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第65話 新たな嫁候補

──『歪んだ(異常な)愛』。



 何だそれ?


 怖いんですけど……。


 まんま、やばい女(ヤンデレ)じゃないか……。何なんだ、一体……。しかも、二人共だと?


「……当り前。クロスは私の物」


「嫉妬とは聞き捨てなりませんわね? (わたくし)のは純粋な愛ですわ」


 当然の様に、すまし顔で答えるアスカとビビ。自覚が無い所が余計に怖い。


「我も驚いた。まさか、その様な条件(スイッチ)で発動する者達がおるとはの。長年、色々な人間を見てきたが、ここまで異常な愛情を見るのは初めてじゃ……『能力』を発動させてしまう程、の」


「あ、あんちゃん……」


 若干、引き気味に答えるヒスイ。気持ちはわかる。俺だって少し引いている。スミスに至っては、ドン引きし過ぎて言葉すら失っている様だ。


「じゃが、我も負けてはおらぬからの? ようやく巡り会えた旦那様なのじゃ。そんな小娘如きに譲るつもりは無いからの……。旦那様も、そんな乳臭い娘より、我の様な大人の女の方が良いであろう?」


 そう言って、色気たっぷりにセクシーポーズをとるヒスイ。


「さあ、そんな小娘(ガキ)共は放っておいて、我と子作りに励もうぞ! 我は尽くすタイプじゃぞ? ()()()()()でも……の」


 ポッと赤らめた頬に両手を当て、クネクネと照れ臭そうにするヒスイ。


「……やっぱり殺す」


「は、破廉恥な! 黙りなさい、この色欲竜(エロドラゴン)!」


 再び、剥き出しの殺意を放ち出すアスカとビビ。


 勘弁してくれ……。


 これ以上、話がややこしくなる前に何とかしなければ。


「ヒスイ。悪いが、俺はお前と(つがい)とやらになる気は無い。何しろ、この二人も俺の嫁志願らしくてな……何が良いのかサッパリわからんが。だが、お前の持つ知識や情報は興味深い。もし、お前がそれを提供してくれるのなら、三人目の嫁候補として仲間(パーティ)に迎え入れよう」


 古代竜の持つ力と知識。仲間としては申し分ない。何しろ、俺はこの世界について知らない事が多すぎるからな。有能な人材は使いこなしてこそ、と言うのが俺の考えだ。まあ、アスカとビビには悪いが、ここは我慢して貰おう。それに、人型のヒスイは確かに魅力的ではある……。俺も男だからな。


「勿論じゃ、旦那様よ。我の全てをお主に捧げようぞ。言ったであろう? 我は()()()()()()じゃと、な」


「……クロス。本気?」


「そ、そんな……」


「大丈夫か? あんちゃん……」


 多少ショックは受けつつも、俺の決定には従うアスカとビビ。スミスはただ、心配そうに苦笑いを浮かべている。


「だが、勘違いするなよ? あくまで、()()だ。俺が気に入らんと思ったら、すぐにでも追い出すからな?」


 一応、この部分だけは念を押す。主導権はあくまで俺。これが俺のやり方だ。交渉事は初めが肝心だからな。


「見かけによらず、亭主関白なんじゃのう。益々、我の好みじゃ。どこまでも付いて行くぞよ、旦那様よ」


「クロスは渡さない」


「ま、まあ英雄とは色を好む物……あくまで本妻は(わたくし)ですわ」


「さ、さすがだな……あんちゃん……」


 俺が同行を許した以上、仲間になる事は受け入れたのか。どうやら、アスカとビビはヒスイをライバルとして認めた様だ。スミスは何やら感心しているが。後は、この三人が仲良くしてくれる事を祈るとしよう。暫く大変そうだけど。


「これからは仲間なんだ。仲良くしろよ? お前等……。俺は、和を乱す者を嫁には選ばんからな?」


「……はい」


「それぐらい分かってますわ!」


「うむ。宜しく頼むぞ? 二人共……」


「おい、古代竜(ドラゴン)さんよ……一応、儂も仲間なんだけどな……」



 よし。とりあえず何とかなりそうだ。目的の牙と鱗は手に入れたし、オマケに灼熱竜(ヒート・ドラゴン)の分まで入手した。後は、このまま国境を越えるだけだ。


「さあ、次は亜人の国だ──」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 何とか丸く(?)収まりましたね。クロスさんの女難は続きそうですが(笑) ともあれ、次ほいよいよ亜人の国。遂に魔法剣の作製ですね! ずっと魔法剣の事が気になってたので、楽しみです! [一言…
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