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第36話 進化


長は近づくと少し動いたがそれ以上動くことは無かった。


「ん゛ん゛っ!殺すっ!!!殺すっ!!!」


またも完全に理性を失っている。


「お前は!ん゛!依頼の途中で謎の魔物に殺された!!!それでいいだろ!早く死ね!!!」


………………。理性は……保ててるのか?それとも本能に従い自分の中の最も強い執念にしたがって動くだけなのか?俺を殺すというこいつの執念がこいつをつき動かしているのか?


「っ……はやく……殺っ……し、て………………」


急にどうした。目は赤いままだがほのかに茶色の入った赤茶色だ。


「は……やぐ……ぅっ……」


長の声は小さくか細く高い。少し離れたらすぐに声は聞こえなくなりそうだ。


「ん゛!殺してやる!!!」


すると直ぐに声を大きくし俺に敵対する。だがその目には涙が溜まり頬をなぞっている。


一体こいつはどっちなんだ?

ただひたすらに苦しい顔をしているように見えた。

何が起こってやがる……。


「あやふっ……ころし…てぇ……」


ここまで死を願うか?

長の体は震えている。トドメを刺した方がいいのだろうか。


決められない。俺には決められない。

長としても集落の同胞を殺したやつに返り討ちにあうなど納得がいかないだろう。

いや俺は殺してないのだが。あれはフラムの仕業なのだろうか。はっきりとしない事実だけがそこにある。誰も納得できない状況だ。


ここで長を殺して何になる?

このまま魔力が回復するまで待ってそれからでも全然間に合うのではないか?



「はやく……ん゛っ!!!」


いや落ち着け!

これは幻影魔法か?警戒しろ罠かもしれない。

いや違うな幻影魔法は幻影体にも多少の魔力を感じる。それでいてこいつには魔力はない。こいつは幻影体では無い。確実に本体だ。とりあえず地魔法で囲んで耐えるか?いや無理だ。魔力が少しでも回復したら砕かれるだけだ。


俺は強く唇を噛み締め前足を上にあげる。


「………………今……楽にしてやる」


決心が着いたのだ。俺は今から長を殺す。罪悪感?勿論ある。まだ何か方法があるのではないかと考えてしまう。

だか今の俺にはこれが限界だった。

俺は切れそうな魔力を振り絞り前足に集中させる。


「お前じゃ……ないの…だな……」


俺は小さく頷くとスキルを発動させる。

すまん。……お疲れ様。


月光熊(ムーンライトベアー)


長の首はそこで落ちた。驚くほどにあっさりと。

長の体は魔力が完全に切れていて切断しても何も出ないし体の1部は魔力に還元されていてボロボロだった。


回復魔法師がいない現在長は恐らく生き残れなかった。時間的にも。


未だに震える手を抑え足を運ぶ。

クイさん……長が作り出した素敵な家は灰になり崩れていた。あれも長の地魔法と幻影魔法の合わせ技だったのだろう。


ん?


新たなスキルを会得したようだ。


俺は念を込めスキル一覧から新たに見つけたスキルの概要をみた。




固有スキル


・『人化』

スキルの保有者を人化させる。人化、人化中に魔力は消費しないが、人化中に魔力を切らした場合、スキルが自我を支配し魔力が回復するまで意識を失う。



・『幻影』

任意の対象に幻影をみせる。幻影の種類大きさなどは使用者の魔力消費量に比例する。



長が使用していたスキル2つだ。

皮肉な感じだが使えるスキルを会得できた。

やはり長の自我消失は『人化』によるものだったようだ。危険なスキルだが戦闘能力をあげることが出来るのは得だ。ディルガ殿に使用許可を頂いてからにしよう。



俺は辺りを見渡す。辺りには砕けた岩やむき出しの地面が広がっている。もう畑の面影なんか無くそこにあるのは戦争の跡だった。また生き物も寝静まった夜の世界で音を出す者は誰もいず、ただひたすらに静寂な世界が広がっていた。


村の明かりも届かぬこの地でただ星の光だけが地面を照らしていた。


「はぁ…………」


俺は空に1つため息を零す。息は空気中に出た瞬間に冷やされ周りの温度に順応した。自然と体の力が抜けていく。

俺はその力の抜けた足でテクテクとリーガル村へと向かった。地面をふむ感覚は感じなかった。



───リーガル村


リーガル村に到着した。

あの戦闘からおよそ3時間が経過しているまだリーガル村は真夜中。外の出店も閉じ静かな空間と化していた。

家の光も少なく1部の店だけが光っている。


体は既に限界だ。


俺はゆっくりと腰を下ろし町中央に位置する噴水に座った。いや、寝た。限界の体を横に向け少々痛いのを我慢しながら俺はそこで目を閉じた。

文句を言う暇もなく俺はそこで眠りについた。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「…………朝か……」


今日は退院が予定されている日だ。これから朝ご飯を食べて昼に診断を受けて大丈夫そうなら退院だ。

今日の朝は非常に体が軽い。体は順調に回復していた。

魔力も完全に回復し体に力が入る。よし。これで退院したらレインと海へ行こう。


……おいおい待て待て今のなんかフラグみたいじゃ?


