第18話 名誉
「これで死ねぇー!!!」
スライムが魔法爆弾を入れた袋を消化した。
魔法爆弾自体が消化される前に、
ドォォォォォォン!!!
魔法爆弾内部の魔石に魔力を込め、爆発を引き起こした。スライムは再生に集中し攻撃をしてこなかった。爆破後スライムはバラバラに散らばったが、大きすぎて大きな破片もありそれは一匹のスライムとして再生を始めた。
一気におよそ75匹分を処理するはずが約50匹程度になってしまった。だが300分の50は相当でかい。
これは有効打撃となった。
残りの25匹分は1から3匹程度の塊となり再生した。
「レイン!先に大きい方だ!」
「はい!」
レインの『月光熊』による斬撃でスライムに切り傷を負わせ、再生する前に俺の魔法爆弾を入れる。それを爆発させスライムを木っ端微塵にする。
その作業を繰り返した。
2回目はより上手く置くことが出来た。
その威力は70匹を一気に殺した。
だが即座にスライム達は集まり25匹と今の5匹が合わさり30匹程度の塊となった。
「レイン!最終爆破だ!」
「えぇ!!!」
その頃は
「作戦は順調だ」
そう思っていた。
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一方その他冒険者ギルドの方がたは、
「次の魔法に備えろ!」
「「「魔法障壁展開!、強化魔法付与!」」」
ドォォォォォォォォォン!!!
「「「あ゛ぁ!」」」
前衛部隊は深手を負い、回復魔法が追いつかずどんどん追い詰められていた。
「『回復』! 『回復』!」
「ガ…ガイラさん…そんなに回復魔法を連発したら…ゲホッゲホッ」
「お気になさらず! ウッ……」
ガイラは体が痛むようだった。
「ガイラさん!大丈夫ですか?」
「僕の事は気にしないでください! あなたの方が重傷なんですよ! 分かってまゲホッ……ッすいません」
ガイラは何かを抑え込むように心臓を強く抑え回復魔法を連発していた。
スライムの魔法を少し受けたのだろうか。その体は酷く傷だらけで出血もしていた。
「僕なら自分で回復できますから」
とか言っていたが一切自分に回復魔法を使っていない。
ボロボロになりながらも数多くの冒険者達を回復していた。
「避けろ゛お゛お゛!!!」
「え?」
ティアの声が響く。
スライムは自身の体を魔法として放ち、ガイラを包もうとしていた。
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「『月光熊』」
「くらえ!」
ドォォォォォォォン!!!
「ふぅ……やっと終わったな」
3発目は上手くいかず、結局半分を減らすのに4発も使ってしまった。
まぁ、具体的に言えば俺のミスなんだが……。
いや思い出さないようにしよう。
ガイラ達の方に行こうか。
「よしそれじゃあっち……っ!!!」
その目に写ったのはスライムがガイラを吸収しようとしている光景だった。
(っ……!)
次は絶対に……
「俺が助げる゛!!!!!」
ティアさんの時に動けなかった思いが爆発し『身体能力強化』に魔力を込めた。その時の判断速度は異常に早かった。その効果は驚く程絶大で、恐らく『思考加速』がなければぶつかって俺はもう一度死んでいたと思う。
そう思わせる程に早く動いた。
「『時間の』っ……グハッ!」
魔力が尽きていた。
恐らく『身体能力強化』に殆ど持っていかれた。
そのせいで魔力が残っていなかった。
(どうする、考えろ!!!)
地魔法は放てない。
『身体能力強化』は効果が切れ、常用状態にすぐに戻っててしまう。それでは恐らくこのスライムの範囲技の範囲外に逃げるまでに……いや考えるなっ!
