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第37話 外の匂い



部屋へ戻り俺は朝食の続きを開始する。

うん。なかなか美味しい。だがあの依頼終わりに食べた肉は格別に美味かったなぁ。また食いてぇなぁ。

あの溢れ出る肉汁に柔らかい食感……えへっ…えへっ。


「ディルガさん、顔気持ち悪いですよ」

「んな事言うなよ!」


全く、失敬だ。

俺が美味い飯を考えている時の顔は気持ち悪いようだ。

それからは黙って朝食を終わらせた。正直あれ以来飯の味は上手く感じなかったが……


それから2時間弱程だろうか、担当に呼ばれ診察室へ向かった。



───診察室


診察室へ入ると白衣を着た医師が椅子に座っていた。

この世界の医師も白衣を着るんだな。だが少しだけ違って、こっちの世界の白衣は元々の世界の膝くらいまであるやつでは無く、腰上までの普通の服ほどのサイズで上下を揃えている感じだった。


すると医師は俺の体を見て、


「……うん、魔力もだいぶ回復したようだね」


ふぅ、良かった……。さっきレインの怪我を治した時に魔力を結構持っていかれたがそれだけならここの2時間弱で回復できたようだ。正直ビビっていたが大丈夫だったようだ。


てかこの医師はどうやって俺の魔力量を測ったのだろうか。俺の場合『座標認識』に映る時魔力量に比例して明るくなるから分かるのだが……。


「すいません。1ついいですか?」

「どういたしました?」


俺はどうしても気になって聞いてしまった。まぁ担当と近くに3人しかいないから大丈夫じゃないかな。


「ディルガさん!それは失礼ですよ!」

「え?」


何が失礼なんだ?


「アッハッハッ……別に構わんよ」

「すいません。出過ぎた真似を」


え?だからこの担当俺にだけ当たり強くない?


「すまないね。自分で言うのもあれですけど僕のスキル『治癒者(いやすもの)』は対象の魔力の流れを完全に把握し魔力量、欠陥部分、普通体にない病気などを感知できるスキルで……意外と数奇なスキルなんですよ」


「はっはぁ」


えっとなんでそれを失礼と言ったんだ?

ん……いやいい。考えるのをやめよっ。俺は平均よりバカなのには自信がかる。


「えっと、で自分は退院できるんですかね?」

「えぇ、では手続きなどを済ませて……」


よしやっと出られる。……ん?なんか刑務所から出た時のリアクションみたいになってね?いやいやただの退院だからね!


「それとレインなんですけど…」

「あーはいレインさんですね。だいぶ重症なようで……」


いやそれなら俺がさっき治したっていうか治さなくてもあいつ凄い気持ち良さそうな顔で寝ていたけど……。


「あっいやそれなら先程治したんですけど」

「え?本当か?」


医師は俺の担当に目を配り聞いてみる。

担当はすごい汗をかきながら目線を逸らしている。なにかまずいことをしたか?


「はい……すっすいません、私のミスです」

「アッハッハッそうかそうかまぁいい。次にレインさんを見てみるとしよう」


なんかふたりで解決しているが……。

ふたりは俺を視界にすら入れず解決してしまった。


「ディルガさん」

「あっはい」


なんか医師に呼ばれたので条件反射でそう答えた。


「勝手に他の患者の部屋に入ってその人に手を加えては行けませんよ」

「あっはい…………でもレインは他人じゃありませんよ」

「ディルガさん……あなたはなぜそんなにむず痒いことを……」

「人じゃないので!」

「「いやっ!そこじゃないだろ!」」


ん?なんか俺がボケに回ったような、回ってないような。

でもどれも事実だし。


「まぁとにかくレインさんの退院をなるべく早められるようにするよ。じゃ終わりね。帰る準備しといて」

「あっありがとうございました。あっでもレインの部屋に行くくらいならいいですよね?」

「えぇ大丈夫ですよ」

「分かりました。では失礼します」


俺はそう返すとドアを横にスライドし診察室をでる。

その流れのまま俺はレインの部屋に向かった。


ドアを横にスライドして開けてレインの部屋に入る。

レインは奥のベッドで寝ているかと思いきや起きていた。


「ディルガ殿!」

「おはよう。気分はどうだ?」


俺はレインにそう尋ねながらベッドの端に腰をかけた。


「はい。昨日の夜とは思えないくらい体が軽いです」

「それは良かった」


レインは昨夜指名依頼終わりで傷でら家のからだで噴水に寄り掛かり寝ていたそうだ。あの傷、魔力切れから良くもまぁ一晩で回復的ものだ。傷は俺が治したのだが、魔力まではかまっていない。俺と同じくらいの魔力回復スピードだ。

俺も随分早くなったなぁ。


ん?レインが俺に追いついたのか?


