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第54話 魂移動


 俺らはまたフパスさんに乗らせてもらい地上に送って貰った。


 涼しい海の底とは違い地上は真夏で暑かった。

 らしい。

 俺は『環境効果無効』により気温なんて関係ないためこれはレインからの情報だ。

 レインは少し汗をかきそれを拭った。

 それだけでもモデル並みとは……チートやろうめ。


 俺は帰る前に水中都市(アトランティス)の方々の安全確認をしに行った時に貰った食べ物を食べながら砂浜に設置してあった物を回収していった。


 フパスさんも手伝ってくれた為早く終わらせられた。


 「では私はここで」

 「あっはい! ありがとうございました」


 頭を下げフパスさんにお礼を言う。

 

 「またおいでください」

 「あっその前に!」


 俺にはもう1つフパスさんに聞きたいことがあった。

 今後に関わるであろう便利スキル『念話』について聞いておきたかった。

 リゼさんやフパスさんの会話の中で 念話 と言う言葉があり気になったのだ。

 スキルとは確定していないが、やり方を覚えたら遠距離での素早い情報共有が可能となる。

 水中都市(アトランティス)や冒険者ギルド、レインとの連絡も楽になる。



 「念話? っていうの使ってたが、教えてくれないか?」

 「いいですよ」





───ヘルザビィーテ


 


 人の国ヘルザビィーテ。

 ここでは半年前に計画された水中都市(アトランティス)の破壊計画の終了を告げる勇者の帰りを祝した歓迎会が街の中央で行われる



 予定だった。



 

 水中都市(アトランティス)にいた化け物によりボロボロにされた俺はまずいと思い展開に時間を必要とする転移魔法を使用し王宮に転移したのだ。

 王宮ではすぐに発見され気づ付いて死にかけた俺の体を回復魔法で癒してくれた。

 それから数時間がたち王から呼び出しがあった。

 王室へ入ると王は厳しい表情で俺の事を見下ろした。

 俺は少し近づき頭を垂れた。

 

 「王……」

 「だまれ」


 俺の言葉を王は一言で一括した。

 一言に物凄い重圧がかかり俺を黙らせた。


 「発言は許していないはずだが?」


 威圧的な王の言葉はこの場にいる全員に突き刺さる。

 こんなやつ今すぐにでも殺せるのに俺はこいつに逆らう事が出来なかった。

 それは俺の成り立ち……いやそこまでじゃない。

 勇者になる過程……たったそれだけの時間が俺を縛っているのだ。

 


 「発言を許す。なぜ負けた?」


 王は俺に質問をしたが喉が開かない。

 かすれた息だけが音もなく発される。


 やがて落ち着き声として出た時には俺はもう息なんてできていなかった。


 「実力不足です……」


 くらい声が俺の喉からでる。

 細い声は頬杖をつく奥の耳にすぐに届いた。


 「ふざけるな……」

 

 それからはよく覚えていない。

 王が俺に何かを命令したのか、それともただひたすらに魔族に負けた事に怒ったのか。

 

 王宮から外にでて時計を見る。

 王室に呼ばれた時から2時間も経っていた。

 喪失感が俺を襲った。

 それが時間を失ったからなのか、自信を失ったからなのか。

 もう色んなものを失った俺には分からなかった。

 もう失うものなんてないはずだったのに。


 それから俺はフラフラと王宮の近くにある自宅に足を運んだ。

 ドアを開け部屋に入りひとつの写真の前に座る。


 「………………ルナ……お兄ちゃんまたやっちまったよ……」


 俺は写真に声をかける。

 決しておかしい奴だと言うわけではない。

 そんなこと言ったら日本人みんなおかしい奴じゃないか。

 


 そう俺は17年前のあの夏、雨の降る日本から転生していた転生者なのだ。






───リーガル村周辺 海辺


 (できてますか?)

 (そうそう! 完璧です!)

 (俺の声聞こえてますか?)

 (レイン様も聞こえてます!)


