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第29話 魔王

その微妙な空気は10秒近く続いた。

たった10秒。それだけなのにえらく長く感じた。

すると気を使ってか、


「っで、先程の魔法は、お前のだな」

「あぁそうだ!」

「我の計画を邪魔するならばここで死んでもらうが」

「えっと計画って?」

「……まぁどうせ死ぬんだ教えてやろう。ここら一体の魔物を皆殺しにする。つまりお前は生きて帰れない」

「……それなら抵抗はしておこう」

「フハハハハハッ!、ハァ……では行くぞ!」


そう言った刹那地面を強く蹴り物凄い勢いで殴りかかって来た。

『身体能力強化』を強化して使っているのに辛い、自分の体が遅いと思う程に高速で移動しながらの戦闘だった。

だかそれは意外に一方的と言うべき戦闘ではなかった。

殴り殴られを高速で移動しながら繰り返している。


加速の度に割れる地面、炎属性をまとった拳の物理攻撃は全身に鈍痛が走る。

相手の打撃を何とか流しながらカウンターを打っていく。


まずい?!集落に入る!


高速での戦闘は集中力を大きく消費した。

(こいつ!戦闘しながら俺を誘導したのか?!)


そうだとしたら余裕が俺と全然違う。

死の隣で戦闘してる俺に対し、フラムは笑いながら戦闘をしている。

まるで公園で遊ぶ子供のような顔で。


「フハハハハハッ!我とここまでやり合うか!」


狂気的な笑顔だ。戦闘狂と言うべき笑顔に見られながら俺たちは集落へ入った。

先程の音のせいでゴブリン達はちらほら外に出ていた。


「あぶな゛い!どげぇ!」

「ハハッ!俺だけみてろ!」


スドォン!


「クハツ!」


腹部を思いっきり殴られ地面にたたきつけられた。

背中から地面に落ちその衝撃で少し空中に跳ねた。

すぐに追い打ちを仕掛けてきたフラムを避け後ろに下がった。


異常過ぎる。


地面はえぐれ返ってクレーターがいくつもできていた。

ゴブリン達への被害を最小限に抑えながら高速で戦う。

ただの1体1では無い。相手は魔王。

これまでの魔物とは比べ物にならないスピードとパワーだ。


「フナハハハハハッ、愉快愉快!」


それでも相手は余裕の表情だった。

『再生』含めその他耐性スキルがなかったら俺は既に5回は死んでいる。そう思わせるほどに圧倒的だ。


「おるら゛!」


フラムは足元に鞭のような形にした炎を打ち込んできた。

間一髪で避けることが出来たがこれはまずい。

鞭は音速おも超える言われているが今のは音速なんてもんじゃない。鞭は魔力を固めて属性を付与しただけの物だが、

その威力は圧倒的で地面をえぐった。

横にしか逃げられなくなったエネルギーは円形を留めながら周囲をえぐっていった。正直これ爆弾だ。


その攻撃により俺は空中で止まっている。

まずい今攻撃されたら。


なんのスキルで回避しようか、そんな事は考えさせてくれる訳もなく第2撃目がきた。


スパアァァン!!!


「うっ……はっ?!」


その攻撃は俺に当たる少し前に立てられたレインの地魔法によって阻害された。

相手の鞭は変な方向に曲がり次が来るまで少しだけ時間がありそうだ。


その時、レインの地魔法が崩れ地面に落ちる間の時間で俺は後ろに下がり距離を広げた。


それと殆ど同時に目の前では大きな爆発が起こり鈍い音を立てた。

その音が聞こえた時、



その音が聞こえる前までの刹那の時間でフラムは俺の目の前まで接近してきた。


『思考加速』により体感時間が引き伸ばされてると言うのに認識すらままならない速度だった。


「にぃひ!」


邪悪な笑みを浮かべながら炎の宿った拳を大きく振る。

大きな音を立てながら俺を何発も何発も殴り続ける。

普通の人なら恐らく1発で死ぬ。

スキル『再生』、『回復(ヒール)』を状況に合わせて使い続けている。



状況が状況だ。

常用スキルである『再生』を強化しつつ常に『回復(ヒール)』を連続使用している。

魔力が尽きるのも時間の問題だ。

いくら『炎属性耐性』や『物理耐性』を持っていようとここまでの力の下では殆ど意味をなさなかった。


痛い。痛い。痛い。




痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い







痛い。







『物理耐性』の『物理攻撃無効』への進化。

成功。

『物理攻撃無効』を会得。





「『分身』を生成…………『切断者』」

「おっ!」



先程とは打って変わって冷静になり『分身』による『切断者』の同時攻撃でフラムとの距離を広げた。

集中力は極限に達し瞬きすら忘れていた。



世界は完全に静止したようにゆっくりと動いていた。


(あれっ?遅いな……)


だが同時に体も上手く動かなかった。




何故だ。そうか『身体能力強化』が追いついてないんだ。



強化だ。強化。



俺は『身体能力強化』をめい一杯強化した。



スゥットォォォォォォォォヌン


フラムの首を蹴りつけた。フラムは湾曲し遠くに飛んで行った。

蹴った時の音はスロー再生のように割れたような重低音でいつまでも揺れていた。


すかさず追い打ちだ。フラムが飛んで行った先に『地魔法』

で壁を創造する。壁に打ち付けられたフラムにもう一度渾身の一撃をくらわす。岩を突き抜けて飛んでったフラムをすかさず『分身』を作り分身体に追い打ちをさせる。

分身体はフラムを地面に叩きつけて消えていった。そこに『地魔法』で作った尖った岩を直角に落とす。


これには流石に反応してきて『炎属性魔法』で対抗された。


(だったら)