実際魔力量はどっちも同じくらいなのだが……。


「ディルガ殿」

「ん?」


考え事をしているとレインに話しかけられ俺はレインの方を向く。


「いくつかご報告かあります」

「あっそう。で?報告って?」


俺はそう聞き返すするとレインは続ける。


「まず1つ。自分の故郷の問題が解決致しました」


え?そうなの!俺知らないんだけど!

まじか…でもいつ解決したんだ?俺は知りないぞ?まさか指名依頼の内容がそういう事だったって事か?


「昨夜受けた指名依頼の内容は【周辺に出た魔物の退治】だったのですが、その名目で長が俺を殺そうとしていましてその時に長を倒した事で解決に至りました」


 「ふーん……え?!なんか今凄いこと聞いたような気がするんだけど?!」


長を倒した?殺したって事か?


「えっと……まぁ長に殺されかけたので」

「そっそうか……」

「スキルによる身体の侵食で自我も失って苦しそうししてましたのでとどめを」


そうだったのか。それは辛かったな。

てか自我を支配されるほどのスキルってなんだ?

俺は気になって自分で考えてみるが俺の頭じゃ何も浮かばなかった。だがら俺は直接聞くことにした。ばかだろ?


「それってどういうスキルなんだ?」


俺が聞くとレインは戸惑うことなく教えてくれた。


「えっとスキル名『人化』。スキルの保有者を人化させる。人化、人化中に魔力は消費しないが、人化中に魔力を切らした場合、スキルが自我を支配し魔力が回復するまで意識を失う。と言う物ですね。」


自我を失う?それは一体どう言う意味だ?

本能のままに動く化け物になるみたいな?

そうだとすると別にメリットがない。


「レイン、『人化』のメリットは?」


俺はすぐに聞く。メリットが無いのなら使うだけ危険なだけのスキルだ。メリット、デメリットは把握しておくべきだと思った。


「メリットとしては、スピードの上昇。デメリットとしてはパワーの低下ですね。魔力量は変化なしっぽくて、えー……まぁ総合したら人化の方が戦闘能力に長けていると思います。」


「なるほどなぁ。……今でも人型になれるのか?」


俺はレインにそう聞く。人型になっている時の魔力消費量が多いのであればやめて今度にする。そう考えたからだ。


「可能ですよ。人化になる時、人型を維持するのに魔力は消費しないようですので」


そうなのか。便利なスキルだ。どういう仕組みなのだろう。体を構成する魔法元素を分解し人型の形にする。みたいな?なんかそういう線だろうけどな……まぁとりあえず


「ならちょっと人化してみてよ」

「はい。やった事とかないので少しお待ちを」


レインほ少し恥ずかしそうだったが自信気な表情で姿勢を正した。魔力を消費しないとなるといつもの魔法を使用する時の感覚とは少し違いそうだが大丈夫だろうか。

そんな心配をしていたがそんな事必要なかったと言わんばかりにレインはスっ、と人化してしまった。


どうやらやはり体を1度分解し人型の形に再生成しているらしい。俺の『座標認識』にはレインの体が少し小さくなったと思えば体の周りを大量の魔法元素が囲んだ。それから人の形に魔法元素が固まり、色の着いていない体に色がつき、レインは人の姿への変化を完了した。


「ふぅ」

「っ?!!!!!…………………………………………………………」


驚きで声が出なかった。


別にレインが人型になった事に驚いた訳じゃない。その美しさに驚いていたのだ。


レインは熊の形態の時は茶色く所々に黄色の入った熊だった。だが人型になるとどうでしょう、茶髪の爽やかイケメンではないですか。……よしこいつの怪我はもう絶対に治さん。

レインの目は茶色いのだが奥の奥まで澄み切っていてまるで悩みの一つも無いようで輝かしい綺麗な目だった。髪の毛は茶髪の短髪。青少年以外に言葉が見つからなかった。



「っ……ど、どうです?」


レインはモジモジしながら顔を赤らめている。

くそっ。きっとこれを俺がやったらキモイのなんのと罵声の連続だろう。

まぁ何もかっこいいとしか言えないんだ。


「かっ、かかっ、…かっこいいよ」


よし言えた!よく頑張った俺!


