第19話 死
「ははっ……親父見てたかよ。俺……役に…たっ…………」
頭をスライムの魔法が包み込んだ。
その中で俺は死を覚悟し
笑った。
それはそれは不気味な程に清々しい笑顔で。
シュゥゥゥゥゥゥゥ
痛みはない。『物理耐性』のおかげだろうか。
それともただ俺の感覚が麻痺してるだけなのか。
それすらも……分からない。
体全体が飲み込まれた。
ティアさん達が慌てている。
大丈夫だろ。俺は【緑】階級だぞ…。
ほら見ろそこら辺の冒険者達は俺の死になんにも思ってなさそうじゃねぇか……。
さみしいなぁ……
ごめんレイン、こんな所で死んで。
ごめんティアさん、あなたの前で死人を出して。
ごめんリーフルさん、あなたの経歴に泥を塗って。
ごめん冒険者達、おれが【緑】で。
ごめん親父、
こんな息子で。
目からは一滴の涙が出ていた。
それは頬を撫でる前にスライムによって消化された。
何故かすごい気持ち悪い。
これが〈死〉なのか……。
最悪な終わり方だ……。
少しづつ意識が遠のいていく。
……………………………………………………
ここで俺は意識を失った。
真っ暗な世界がへと誘われた。
《スライム固有スキル『再生』、『分身』、『消化』を会得。スキル『消化腐食耐性』、『麻痺耐性』を会得。
『生存能力強化』による『睡眠耐性』と、『毒耐性』を『消化腐食耐性』と『麻痺耐性』と統合。スキル『状態異常耐性』を会得。……成功。スキル『管轄者』の下にて常時使用を開始します。》
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「あぶねぇ!ディルガ!」
「ディルガ殿!!!!!」
「……っ、ティア!早く助けろ!」
「いや無理だ!あそこまで吸収されたらさすがに!」
「何か方法は無いのか?!彼を助けろ!」
ポヨォンッ、ポヨォンッ
「くそっまずはこいつから……」
「ディルガ殿のように内側から爆発を起こしてください!」
「なるほど、ディルガの動きはみていた。よし!お前ら!爆撃魔法の詠唱を開始!」
ティアさん達は少しづつだがスライムを倒している。
ティアさんかリーフルさんの斬撃の後に魔法師部隊が爆撃魔法を撃ち込む。
その流れを繰り返しスライムは1~2匹程度ずつだが確実に減っていた。
その頃ディルガは大きなスライムの中で吸収されかけていた。だが完全に吸収されてはいず、中で大の字になって浮かんでいた。まるで映画の実験施設の実験体のように。目は完全に瞑っている。冒険者達は完全にディルガの死を見届けたつもりだった。
《スキル『蒼炎』を使用》
ブゥォォォォゥムン
「なんだ?!」
「ディルガ殿!!!!!」
「……どうなってやがる…」
ディルガを包んでいたスライムが蒼い炎に包まれ蒸発していた。
「いや今はこのスライムからだ!」
その言葉からものの数十分、スライムは全滅した。
そんな言葉で済まされるほど簡単に。
この吸収力はさすがの【赤】階級と言えるだろう。
「まだ燃えてるぞ……」
だがディルガを包む蒼い炎は消えることはなく、辺りを燃やし続けていた。
「淙魔法を使えるものはいないか!」
「使えます!」
そう名乗り出たのは【赤】階級の魔法師だった。
「おぉ!スーニャさん!」
艶のある長く綺麗な白髪を揺らし、邪魔にならないよう横の髪は耳にかけている。髪には碧色のメッシュが少し入っている。そんな彼女を見たものは
「美しい」その一言しか使えなくなりそうだ。
そしてその瞳は深い碧色に染まっていた。
まるで深い深い海の底のように全てを包んだ。
そんな彼女の淙魔法はものすごい量の水を生み出した。
数にして数百リットル。ディルガの蒼い炎を包むように降りかかった。
ジュゥウウウウウウ!
「は?!」
そしてその全てが蒸発した。
火には水を。これは昔から伝わるものだったが、
それを覆す程に火は水を蒸発させた。
一瞬で。
「もう一度!」
彼女は繰り返した。何度も何度も、それでもディルガの炎が弱まることはなかった。
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……ここは?
俺はまた何も無い真っ暗な空間にいた。
だがものすごい量の魔力を感じる。
「大賢者!いるか?」
答えがない。あいつは一体何をしているのだ。
というかここはどこだ?なんか前も来たことがあるような……。あっ!
死んで転生する時の!
そっか俺はスライムに殺されて死んだのか……
こっちの世界で死んだらどうなるのだろう。
神様どうか次は有能な『大賢者』いやっ。
何も知らないまま地球に生まれされてください。
これがせめてもの願いだ。
あんな世界もう……
《早く起きなさいよ!》
(これまでありがとな大賢者…………えっ?大賢者?!)
