第50話 契約の抜け穴
※水曜日のお休みに加え、木・金曜日と勝手ながら個人的な理由で予告無しにお休みさせて頂いておりました。楽しみにして頂いていた読者様には、本当に申し訳ございませんでした。本日より連載を再開致します。今後、仕事の関係等で更新出来ない時が出て来そうなのですが、出来るだけ事前にご報告させて頂きます。
本章も次話で終了の予定です。頑張って更新を続けますので、今後共、本作を応援宜しくお願い致します。
「──上手くいったな」
ギルド会館を出た俺は、誰に聞かせるでもなく呟いた。すると、その言葉にアスカが反応する。
「……本気なの、クロス?」
勿論、支部長であるノコーモとの交渉についてだろう。王国の騎士団に魔法剣を造ると言う、あの話だ。
「無事にクロスケールも、そして個人でも、俺達皆んなA級に認定されたんだ。何も問題ないだろう?」
心配するアスカに、俺は軽い口調で答えた。A級の冒険者と言う称号。これで、随分この世界では動きやすくなる。しかし、アスカの表情は晴れない。すると、その張本人であるスミスが話に割り込んできた。
「まあ、儂はあんちゃんが造れって言うならやるけどよ……リーダーの命令だしな。だが、余り気の進む仕事じゃねえなぁ…」
少し浮かない表情で、スミスはそうぼやいた。ふと見ると、傍らにいるビビも表情が曇っている。
ギルドの専属冒険者。確かに、そうなれば色々な恩恵を受けられる変わりに、ギルドからの依頼は断れない。魔法剣を用意して欲しいと頼まれれば、応えない訳にはいかなくなる。おそらく三人共、あのゴーザの依頼を受ける事が気に入らないのだろう。その気持ちは十分わかる。俺だってゴーザは気に入らない。俺は、そんな三人に向かって話した。
「騎士団に魔法剣を打つ話か? お前等、ギルドの規約はちゃんと読んでいるんだろう?」
唐突に規約の話を持ち出され、三人は不思議そうな表情を浮かべる。どうやら、何を言われているのか理解していないらしい。俺は、もう少し詳しく説明をする事にした。
「ギルド支部専属の冒険者。契約した冒険者は、専属ギルドが優先して依頼を受けさせる事が出来る、だったよな?」
「ええ、その通りですわ」
ビビが答える。俺は、構わず続けた。
「だが、ギルドが契約で縛る事が出来るのは、A級の冒険者までだ」
「──あっ!」
何かに気付いたのか、アスカが思わず声を上げた。
国内では数少ない、S級の冒険者。この最高峰の実力を持つ冒険者に関しては、例えギルドと言えどもその行動を縛る事が出来ない。その強い力を、一部の組織が独占出来ない様にする為の規約らしい。これは、国とギルド全体に共通する考えだ。勿論、支部の契約よりも、その効力はずっと重い。
「気付いたか? 俺達がS級になってしまえば、そもそもこんな契約に意味は無い。無効さ。それに、俺達がこれからやろうとしている事……忘れた訳じゃないだろう?」
「あ、あんちゃん……まさか……」
俺の意図に気付いたスミスが、驚きの表情で答える。
「ああ、そのまさかだよ。ギルドの依頼は、古代竜の鱗を採取する事。勿論、S級の依頼だ。だが、俺達が取りに行くのは『牙』だろう?」
古代竜の牙。それは、奴を討伐した事を意味する戦利品だ。そして、古代竜を討伐したともなれば、その功績はS級の依頼、数十件分にも値する。
「魔法剣の材料に必要なのは、古代竜の牙。だが、牙なんて何十本も生えてるんだ。一本や二本、多めに貰った所で何の問題も無いだろ。何なら、本当に討伐したって構わない。どうだ? S級、見えて来たと思わないか?」
そう説明する俺の言葉に、唖然とする三人。すると、アスカがこの話に懸念を示した。
「S級の認定……もし、受ける前に依頼されたらどうするの?」
あくまで、ギルドの制約を受けないのはS級の冒険者。確かに、アスカの言う通り、その認定を受ける前に依頼されてしまえば、俺達は契約に従うしか無い。だが、俺はそんなアスカの疑念を一蹴する。
「──何の問題も無いさ。S級の認定は、全世界どこのギルドでも受けられる。例え、それが亜人の国でもね」
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