「ガイラっ!行くぞ!」
そうガイラに伝え、足に精一杯力を込めた。
地面がえぐれる程に。
少しづつ効果が薄れていく。走りながらもそう明確に意識した。そこで頭を1つの考えが横切った。
間に合わない。
死ぬ。
それは今までに感じた死の恐怖を超越し俺たちを襲った。その時から世界がゆっくりと動き出した。
否、この言い方には語弊がある。
その時から世界がゆっくりと動くように見え始めた。
『思考加速』を使わずともだ。
だがゆっくりに見えるだけで体の動きは元の時間の中で動いている。このゆっくりな世界では俺もゆっくりになっている。ただ俺の意識だけがこのゆっくりな世界に取り残されたかのように。
ティアがまだこちらを見ている。
その顔はアホみたいにひしゃくれている。
驚き嘆き強ばった固い表情だ。
リーフルもこちらを見ている。
その顔はイケメンを突き進んだような清々しい顔ではなく。味方2人の死を見届けるような悲しみの顔だった。
その他冒険者もこちらを見ていた。
その顔は技に反応できていないかのようにボケっとしていた。
(もう……むりだ……)
いやまた諦めるのか、その時走馬灯よように前世の記憶が鮮やかに蘇る。
バシッ!……
頬の痛覚が刺激される。
親父の手のひらは皮が厚くとても痛かった。
「いってぇな! 何すんだよ!」
「ちゃんと働けよ! いい歳して引きこもって! お前は何の役にもたってねぇんだよ! 少しは親孝行ぐらいしろよ!」
「親父の元に生まれたくて生まれたんじゃねぇよ! 勝手に息子に期待すんな!」
親父はいつもこんなだったわけじゃない。
いつもは穏やかな性格で落ち着いていた優しい人だ。
親父なりの不器用な怒り方がまた心に刺さった。
「期待なんかこれっぽっちもしてねぇ。ただ生きているだけで人に迷惑をかけるような真似は絶対にするな!」
親父の口から零れる怒りの感情を乗せた言葉。
ご最もだった。
その言葉は酷く正しく、
酷く間違っていた。
俺は何の役にもたっていない。しかもそのまま死んだのだ。
あの日の大喧嘩以来親父とは話していない。
親父が亡くなったからだ。
俺との大喧嘩の後数ヶ月後父親は病気により急死。
その原因の一つに過度なストレスも大きく関係していたという。喧嘩の事は俺と親父の秘密だった。
親父は母に俺の事を色々と相談していたらしい。
その中の言葉を抜粋し母が教えてくれた。
「俺たち以外の不特定多数の人の役に立ってもらいたい」
と。
自分で「親孝行ぐらいしろよ」とか言っておきながら。
本当に親父は不器用な親父だ。
親父の最後の言葉は間接的に俺に届いた。
だが親父からは聞けず、それが本当に親父が言った言葉なのかすらも分からない。
その後も俺は現実逃避を続けた。
親父を死に追いやった責任感からか、
それとも単純に反抗心からなのか。
それすらも言い訳にしか聞こえない。
ただ1つ言えることがあるとすれば俺は親父はもうこの世に居ない。だが親父の言葉はこの世に残っている。俺はそれを胸に刻み歩き続けるしかないのだ。
そうそれしか出来ない。
いや、それすら出来なかった。
だからこそ。
「いや!!!あ゛き゛ら゛め゛る゛な゛ぁ゛!!!!!」
走馬灯が明け始め、目にぼんやりと異世界が映り込む。
歯を食いしばる。顔は崩れ見るも耐えない状態だろう。
歯茎から血が流れ始め舌の味覚細胞を刺激する。
鉄分の独特の味すらも感じないほどに集中し、そして堪えていた。
足を地面に踏み込み、効果の薄れたその腕でガイラを精一杯投げた。
ガイラの体を異常な程に重く感じた。
それでもう力は尽きた。
スライムの魔法が頭を掠める。
ティアさんはようやくその武器を振ろうとするが俺に当たってしまうのでそのでやめた。
「ははっ……親父見てたかよ。俺……役に…たっ…………」
頭をスライムの魔法が包み込んだ。
その中で俺は死を覚悟し
笑った。
それはそれは不気味な程に清々しい笑顔で。
どうでしたでしょうか?
けっこうディルガさんピンチですね。
そういえば評価が最近増えてモチベになっています!
皆さんを超古参と言えるように頑張ります。
明日も7時に投稿しますんで、
良かったら☆やブックマークでの評価お願いします!
ディルガスキル
○常用スキル
ㅇ『管轄者』の下
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
・『毒耐性』・『暗視』・『光属性耐性』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』
・『切断者』・『虐殺者』
〇属性適性
・『地属性適性』