「『時間の管理者(タイムキーパー)』……」


「は?!」


フラム自身の時間を少しだけ巻き戻した。

止まっていた岩はそこから動き出しフラムに当たって砕けた。

頑丈すぎる肉体だった。だがそんなんで倒せるなんて思っていない。隙を作るのが目的だ。


俺はフラムに近づくと岩を蹴り飛ばし上に馬乗りになり動けないように押し付けた。

歯を食いしばって苦しそうな顔を浮かべるフラムに対して、

顔をグチャグチャになるほど強く握りこう念じる。



(『消化』)


その時からフラムの顔は湯気を出しながら溶けていく。


「グアァァァァァァァァ!!!!!」


もっとだ。『消化』を強化しろ。養分は消化して還元された分の魔法元素だ。



「フゥ!!!フゥ!!!ヒャメロ!!!アァ!!!」



フラムは何かを言っているようだったが遅すぎてなにを言ってるか分からない。


フラムは俺の腕を掴みどかそうとするが、その腕は気体へと昇華し消えていく。

ジュー……っと音を立てながら。

ただ俺には大きなノイズのようにしか聞こえなかった。

フラムの顔は既に原型が分からないほどに崩れている。

だが少し効果が弱くなってきた。


……なら『蒼炎(フォートフレイム)』を追加だ。

いくら炎属性魔王だとしても10000°の炎には耐えきれないだろ。


「いゃめろ!いゃめろ!!」


「やめたらお前はまた同じことをするはずだ。

だから俺はやめない。お前の目的がどれだけの人を救おうと……俺は止めない!」



頭には様々な光景が走馬灯のようにただし薄く流れている。

目には現実の世界。心には昔の思い出が同時投影され不思議な感じになっている。

ギルドの冒険者達。お世話になった【赤】階級の3人。

そして長い間、そしてこれからも共に旅をしたいと思えるレイン……そして今はもう曖昧になった親父の顔。母の顔。

死なない。絶対に。いや、



死ねない。


こんなんじゃまだ。



「ゥグハア゛?!!!! !」



走馬灯も明け始め目の前が鮮明になっていく、

はずだった。

実際は全身が重くなっていった。体全体、腕だけにすらも力が入らない。

瞼を開けることにほど抵抗が生まれる。

なんだこれ。


死?


んなわけねぇだろ。俺は何も……



「ん゛な゛ぁ!どげぇ!」


顔と手が溶けたフラムは腰を使い、足で俺を蹴り飛ばした。

痛みは全くない。

地面に転がった時も。



ただ目も上手く見えない。

下が地面で岩なのは分かる。

『物理攻撃無効』とは言うが完全に痛覚が遮断される訳ではないようだ。

触覚はあって痛覚は無効化されてるのだろうか。

これは管理者の管轄か?


というかそれどころじゃない。



フラムも魔王だけあって既に再生を仕掛けている。

フラムはフラフラと立ち上がりこちらを凝視している。


「ディルガ殿!大丈夫ですか?」


レインが来てくれた。

俺の目の前で立ち上がり守ってくれている。

微かに見える視界に映ったのはプルプルと小刻みに震えるレインの足だった。


まずい……。早く……立たないと。


声すら出ない。痛みはない。だが体全体が異常に重く動かない。


『身体能力強化』の反動か?


もう一度!


(『身体能r』)


ブジャァァァァ



なんだ?口の中が暑い。血か?

吐血したのか?


「ディルガ殿も♯う魔☆は使わなΔでく∥*Σ」


レインが何かを言っている。

上手く聞き取れない。


魔法?使ったらダメなのか?

てか血が止まらないのはなぜだ?


まさか魔力が完全にきれてんのか?

それのせいで『再生』が追いついてないのか?


半目の状態から体を1ミリも動かせない。


「っ!!!……お前゛……覚えた……そうディルガだ……」


俺を呼んだか?

フラムの声はかすれていて聞にくい。


「待っていろ。……必ず……俺がお前を……ころ゛す!!!!!」


そう言うとフラムはヒョロヒョロとした足取りで後ろを振り向き何かを唱え始めた。

何かを唱えながら振り返って俺の目を見てきた。

ぼやけた世界でもはっきりと認識できた。

フラムの顔は再生しているのに崩れきっていた。


それからは怪我をしていない足を浮かし飛行魔法か何かで空の彼方に消えていった。


「ディルガ殿!」



俺はそこで長い眠りについた。

周りの音も全てを遮断して。

新しいキャラクターが登場しましたね。

最近閲覧数が少し増えてきて嬉しいばかりです。

良かったら☆やブックマークでの評価お願いします!




ディルガスキル



○常用スキル

ㅇ『管轄者』の下

・『物理攻撃無効』・『環境効果無効』

・『身体能力強化』・『炎属性耐性』

・『思考加速』・『意識拡張』

・『生存能力強化』・『座標認識』

・『暗視』・『光属性耐性』

・『再生』・『状態異常耐性』


○スキル

・『魂保存』・『時間の管理者』

・『切断者』・『虐殺者』

・『消化』・『分身』

・『蒼炎』


〇属性適性

・『地属性適性』・『炎属性適性』

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