ、いいやもっと差があった。


 魔法の使い方も少しづつ学んでいった。

 魔法の使い方は体内にある魔力として吸収された魔法元素を魔法エネルギーとして体外に放出する。

 その時に操作を行う事で魔法として成立する。

 俺は炎属性魔法、光属性魔法、風属性魔法の3種の属性の属性適性を得た。

 

 炎属性魔法は『収束放火』、『星炎(アストラルフレイム)』の2種。



 『収束放火』

 熱エネルギーを収束させ、放出させる。

 量ではなくその収束度合い、スピードを変化させられる。


 『星炎(アストラルフレイム)

 星のように固めた球体状の熱核融合体を生み出す。

 またその熱核融合体の操作を可能とする。

 


 このふたつだ。

 特に後者の『星炎(アストラルフレイム)』はよく分からない。

 辛い訓練の次の日にスキル一覧にあった。

 『収束放火』は熱エネルギーを収束させてビームのように放てると。

 これは訓練で教えて貰った魔法だ。

 ふたつを合わせ3ヶ月程で会得した。



 

 光属性魔法は『厭陽発光(えんようはっこう)』。

 効果は、 

 エネルギーを光エネルギーに変換しそれらを放つことが出来る。


 この一つだけだ。

 王宮の書庫にある魔法の本に昔の勇者が使った魔法として記載されていた。

 それを練習して4ヶ月程で会得した。


 

 

 そして風属性魔法。

 『黒風』

 

 空気の流れを操り風を引き起こす。

 その風速や範囲などは消費魔力量に比例する。


 『飛翔』

 

 風を操り空間を飛行する。



 このふたつだ。

 これは便利な魔法として4ヶ月かけて習った。

 訓練は非常に辛いものだったが、その結果これらの魔法を会得できた。


 結局1年で5つのスキルを会得することが出来た。

 『収束放火』、『星炎(アストラルフレイム)

 『厭陽発光』、『黒風』、『飛翔』。



 10歳でこのスキルの量は異常らしい。

 国王からは随分と褒められた。

 だがまだ足りない。

 俺はもっともっと強くなって魔族を倒さなければならない。

 




 これは俺の目の眩むような第2の人生の物語。

 

 

アルマスキル




 〇常用スキル

 ・『物理攻撃体制』・『思考加速』

 ・『魔法強化』



 〇固有スキル

 

アルマスキル



 〇常用スキル

 ・『物理攻撃無効』・『思考加速』

 ・『魔法強化』


 〇固有スキル

 ⚪『勇者』

 ・『貫通』・『剣者』

 ・『逆境』・『壊変』

 ・『再生』・『蘇生』

 

 〇スキル

 ・『収束放火』・『星炎』

 ・『厭陽発光』・『黒風』

 ・『飛翔』


 〇属性適性

 ・『炎属性適性』・『光属性適性』

 ・『風属性適性』

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