〈レインさん爽やかですね〉


おぉ、管轄者が自分から出てくるとは珍しいな。


《私たちの宿主とは違うわねー》

(いや失礼だな!ってか宿主って言い方なんかやなんだけど?!)


全く可愛げのかの字も無いんだから。こいつは……。


「体はどうだ?」


俺は心のどこかで喋ってる無能を無視してレインに話しかけた。


「はい。いい感じです…………」


レインは何かを考えているようだ。


少し静かな世界が続いたがやがてそれは冷や汗をかくような展開で終わりを告げた。


ん?『座標認識』にはレインから魔力が漏れているところが映った。何が起きてる?初めての『人化』で魔力制御が上手くいってないのか?

いや確実に後ろに気配がする。

その瞬間俺はバッと後ろに振り返った。するとそこに立っていたのは……


「レイン?!」


熊の形態のレインがドアの前にこちらを向きたっていたのだ。


何者だ?誰かの魔法か?攻撃に備えろ!

俺はレインの前で腕を広げ攻撃対象を俺に移そうとした。

すると目の前のレインが消えていく。


「ふふっ……」


何笑ってやがる?。目の前にお前が居るんだぞ?


「すいません……俺の新しいスキルです」


え?これが?……ってまさか!『分身』を覚えたのか!?


「『幻影』というスキルですね」

「げっ……『幻影』?」

「はい。スキルの内容は……任意の対象に幻影を見せる。幻影の種類大きさなどは使用者の魔力消費量に比例する。っと書いてありますね。」


へー。そんなスキルがあるのか。だとすれば俺の『分身』よりも応用がききそうだ。ん?いやこれは幻影。ってことは触れないのか?俺の『分身』は魔力を実体化させているが、これは違うのか?

実際魔力を消費して使っていたようだが幻影体に魔力の反応はなかった。魔力を使って俺に干渉したのか?


「レイン、もう一度『幻影』をやってくれないか?」

「いいですよ」


レインは再度『幻影』を実行する。

既に慣れたのか先程より早く展開をしていた。


目の前に現れたのはティアさんだった。



「すごいな誰でも出来るのか?」

「いえ、イメージによって変わるみたいですね」


なるほど……ティアさん!すんません!

そう念じながら俺はレイン幻影魔法ティアさんを軽く殴った。


お?


どうやら『分身』とは違い実体化はされていないみたいだった。触れられなかったのだ。だが使い方の応用はこちらの方がきくと思う。


コンコンコンっ


するとドアがノックされレインの担当が入ってくる。


「すいませんディルガ殿。これから診断をして退院の準備をします。」

「おぉじゃ先にでてるぞ」


それからレインは診察室へ、俺は外へと向かった。


退院手続きを済ませ病院を後にした。

外の空気は澄み切っていて気持ちよかった。

病院の中のあの独特な匂いには慣れていたが、やはり外に出ると土や木の匂いがして違うものがあった。

俺は大きく息を吸い手を上に伸ばして伸びた。

気持ちよかった。


………………。


さぁレインが来るまでなんか食って待ってるか……。

俺は出店へと向かったのだが………………。


「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」


「ディルガさん!聞きましたよ!フラムと戦ったって!」


「話聞かせてくれよ!」


「すげぇよ!」



え?え?……何何どうした?

村の皆が俺を囲み何かを言っている。

フラムと戦ったのは事実だが、そんなに?


俺はそれからしばらくその場から動けなかった。



すいません。

この話で第3章完結です!

次は海に行く第4章開幕!

お楽しみに!

良かったら☆やブックマークでの評価お願いします!




ディルガスキル



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理耐性』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『虐殺者』

・『消化』・『分身』

・『蒼炎』・『回復』


〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』

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