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第49話 悪巧み

「──王国騎士団に貸し?」



 アリスが、俺の言葉を繰り返す。


「はい。王国の騎士団は、亜人の国との戦争に向けて『魔法剣』を欲しています。スミスの所に、その依頼をしに師団長が来ていましたので」


 騎士団とは名ばかりの、下衆な連中だったが。俺は、あのゴーザと言う師団長の顔を思い浮かべながら、更に続けた。


「ギルドとしてはこの戦争、中立を貫く立場だと聞いています。しかし、実際の所は違うのでしょう? この国のギルドと、亜人の国のギルド。余り、良好な関係とは言い辛いと聞いていますが……」


 俺の言葉に、アリスの顔が真剣な物に変わる。そして、声を殺す様に、静かな声で話し始めた。


「……どこでそれを? まあ、隠しても仕方ないか……冒険者なら誰でも知っている様な、暗黙の事実だしね。そうよ。ギルドと言えど、一枚岩ではないの」


 根底にあるのは、互いの価値観の違いから来る差別意識。人間は亜人を見下しているし、亜人は自分達や混血者を差別する人間を嫌っている。スミスに聞いた情報ではあるが、アスカやビビも同じ事を言っていた。どうやら、この世界では常識らしい。


「もし、王国の騎士団に『魔法剣』を提供出来る権利を、この国のギルドが手に入れたらどうなると思いますか? 亜人のギルドは、自分達の国が不利になる様な『魔法剣』、絶対に提供には反対するでしょう。そして、この国のギルドに頭が上がらなくなる。ですが、王国は『魔法剣』を手に入れたい……」


 戦争を左右しかねない、武器の製造技術。これを握ると言う事は、二つの国に対してとんでもない有利な立場(アドバンテージ)を手に入れる事になる。勿論、亜人のギルドに対しても。其々がこぞって、このギルドに願い出るだろう。片や、造って欲しい。片や、造らないで欲しいと。報酬も、莫大な物になる筈だ。


「先日、王国騎士団はスミスにその製造依頼を断られています。しかし、自分達の面子の為にも、ここは意地でも『魔法剣』を手に入れたいと考えているでしょう。それに、無事に『魔法剣』の調達に成功すれば、国内での彼等の立場は上がります。戦争を左右する様な局面で、その武器を調達した者としての功績を認められてね」


 スミスが依頼を断った以上、この国としては今後、如何にスミスを説得出来るかが鍵になる。俺は、満を持してアリスに提案した。


「その、『魔法剣』を造る権利……欲しく無いですか? もし、クロスケール(俺達)がこのギルドの専属になれば……」


 俺の提案を受けて、アリスは生唾を飲み込んだ。そして、チラリとその視線をスミスに向ける。スミスは、何の話をしているのかすら理解していない。「何だ?」と言いたげな表情(かお)でこちらを見つめている。


「……本気で言っているの、クロス君?」


「勿論。但し、条件は今すぐ俺達をA級の冒険者に認定する事です。パーティとしても、そして個人としても……。当然、ここにいるメンバー全員ですよ?」


 俺の提案を受け、思い立った様に慌てて奥の部屋に駆け込むアリス。おそらく、上司に相談しに行ったのだろう。そして、暫くすると、小柄な眼鏡をかけた男と共に現れた。随分、小狡そうな顔をしている。


「──君がクロス君だね? 私はこのギルドの支部長、ノコーモだ。話はアリス君から聞いた。私も、個人的にゴーザさんには世話になっていてね。彼の出世の為だ。その条件、飲もうじゃないか」



 口元を嫌らしく歪ませ、ノコーモはニヤリと笑いかけて来た。


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