第33話 指名依頼
ディルガ殿に別れを告げた俺は依頼の地へ向かっていた。
この依頼はディルガ殿を病院に連れて行った時、冒険者ギルドによった時にホルンから聞いた依頼だ。
それも俺だけに依頼者は俺を指定したという。
「ディルガ殿と行ってもよろしいのですか?」
俺がホルンにそう聞くと、
「いやレインさんお一人で、っと書いてありますので……おそらくは」
という事だった。
その為ディルガ殿に別れを告げいま歩いているのだ。
依頼者は少し離れたところに住む魔人らしくリーガル村から少し離れた所にいるらしい。報酬は高く表記されていた。
おれはディルガ殿とどこかに行こうと思ってその依頼を承諾した。
だが今朝ホルンが病室に来て30万リーとか言う大金を突き付けて来たのでなんか無駄になったような気持ちだが、誰ががどこかで困っていて、それを助けられるならやるべきだ。
そう思いながら歩みを続けた。
それからしばらくしてリーガル村を抜けて周囲の迷い森を歩いていた。
でも俺を指名とは珍しい人も居るもんだ。
依頼内容は周辺に出た魔物の討伐と記載されていたが、魔物の討伐なら他の冒険者でも可能なはずだ。
いや違うな他の冒険者では出来ないから、倒せないような魔物が現れたから俺を指名したのか?
そうだとすれば歴の浅い【赤】階級の冒険者である俺を指名するのは当然の事だ。他の【赤】階級の冒険者より安く済むからな。でもなぜ俺は1人なんだ?料金の問題か?
まぁ指名は冒険者にとって得でしかないから別にいいのだが。指名は他の依頼より報酬額高く設定されている。故に依頼内容が【草刈り】とかでもどの冒険者もやるはずだ。
他の依頼の方が良くても指名依頼は信用も得られるからな。
そんな事を考えながら歩いていると森を抜け小さな一軒家を見つけた。地図に描かれている目的地はどうやらその一軒家のようだ。
その一軒家は新築かと思う程に綺麗な家で、木を基調としたログハウスだった。少し細めの丸太が並べられ綺麗な模様をなしていた。
コンコンコンッ
茶色の木で作られたログハウスのドアをノックする。
「はい!」
ドアの奥から男の声が聞こえる。
やがて静かにドアが開く。
「レインさんですか!どうぞ!なかへ!」
家かは元気いっぱいなご老人が出てきた。
髪の毛は白く少し黒が混ざったオールバック。正しく男の中の男。そんな言葉を思わせる風格があった。
するとご老人は手を広げ俺を家の中に招待した。
中に入ると天井の高い部屋が有りそのにある綺麗な椅子……の横に座った。いや俺熊だからな。体がでかいから椅子には座れないんだよ。
ご老人は椅子に腰をかけてテーブルに手を置き腕を組みながら話を始めた。
「依頼人の クイ と申します。その、依頼の事なんですが、私畑をやっているんですけど最近何らかの魔物に荒らされてしまいまして……」
「なるほど、それを退治しろと」
「はいその通りです」
「その魔物の種族、特徴は?」
「すいません、種族などはわかっておりません。ですが、日の昇っている頃は現れず、夜遅くに周囲のもの達が寝静まった時に動き出すのです」
…………そうか。自分にとって分が悪い敵だ。夜は苦手なのだ。と言うか寝るのが好きだ。と言うか起きれないのだ。そのせいでいつもディルガ殿に迷惑をかけてるのだが。
まぁディルガ殿と沢山寝たので早く実行する方がいい。おそらく明日になったら眠くて眠くて話にならんだろう。そう思った。ディルガ殿がいても同じ判断をされただろう。
「では今夜実行に移す。」
「はい。お願いします。亡くなった妻との思い出の畑なんです。お願いします。」
クイさんは頭を深々と下げながらそう言った。
そこまで言われると絶対に失敗できない。そう思わされた。
するとクイさんは俺の求めていた展開をくれた。
「ではお部屋にご案内致しますね。」
そういうや否やクイさんは横にある階段を登り俺を2階の空き部屋に案内する。それにしてもオシャレな家だな。暖かい色の照明が木でできた部屋を優しく包んでいる。光が反射を繰り返し家中が明るい。
リビングは上が突き抜けていて2階が見える。階段は2つあって途中で統合されるお城のような作りになっている。クイさんは貴族かなにかなのだろうか。それならば他の【赤】冒険者を指名するか?そんな事を考えているうちに2階について右の部屋に案内された。
右にも左にも沢山部屋があった。一人暮らしにはどうしても見えなかった。すると、
「どうですこの家。」
「すごくオシャレだと思います。俺は尊敬するパーティーリーダーと安い宿舎に泊まっておりますのでより一層羨ましいですね」
そう返した。いつかは自分の家を買ってみたいものだ。流石に30万リーでは足りなすぎる。まぁまた今度余裕が出来たらディルガ殿に相談してみよう。
「ホッホッホッホッホ。でも妻がいないと寂しいですよ」
何か地雷を踏んでしまったような気がして俺は下を向いた。するとまたクイさんは何かを察したように話してくれて、
「もう何年も前の話ですよ。気にしないでください」
優しいトーンが心に染みた。本当はすごい悲しかったろうに。俺はその時どんな魔物でも必ず解決すると心の中で誓った。
クイさんからは何か懐かしい匂いを感じた。
「こちらの部屋をお使いください。」
そう言われ案内された部屋はディルガ殿と泊まっている宿舎の部屋の3倍は大きな部屋で、ベットなどの生活環境もしっかりと整えられている。きちんと掃除もされていて清潔感のある部屋だ。
俺は電気をつけ、窓を開け、荷物を置いた。
「ありがとうございます。こんないい部屋を…」
「いえいえ当然です。私の依頼を受けて下さいますので。ではお昼ご飯を用意しましょう」
「あっいえ、念の為に今日の分は買っておいたのでお気になさらず」
ここに来る途中で魔物に遭遇して到着まで時間がかかってしまった時のために俺は予め昼ごはんを買ってきておいたのだ。
「そうですか。なら夕食に力を入れるとしましょう」
クイさんはニコッと優しく微笑むと一礼をして部屋を出ていった。本当にいい人だ。善意の塊としか比喩できない。
それからはベッドに横になり夜まで寝ることにした。
幸いな事に今日も眠い。いや今日もだったら幸いな事では無いか?てかそもそも眠い事は幸いな事じゃないか?