《そうよ早く起きなさい!》
え? 俺まだ生きてんの?
あっいや嬉しいんだけどね。さっきまで死ぬ気満々って言うのもおかしいけど、死ぬっていう前提で話してきたから、アハハ……恥しっ…。
そんな会話を交わしていると辺りが明るくなっていく。
そして再度覚醒を始める。
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「んっ……」
「あっ……起きました!」
何やら女性の声がする。未だ視界は明けずぼんやりと異世界を眺めた。
ん? 何やら顔の右あたりに何かを感じる。
俺は今右を向いて寝ている。
それに女性の声。
……え? 膝枕?!
なんということでしょう。
現在2度も人生を送っていて女性関係を一切持たなかったおれにもやっと春が!
「おお!ディルガ!起きたか!」
は?
左耳にものすごい音エネルギーが流れ込んでくる。
感覚を研ぎ澄ませばこの枕くそ固ぇな。……
嫌な予感が走る中体をひねり上をむく。
「ざっけんな! ティアじゃね゛ぇかぁ!!!」
「おぉっ、びっくりしたぜ!急にどうした?」
「こういうのは美女が「大丈夫ですか?ディルガさん……」みたいに照れながら言うのがテンプレだろうがぁ!!!!!」
「ハッハッハッハッハ……すっこれはすまんなディルガ!」
ティアさんはそう笑ってみせる。
くそがせめてリーフルさんだろ。
あぁいやそうじゃない。
「寝心地はいかがだったかな?」
リーフルさんがにやにやしながら歩み寄ってくる。
「最低品質だ」
そう言うと、
ハハッ、とリーフルさんは笑ってみせる。
「最高品質の筋肉だろ!」
「確かにそう考えてみれば……いやよくねぇよ!」
そんな軽口を交わしている時何か視線を感じた。
起き上がり当たりを見渡す。
そこには驚く程に綺麗な女性がいた。
艶やかな白髪に蒼いメッシュが入っている。
眼は碧くきらびやかに光っていた。
その容姿は“完璧”の具現化のようで『時間の管理者』や『思考加速』を使っていないのにも関わらず時間が遅く感じた。
恐らくこの世界で1番美しいのはだれ?
と聞いたらこの女性を知っている方がいたら間違いなく彼女と答えるだろう。例え配偶者がいても。
「大丈夫ですか?」
女性美しい声が耳をいやす。
ティアさんの声の後だから余計に美しくかんじる。
大賢者は女の子の声でこの女性は美しい大人の女性の声だ。
「だだだだ…だいじょうぶです!」
「アッハッハッハッハッキョドりすぎだぜディルガ!」
「フフっ流石だねディルガくん」
「おいっ笑うなや!」
久しぶりに女性と話す。というか母親以外の女性とはあまり喋らなかったからな。
「よかったぁ」
彼女はそう言ってみせる。
「彼女は魔法師部隊のにいた【赤】階級の冒険者、スーニャ さんだ!」
「スっスーニャさん……ありがとうございます」
スーニャ……可愛らしい名前だ。
名前を聞き改めて容姿を確認させて頂く。
これは決して失礼な意味ではなく、ディルガえっと……もうなんでもいい!
俺はスーニャさんのお体を有難く拝見させて頂いた。
その体は丸で山脈のようにうねり。
っておいやめろっ。
なんかグロいじゃないか!
まぁ簡単に言えばものすごいスタイルがよかったぁ。
身長は160くらいだろうか、スっと長い足が伸びており
白く美しい肌が露出していた。
胸元が大きく露出している訳では無いが、胸の輪郭がはっきりとんかるレベルで大っ……………果実が実っていた。
おっとここら辺にしておこう。
「そういえばガイラは?」
「あぁ、ガイラさんならあそこに」
リーフルさんが見た方向でガイラは寝ていた。
それは本当に寝てるのか、それとも……
その考えがよぎった時起き上がり走り出した。
もうそれは不器用な走り方で。
バランスを崩し転びそうになりながら。
「ガイラ!」
顔を手で支え顔を眺めた。
その顔は笑顔で満ちていてすやすやと眠っているように見えた。
お読みいただきありがとうございます!
どうでしたでしょうか?
ちなみに活動報告もさせて頂いたのでよろしければお読みください!
明日も7時に投稿しますんで、
良かったら☆やブックマークでの評価お願いします!
ディルガスキル
○常用スキル
ㅇ『管轄者』の下
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
・『暗視』・『光属性耐性』
・『再生』・『状態異常無効』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』
・『切断者』・『虐殺者』
・『分身』・『消化』
・『蒼炎』
〇属性適性
・『地属性適性』




