学園記録を更新していた件について…

　朝のホームルームで担任が引き続きキャスリーン・ド・ハイネル先生だと分かった。

　クラスの生徒は半分弱が仮Ｂ組と入れ替わっている。

　ここに集った２５人のＡ組生徒は、貴族クラスの上位であると同時に、学年全体を見ても優秀なメンバーであると言える。

　というのも、平民クラスは貴族クラスほど学力が高くないため、Ｃ組の最高点でも１１３２点なのである。

　１年次に貴族クラスと平民クラスを完全な混合クラスにしないのは、成績上位の平民が極少数貴族の多い最上位クラスに入った場合、いじめの対象になることを懸念した措置であるらしい。

　１年間みっちり勉強することで、元々学習意欲旺盛な平民の学生が大きく成績を伸ばし、最上位クラスにもある程度の人数が入れるようになるため、完全平等になるのは２年次からということだ。

　教壇では、キャスリーン先生がクラス開きの挨拶をはじめた。

「みなさん、おはようございます。

　これから１年間皆さんの担任を務めますキャスリーン・ド・ハイネルです。

　皆さんは大変優秀な成績でこのクラスのメンバーに選ばれました。

　特に上位の３人は、今までの最高点記録であった、キャスバル王子のお兄様であられるレイモンド王子の記録、２３９３点を超えて最高点記録を更新しています。

　１位と２位のアイネリアさんとカスミさんに至っては、６５００点を超えており、一流の騎士や魔術師をしのぐ可能性すらある素晴らしい成績でした。

　他の皆さんも是非二人と切磋琢磨し、自己研鑽に務めてください。

　皆さんは必ずこの学園で成長できます。

　将来は、故国アルタリアに貢献できる人材となるでしょう。

　私の先行は薬草学、薬学が中心ですが、魔法も得意ですのでサマンサ先生の補助に入ることもあります。

　皆さんの成長に貢献できれば幸いです。

　分からないことがあったらドンドン聞いてくださいね」

　サマンサ先生の言葉から、私とカスミちゃんの異常な高得点が判明した。

　３位のキャスバル様ですら新記録なのだから、その２倍を軽く超える私たちの点はいったいどれほどの評価をされているのだろうか。

　そもそも、なんでこれほどの点差がついたのだろう。

　私は先生に疑問をぶつけてみることにした。

「先生、テストの配点はどのようになっているのですか？」

　私が聞くとキャスリーン先生が教えてくれた。

「そうですね、確かに気になると思いますからお知らせします。

　筆記試験が１０００点満点、それにステータス測定の数値がそのままステータス点として加算されます。

　今までは、体力、魔力、力、素早さの合計が高い人でも１０００点くらいでしたので、最高点は満点でも２０００点位でした。

　昨年レイモンド王子がステータスで１４００点を超え、初めて２０００点をオーバーしたのですが、まさかステータスで５０００点を超える１２歳児が一度に二人も入学してくるとは思いませんでした。

　学園では、学力試験とステータス点のアンバランスを解消するため、来年度のクラス分けから、ステータス点は最高でも１０００点で打ち切りとし、２０００点満点で採点することが昨日のクラス分けのサイに決まりました。」

　すると、カスミちゃんから質問が出る。

「先生、その新基準に当てはめると、今年の順位に変動はあるのでしょうか」

「ステータスが１０００点を超えている人に不利に働きますから当然上位の人にのみ入れ替わりがおこります。

　ちなみに来年から適応する基準にした場合、キャスバル王子、ロバート君が１位と２位になり、アイネリアさんとカスミさんはその次ですね」

　なるほど、筆記試験では王子やロバート君の方が高得点だったと言うことのようだ。

　さすがは王家と宮廷魔術師長の血筋と言うことだろうか。

　きっと、猛勉強を普段からやらされているのであろう。

「それでは皆さん、今日からの本格的な授業で後れを取らないようにしっかり取り組んでください。

　次の席替えは中間考査の成績と剣術・体術および魔法の実技評価の合計点で行います。

　以上で朝のホームルームを終わります」

　次の席替えは、およそ１ヶ月後にある中間考査。

　次こそはあまり目立たないようにしたいと思う私とカスミちゃんだった。