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女神と共に、相談を!  作者: 沢谷 暖日
仲良し少女の恋愛相談

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30/83

部室の先客

 放課後。

 いよいよ、心音と話せると、活き活きした気持ちになる。

 机の中の教材をいそいそとカバンにしまって、席を立つ。


 心音の席へと歩みを進め、私を一瞥した心音も、立ち上がりカバンを持つ。

 察しがいいなと思いながら、少し声量を大きく呼びかける。


「よし。じゃあ、行こっか」


 周りから若干浴びせられる視線を気にしながらも、私は心音の手を取り、教室を後にした。


 クラスの女神である心音に好意を抱いてる人は、結構いる。

 ので、私がこんな風に手をとってるのを、周りは嫌な気分で見るかもしれない。

 でも、いいよね。

 だって、心音が好きなのは私なのだから。



※※※※※※



 四階への階段は中々に長い。

 高二の教室は二階に位置しているけれど、部室の鍵を取りに、まずは一階の職員室にいかないといけない。

 私にとってこの階段は、毎日の憂鬱と言っても過言じゃ無い。

 心音と手を繋いでいる今、嬉しさと辛さが混同している複雑な心境。

 だが、あと数段でこの長い階段も終わりを迎えるので。

 ラストスパートで、少し駆け足で登りきった。


「疲れた〜〜」


 ため息と共に漏れ出る私の大袈裟な声。

 けれど。

 一方の心音は相変わらずの澄まし顔。

 試しにほっぺたをツンツンしてみたけど、表情一つ崩さない。

 だから。今、心音が何を考えているのか全くもって分からない。

 筆談しようにも、見るに今日はボードを持っていないみたいだし。

 廊下で堂々と、スマホを使うわけにもいかない。

 そんなにずっと真顔だと、私のことちゃんと好きなのかなって、謎の不安に駆られもする。

 だけど。部室に入れば、スマホ何かしら送ってくれるだろうし。

 もう少しの辛抱だ、と私は心音の手を引きながら部室のドアの鍵を──て。

 鍵を挿し、回したが。もう鍵はあいていた。


「……?」


 疑問を抱きつつもいつもの様に、部室に足を入れようと──。

 ……が。

 私は足を止める。

 なぜかって。


 部室内の違和感。

 見れば、そこには人がいて。

 その正体が、私には直ぐに分かる。


 久しく見ていなかった。

 窓に寄りかかり、黄昏ている一人の少女。


「あ! 伊奈ちゃん先輩!」


 嬉しそうにこちらを振り返り、彼女のボブが軽く揺れる。

 窓から入る日差しに照らされた、赤を帯びた緑の黒髪。


美結(みゆ)ちゃん! 今日はどうしたの?」


 白河(しらかわ)美結(みゆ)

 ご近所さんで幼馴染。

 加えて校内で唯一の、私より一つ下の()()

 その人が、嬉々とした表情で私を見る。


「恋愛相談! 前回の続き! ……やってもいいよね?」

おやすみゆ。

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