まぁいい。どっちにしろ夜活動できるように今のうちに寝ておこう。
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───病院
「………………………………………………」
「暇だ!!!!!!!!!!」
レインが出発してもう何時間もたった。あいつは今何をしているのだろうか。
やけに張り切っていたように見えたが、
(ディルガ殿!行ってまいります!!!)
そう頭の中でレインの回想が流れる。
それにしても暇すぎる。
「遊ばせろ゛ーーー!!!!!」
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「んっ……」
俺が起きると外はすっかり日も暮れて暗くなっていた。
これだけ睡眠をとったのだ。充分過ぎるくらいに寝たため体はまだ上手く動いていないが頭はスッキリとしている。少し動けば体もなれるはずだ。
俺はベッドから降り、ドアの鍵を開け廊下に出た。
相変わらず素敵な家だった。夜のこの家は朝よりも暖かい色の照明が映ている。
廊下に出ると甘い匂いが先行して鼻をくすぐった。
「あっ!レインさん!夕ご飯の準備が出来ましたよ!」
階段の上からリビングを見ると沢山の料理が用意されている。階段を降りてテーブルの横に座った。
そこでクイさんが料理を出してくれた。
シチューだった。
シチューは大好きだ。大きめのじゃがいもや青い野菜。白ベースにカラフルな野菜が乗っかり綺麗なシチューでヨダレがたれそうだった。
甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
それからも続々と様々な料理が出てくる。
それぞれの色を放ち食卓を優雅なものにしている。
「さぁ頂きましょうか!」
「いただきます」
「なんです? そのいただきます って?」
「これは自分のパーティーリーダーの里で行われている食事前の……儀式?のようなもので、食材に感謝の意を込めて言っているのです」
「なんだか素敵ですね。では私も」
「「いただきます!」」
ディルガ殿に教えてもらった「いただきます」は素晴らしいものだと思った。その時から俺はその言葉を使い続けている。
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───病院
「いっただっきまーす!!!」
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「ごちそうさまでした」
「それもパーティーリーダーさんの?」
「そうです。これは食後に言うらしいです」
「ではデザートを持って参りましょう。その後に ごちそうさまでした を。」
そう言うとクイさんはキッチンへ向かった。キッチンとリビングは直結していてすぐに着くようになっている。
クイさんは何かを持って帰ってくる。
「これは?」
「これは【アイス】と言います」
「聞いた事ありますね。見た事も食べた事もありませんでしたが」
「これは少し前に亡くなってしまった げん という飲食店を経営していた魔人の方の唯一残されたレシピを再現したデザートですね」
へー。そうなのか。名前は聞いた事があったがその げん という人は知らなかった。珍しい名前だな。
「この世界で食べられている料理から、よく分からない料理まで、沢山作ってらっしゃった方らしくて、いやー1回は行ってみたかったですねー。あっはいどうぞ!早く食べないと溶けてしまいますので」
「溶ける?氷のようにか?」
「そうですね。水にはなりませんが、溶けて液体になってしまいますので」
そう言うと半透明のお皿に入った アイス とやらを俺に渡す。そのアイスは白い半球の形をしている。雪玉を半分に切断したようにした見えない。これが本当に溶けるのか?
そんな疑問を抱きながら俺はアイスを口に入れた。
「っ?!……………………」
「どうですか?」
クイさんはスプーンを口の前で止め俺に感想を求める。
「うっ…うまぁ゛ーーーーー!!!!!」
「それは良かった」
俺はその美味しさに驚き口いっぱいにアイスを放り込んだ。もう皿の中のものは全て口に入っている。
その美味しさを噛み締めていると頭が少し痛くなった。
「うっ……」
「ほっほっほ、冷たいものを一気に放り込むと頭がツーンとしますよね」
そう言いながらクイさんは少しづつアイスを口に入れる。
その顔は笑顔で満ちていた。
「「ごちそうさまでした!」」
最後にその言葉を放ち夕食を終了した。
まさかここまで美味しいものを食べさせていただけるとは思ってもいなかった。
夕食を済ませ腹を満たした俺は満面の笑みで戦闘の準備に取り掛かったのだった。
すいません。寝てしまいました。
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ディルガスキル
○常用スキル
ㅇ『管轄者』の下
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
・『暗視』・『光属性耐性』
・『再生』・『状態異常耐性』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』
・『切断者』・『虐殺者』
・『消化』・『分身』
・『蒼炎』
〇属性適性
・『地属性適性』・『炎属性適性』




