第53話 突然の遭遇
※久しぶりに昼投稿しました!
──回復魔法の存在しない世界。
つまり、アスカはこの世界において、かなり特殊な存在であると言える。傷を癒やすだけでなく、魔力や体力まで回復させてしまう、『治癒』の能力。レベル『ニ』でこれなのだから、更にレベルが上がるとどうなるのか。無用の争いを避ける為にも、余り他人には知られない方がいい能力なのかも知れない。
「今は、少しでも休ませておいてやろう」
寝息を立てるアスカを起こさない様に、俺は静かな声でそう告げた。ビビとスミスも無言で頷く。アスカを起こさない様に気を使いながら、俺達は野営の準備に取りかかった。野営と言っても、薪になる物を集めて焚火を取り囲むだけなのだが。辺りが暗くなる前に準備を終えると、俺達はようやく一息つく事にした。
「夕食はアスカが起きてからにしましょう」
ビビが、そう提案する。スミスが持つ大き目のリュックには、まだ数日分の食糧がある筈だ。だが、余り余裕があるとも言えなかった。
「そうだな。せめて、もう少し食えそうな魔物でも現れてくれたらいいんだけど……」
「そう言うな、クロス。無事にここまで来れただけでも大した物なんだから。いちいち、倒した魔物を解体してたらキリが無い。持ち運ぶのだって大変だしな」
俺の愚痴に、スミスがそう答えた。その時だ。遠くで地鳴りの様な咆哮が響き、大地が揺れた。積み上げた焚木が崩れ落ち、辺りの森から鳥達がバタバタと飛び立って行く。
「……地震?」
目を覚ましたアスカが聞いてくる。程なくして、更に大きな地響きと共に、大きな揺れが俺達を襲う。まるで、山自体が動き出したかの様に重く、激しく。そして、先程よりもハッキリと、それは俺達の耳に聞こえた。
《グオオオオオオオオオン!!》
腹の底に響く様な、重い咆哮。それを聞いたスミスが、驚いた顔で口を開く。
「まさか……古代竜か?」
「そんな……!? ここはまだ、山の中腹よ! 古代竜の縄張りは山頂の筈じゃ……」
ビビも、信じられないと言った表情でスミスに答える。
「近い……」
呟いたのは、アスカだ。確かにその雄叫びの大きさからしても、そんなに遠くでは無さそうだ。
「まさか、向こうからやって来てくれるとはな……手間が省けた」
緊張した面持ちの三人に対し、俺はそう話した。まだ心の準備が出来ていなかったのか、其々が俺の言葉にハッとなる。そして、突然現れたこの旅の目的を、ようやく思い出した様に真剣な顔付きに変わった。各々が戦いに備え、緊張した表情で声の方向を見つめる。俺は、そんな三人に向かって淡々と告げた。
「──さて。それでは、竜退治に向かいますか」
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