 俺達は完全に念話を習得できた。

 仕組みはと言うと魔力の波長に意識を伝わせて相手に言葉を送るというものだった。

 その人の僅かな魔力の波長を知っていれば誰にでも言葉を遅れる。


 俺は『管轄者』が今まであった魔族の波長を覚えているらしく、リゼさんやティアさんにまで当たっても覚えているそうだ。

 まぁいきなり電話みたいにかけるのもあれだし……急用がある時だけにしよう。


 それを教えて貰ってからフパスさんは亀の姿になって水中都市(アトランティス)に帰っていった。


 それにしても管轄者が有能すぎる。

 どこかの大賢者とはちがって。


 《なんか失礼な事を考えられてるのは分かる》

 (気のせいだ)


 どうにかこいつを俺の体から分離出来ないだろうか……。

 あっ!

 そういえば魂を分離するとかなんだとかっていうスキルがあったよな……。

 『魂保存(ソウルセーブ)』。

 肉体と魂の分離だが大賢者に管轄者が干渉できないと言っていたから俺の魂に何か関係しているのならばこのスキルで何とか出来ないだろうか。


 魂と魂の分離。

 俺の魂を意識しろ……。


 その時目を閉じて暗い世界に入る俺にまるで閃光のように明るい世界が広がった。


 『光属性耐性』は持っているはずだったのだが全く軽減されていない。

 恐らくこれは光ではない何かだ。

 


 俺は思わず間を開いた。

 眩しくて目を開くなんて変な事だ。

 日差しが強く差しているが先程と比べると暗いと思ってしまった。

 レインが大丈夫か? みたいな顔で俺を見つめてくる。

 いや変な奴じゃないからな!

 

 俺はまた自分の魂を意識する。

 自分の体の内側にあるその魂。

 実態を持たない魂を意識する。

 

 《あんたなにやってんのよ》

 (え? ……いや)

 

 こいつ……なんでわかったんだ?

 俺は大賢者に話しかけてなんてないぞ?

 

 (お前と俺の魂が共通かは知らんが分離しようと思ってな)

 《え? なんかショックなんだけど……》


 いや別にそんな沢山喋った思い出はないし、これからも話そうとは思わないんだが……。

 こいつと別の体で生活出来たらと考えると……


 (夢が広がるなぁ!)

 《ねぇやっぱり変な事考えてるよね》

 (いやぁ?)


 それにまたリゼさんといい雰囲気になった時にも邪魔にならないしな。


 肉体を……別に……!


 その時俺の頭の上に電球が光った気がした。

 

 『分身』で作った分身体は魂を持たない存在……そこに魂を分離してそこに入れるとすると分身体は魂の入れ物……。

 

 (『管轄者』! 分身体を作ってそこに俺の魂を移動させることとか出来るか?)

 〈なるほど……それはいい案ですね……出来ると思います!〉


 やってみるか?……いやでも失敗したら死ぬよな……。

 でもそれが可能になればこの肉体が死んでも分身体の肉体を依代として魂を入れて生き延びる事も……。

 

 俺はそこで深く深呼吸をする。

 レインはまたも こいつ大丈夫か? みたいな目で見てくる。


 「レイン……先に行っててくれ」

 「またそれですか……」


 小さくため息を零しながら渋々納得した様子のレインは荷物を持ったまま少しうねる道を先に進んで行った。


 よし……『分身』を発動。

 

 目の前に俺と瓜二つの分身体が現れる。

 もう一度深く深呼吸をかます。


 (管轄者……いけるか?)

 〈はい! いけます!〉

 (たのむ)

 《え? ちょっとま……》


 俺はその時意識が持っていかれる。

 眠気ではない明らかな意識の欠如。

 だがすぐに意識は覚醒し始めた。

 それは朝起きるのが辛い時……言えば昨夜酒を飲みまくって寝た次の日のような感じだ。

 まぁそんなに辛くわないが。


 視界が晴れる。

 目の前には俺が倒れている。

 俺は青い光となり魔法元素に分解されていく。

 その光が俺の体に吸い込まれて魔力へと還元された。


 手を握るなどして体の感じを確かめる。

 魔法元素だけでできたはずの分身体の体は完全に肉体として成立している。

 魂は魔法元素を肉体として成立させたのだ。

 これは凄い事だ。

 実質的に俺は不死となってしまったのだ。


 

もう俺ダメだな……がんばろ

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ディルガスキル



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理耐性』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『虐殺者』

・『消化』・『分身』

・『蒼炎』・『回復』

・『結界創作』・『念話』


〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』

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