第68話 瞳の制御
※明日は更新をお休みさせて頂きます。次回の更新は火曜日の予定です。
──国境の町、ボウダの一角。とある茶店。
「いい町だな……」
昼下がりの町並みを眺めながら、俺は無意識にそう溢した。
この町に来て、そろそろ一週間程になる。ボウダは国境の町らしく、様々な種族の亜人が出入りしていた。獣耳を持つ者や尻尾を持つ者。或いは、その両方等……。動物の生態系が元の世界に似ているのか、その殆どは耳や尻尾、紋様等で何の種族かはなんとなく分かる。猫耳を生やした女性、牛角を持つ大柄な男性、そのまんま馬面の性別不明な亜人等……。とにかく、様々な種族がこの町を利用している。俺が泊まる宿の温泉も、人が集まる要因の一つなのかも知れない。
「この町の事は、割とオルキアでも知られているからな。儂もある程度なら噂は聞いている」
剃り上げた頭を輝かせ、スミスが説明を始めた。
「ここ一週間は宿に籠もりっきりだったからな。ゆっくり町を歩くのは今日が初めてだろう? 見ての通り、ここは様々な亜人が行き交う町さ。勿論、人間だっている。何しろ、ここは亜人の国の玄関口だからな」
同じ様に、行き交う人の流れを眺めながら、スミスはそう話した。
「そうみたいだな……。確かに、ここ一週間は部屋に籠もりきりで、外の様子は殆ど見ていなかったからな……」
そう。俺達はある問題を克服する為、この町に着いてからはずっと宿に籠もっていたのだ。その問題とは……
「嬢ちゃん達も、だいぶ瞳を制御できる様になったじゃねぇか。まぁ、アスカ嬢ちゃんは、元々、ある程度は出来ていたみたいだけど。姫さんはかなり手こずってたなぁ」
スミスは一息つくような素振りを見せて、そう答えた。
「ああ。とにかく、あの瞳をどうにかしない事には目立って仕方ないからな。ここが人間の国なら大騒ぎだ。幸い、まだ他人にはバレて無いから助かってるが……。悪魔の子が何人もいるなんて知られた日には、すぐに噂が広まるからな……。余計な面倒事は御免だ」
俺達が抱えていた問題。それは、『悪魔の子』である証……ヒスイに言わせれば、『混血の子供達』と言うらしいのだが。その証明でもある、『光る瞳』を制御する事が出来ないと言う事だった。
アスカや俺は、瞳そのものを隠す為にコンタクトの様な物を持っている。しかし、先の戦いで覚醒したばかりのビビにはそれが無い。その癖、あいつ等は所構わず暴走するのだ。その瞳を輝かせながら。
「全くだな。竜の姉ちゃんがいてくれて良かったぜ。鍛錬で瞳の輝きを制御出来るなんて……正直、儂等だけじゃここまで早く光を抑える事は出来なかった。さすがは何百年も生きる古代竜……ほんと、助かったわい」
「……変態だけどな」
スミスの言うとおり、俺達の抱える問題はヒスイが、その方法を伝授する事により解決した。つまり、この一週間はその為の修練期間……瞳を制御する為に引き籠っていたと言う訳だ。
今では、ビビの栗色の瞳は光を失った金色に変わり、瞳を縁取る様にして輝いていた、金色の光はビビの瞳から消え失せている。また、同じく修練に励んだアスカも同様で、コンタクトを外した銀色の瞳は碧色に変わり、美しく澄んではいる物の、輝きは放たなくなった。どうやらビビと同じ様に、輝く時は瞳を縁取る様な光に変わったらしい。
二人共、其々その光を放つのは『限界突破能力』の発動時……所謂、『暴走モード』の状態時だけ。コンタクト無しでも問題無いとヒスイがようやく認めたのが、ちょうど先程の話だった。アスカ達が疲れて眠っている為、俺とスミスは二人で町に繰り出して来たのだが……。
「しかし、驚いたぜ……。てっきり、あんちゃんも『悪魔の子』なんだとばかり思ってたのに……まさか、もっとヤバイ奴だったなんてな──」
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