……いやいやそんな事ないよ……な?……



いや待てあいつは昨日から1人で指名依頼へ行っている。

断言は出来ないがあいつが怪我をおって入院なんで全然有り得る。そうなってしまえば海へ行くのは延期になるな。それだけは避けたいところだが……



コンコンコンッ



「どうぞ!」


病室のドアがノックされたので俺は入室を許可する。

ドアを開け入ってきたのは俺の担当だった。

手には朝ご飯を持っている。どうやら朝ご飯の時間のようだ。


「はい、今日の朝ご飯ですね」

「ありがとうございます!」



担当は俺の目の前の机に朝ご飯を置いた。

今日の朝ご飯もいつもと同じような感じの整ったカラフルな物だった。そしてあのドリンクもある。俺これあんま好きじゃないんだよなぁ……

とか思ったが俺は今日で退院予定なのだ。我慢して飲もう。



「いただきます」


小声で発した後に飲み物を空の胃袋に入れた。

いきなり食べ物を入れるのはいけないと聞いたことがあるからだ。俺の場合どの順番で食おうが食わなかろうが変わらないんだけどね。


口に飲み物を運ぶと担当は口を開く。


「あっそういえばパーティーメンバーの……レインさん!奥の360号室に入院されましたよ」


ブブゥゥゥゥゥゥ!!!


俺は驚きのあまり飲み物を吹き出してしまった。横に向かってだから担当にはかかっていないが、担当は片方の頬を上げ嫌そうな目でこちらを見ている。


いやごめんて。


「なんでレインが?」


とりあえず理由を、と思い俺は担当に聞く。

すると担当はすぐに答えた。


「今朝ここの清掃員が来る時に噴水の上で寝ているレインさんを見つけたそうなんです」


何やってんだよ!

全くあいつはどうせ依頼が終わって眠くなってそこで寝てたんだろ?


「それで様子を見て見たそうなのですが体はもうボロボロで限界状態だったそうです」


え?まじ?


俺ば病室を抜け出しレインが居る360号室へ向かった。

「えぇ!ちょっと!ディルガさーん!」


俺は廊下を走り360号室へ向かう。腕についてる魔法元素の点滴を持ち上げて裸足で走っている。


ガラガラっと音を鳴らしながら俺はレインの部屋に入った。


「レイン!」


病室に着くと傷だらけの体のレインはすごく気持ち良さそうな顔で寝ていた。


「えぇ………………」


つい声が漏れてしまった。


「はぁ……『回復(ヒール)』……」


レインの体の傷はどんどん治っていく。

魔力は少し多めに消費したが前回行った時とは違いスキルが簡単に使えるようになっている。俺スキルゲットしたっけ?



(スキル一覧…)


ディルガ



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理耐性』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『虐殺者』

・『消化』・『分身』

・『蒼炎』・『回復』


〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』



え?『回復(ヒール)』あんじゃん!


(おーい大賢者!……おい!)

《んーっ……何よ忙しい時に、》

(忙しくねぇだろ!あとスキルゲットしたらそこで言ってよ)

《確認しないあんたが悪い》

(はぁ゛ぁ゛……)

《いやクソデカため息やめて?》


えっと……


回復(ヒール)

対象の肉体に傷が入っている場合魔力を消費し傷口の時間を戻し回復させる。


んー……いつの間にゲットしたのだろうか。

今回はスムーズに行った。それにフラムと戦った時も。これは『管轄者』のお陰もあるのだろうけど一体いつから……

ゴブリン達を治して気絶してた時か?それなら納得が行く。その時点で会得していればフラム戦で上手く使えてたのにも説明が着く。


恐らくその時だろう。全く認知していなかった。


まぁどちらにせよレインの傷は治せた。傷を負ってから時間が経っていたため魔力を結構持ってかれたが……。


今現在もレインは気持ち良さそうに寝ている。

まったく……ご気楽なやつだぜ。


「ハァハァ……ディルガさん!いきなりどうしたんですか?」

「あぁすいません。傷だらけと聞いたので、思わず」

「聞いたからどうしたと……え?レインさんの傷が……治っ……てる?」

「えぇ。止血などの処理しかされてなかったので治しときました」

「え……いやいや勝手に部屋から出ないでください!」


担当はパニクってたようだが首を振り話を元に戻した。


「へい……すんません」


俺は背中を押されゆっくりと部屋に戻った。

はぁ。


とりあえずは診断を見てだな。


俺は診断までゆっくりと部屋で過ごすことにしたのだった。



読んでいただきありがとうございます!

もう第3章とラストです。

これからは新たな章が始まります!

お楽しみに!

良かったら☆やブックマークでの評価お願いします!




ディルガスキル



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理耐性』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『虐殺者』

・『消化』・『分身』

・『蒼炎』・『回復』


〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』

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